#32 遺伝子組み換えってどうやってるの?
具体的に怖がる
遺伝子組み換えは、何か得体の知れないことをしているからなんとなく怖いというイメージがつきものですが、具体的にどんなことをやってるのかを知ることは大切だと思います。
今回は、遺伝子組み換えの方法について書きます。
3種類の方法
遺伝子組み換えは、ある性質を持つDNA(害虫を寄せ付けない物質を出すとか)を作物の細胞に挿入し、作物にその性質を持たせることを目的にしています。
では、どうやってDNAを挿入するのでしょうか。主に3種類の方法があります。
①微生物を使う(アグロバクテリウム法)
最も一般的な方法は、アグロバクテリウムと呼ばれる微生物を使う方法です。
野生のアグロバクテリウムは、植物に感染して自身のDNAを植物のDNAに挿入し、自分の栄養をつくらせるなど、植物の性質を変化させることができます。
このアグロバクテリウムに獲得させたいDNAを組み込んでおき、作物にアグロバクテリウムを感染させることによってDNAを挿入します。
②DNAを発射(パーティクルガン法)
この方法は、金属の微粒子にDNAをコーティングしたものを弾丸として、
高速で射出して細胞内にDNAを挿入します。
図は、パーティクルガンの機械です。
③傷つけて、DNAを染み込ませる(ウィスカー法)
ウィスカーとは、トゲがある結晶のことです。
この方法では、植物の組織、ウィスカー、DNAを含む溶液の3つを同じ容器に入れて激しく混ぜます。
そして、ウィスカーによって傷ついた細胞内に溶液中のDNAが侵入し取り込まれるようにします。
マーカー遺伝子
これらの方法を使ったとしても、目的のDNAを挿入できる確率はとても低いです。
そこでマーカー遺伝子を使います。
マーカー遺伝子とは、獲得させたいDNAと一緒に挿入することによって、獲得させたいDNAが挿入できているかいないかを判別しやすいようにするDNAのことです。
例えば、抗生物質に耐性がある遺伝子をマーカー遺伝子とします。それを獲得させたいDNAと一緒に挿入します。
その後、DNAの挿入を試した細胞を抗生物質にさらします。
目的のDNAがうまく挿入出ていなかったり、挿入できたとしても性質が発現されない細胞は、マーカー遺伝子も同じように上手く挿入できていないことが多いので、抗生物質によって死滅してしまいます。
なので、抗生物質にさらして生き残った細胞は、獲得させたい遺伝子も持ち合わせている確率が高いというわけです。
他にも、蛍光する性質を持つ遺伝子や除草剤に耐性がある遺伝子などが、
マーカー遺伝子として使われます。
他の記事、参考文献など
最後までお読みいただきありがとうございました。
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参考資料
『誤解だらけの遺伝子組み換え作物』 小島 正美 (編集) 株式会社エネルギーフォーラム
wikipedia
使用させて頂いた画像
Arek Socha on Pixabay
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