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いなす心を持つ


暗ーい寒ーい冬が終わって、
だんだん暖かく優しくなる春。
何か新しい事をやりたくなる季節。

ちょうど去年の春から耕作放棄地を開墾して、
今後オープンするお店の為の農場をスタートしました。

まだ肌寒いしそこまで暑くない。
体力も気力も十分。
隙間時間を使っての農作業も全然きつくない。

そして、順調に整地が終わりました。

さぁ何の種を撒こうかとか、あそこに何を植えようかとか、コンパニオンプランツはあれとあれで…
この時は幸せな悩みでいっぱい。

夏前には色んな作物で素敵な畑になってるだろうなぁなんて、想像の中では理想の畑が広がっている。
畑の上でトマトをかじっている絵、かごいっぱいの野菜やハーブを収穫して料理をつくる。

そんな絵を想像して迎えた夏。

現実はそんなに甘くない。
種を撒いても芽が出ない。
出た芽もカタツムリに食べられる。
成長しても身をつける前に枯れる。
そもそも大きくならないなどなど…

追い討ちをかけるように梅雨がくる。
草はボーボーに生える。
暑い、日焼けする。
蚊に刺される。

(箇条書きにしてたらまた辛くなってきた笑)

農作業だけに関わらず多くの事にいえると思いますが、
思い描いていた理想からのあまりの落差に、挫折してしまうこと。

僕の料理人としての経験だと、
ずっと立ち仕事で勤務時間もブラック。
有給休暇を取ったら怒られるブラック。
先ほど書いた農作業でもそうです。

希望を持って始めたのに、
途中から続ける事、耐え事に目的がすり替わっている。
そこに早く気づく事が大事。

完璧にし続けるというのは本当に難しい。
ごく一部の限られた人にしか出来ない。
僕はそうじゃない。
なので畑を自然な環境で育てるという方向に切り替えた。

うちの畑は草は生えてるし虫もいっぱいいる。
土も粘土質で雨の時はぐちゃっとなるけど、雨が降らないとひび割れは起こす。
プロ農家からみたら馬鹿にされると思う。
僕自身はそれでいいと思うようになったらすごく気が楽になった。 
逃げるというかいなすというか。

その考えをずっと続けていたら自分にとってのポジティブな答えばかり探すようになってくる。

健康や環境問題、もちろん料理人としての心構えも。
この畑を続ける意味がどんどんと大きくなっていって、気づいたらハマっている。 

人は完璧を求めると欠点に目がいきがち。
点ではなくもっと広い面で物事をみるようにしようと思う。

今世界で起きている問題も小さな点から始まっているんじゃないか…
もっと大きな面で考えられたらなぁ…



畑の通路。
晴れの日が続くとすぐカチカチになってひび割れる。
ここだけは、
雨が降ってもこれ以上地は固まらないで欲しい。