【3週目】 今週、社内で話題になった事例。
こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。
タイトルの付け方、少し変えてみました。
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さて、今週もアーキロイド社内で話題になった事例から、いくつかピックアップしてご紹介します。
事例1:Icograms Designer
【概要】
Icograms Designer(Icograms)誰でも簡単に、数分で、美しいアイソメ図を作成できるクラウドツール。3,600を超えるアイコンと、495のテンプレートが用意されています。テンプレートを用いずにゼロから作ることも、独自のグラフィックをアップロードして使う事も可能。SVGでのエクスポート対応。料金プランはフリーミアムです。
▲テンプレートの例。都市、建物、部屋から、IT。単なる図柄だけでなく、インフォグラフィックの要素があるテンプレートまで。幅が広い。
▲dribbbleでアイソメ図をクリエイティブワークとしても公開中
【アーキロイドポイント】
まず、かわいい。そして、操作が簡単。挿入する素材のサイズも変更可能で、例えばテーブルの上に都市模型を作る、といった事もできます。
筆者も実際にいくつかのテンプレートを開いて触ってみました。グラフィックハイセンスおじさんではない筆者でも、思いのままにアイソメを作るだけで、仕上がりはかっこよく、可愛くできます。
かつて、素人には難しかったクリエイティブな仕事が、テクノロジーの力でより身近になっています。例えばWordpressやWixなど、偉大なテンプレートとツールのおかげで、誰でも簡単にある程度のクオリティのWEBサイトが作れるようになりました。中間に優秀なインターフェイスを設けることで、精緻にデザインしなくても、コードを叩かなくても、良くなりました。Icogramsは、グラフィック界のそれ、と言って問題ないでしょう。当社も、archiroid.comを通して、より多くの皆さまに住宅設計を開いて行きたいと考えています。
▲実際にオフィスのテンプレートを開いて操作してみました。ソフトがブラウザ上で完結しています。
▲筆者個人的には、IcogramsのTwitterの100人目のフォロワーになれて、プチあがりました。
事例2:PlanFinder(平面自動設計)
【概要】
アパートの計画をより迅速に作成するCAD/BIMのプラグイン。Revit, Rhino, GHに対応。機能は、アパート1戸の外形線を入力して、既存プランの中で適合するものを選ぶ「Fit」と、外形線+壁の線から、数秒で家具入りのプランを生成しカスタマイズできる「Furnish」の2つ。PlanFinderによって、プラン設計の時間を減らし、カスタマイズやバリエーションの検索が可能になるとのことです。
【アーキロイドポイント】
プランニング問題(ここでは、建物配置、動線計画、室配置、室分割、家具配置、などをひっくるめてそう呼びましょう)は、アカデミアでも実務でも、古くから研究されている分野です。筆者も修士課程で研究していたこともあり、難しさを理解しています。本事例はアパートの1室を設計するためのツールですが、ここでかなり大きな壁を超えていることでしょう。
古くから研究され最適なソリューションが見つからずにいた問題が、テクノロジーの発見、進化により前進する事例はどんどん増えていきそうです。「建築の技術は常に10年遅れている」と耳にしますが、建築計画の分野でもそうした動きが見られるのが、業界として明るいニュースだと感じています。直近では物流施設の平面プラン自動生成システムが発表されました。
実は弊社でも、プランニング設計のAI開発を進めています。そのためこうした事例は常に刺激になります。現在公開中のarchiroid.comの前バージョンリリース時には、弊社オリジナルの自動間取り設計プログラム(室配置・室開口設計)によって設計された住宅案を、検索ページに並べていました。今は方針としてそのシステムを組み込んでいませんが、またこの先運用していく日が来ると思います。
事例3:Open Construction Simulater(OCS)
【概要】
無料の建設シミュレーター。Unityベースで開発され、重機を使った掘削や土砂輸送のシミュレーションができるそうです。
【アーキロイドポイント】
あらゆることが予測、シミュレーションできるというのが、情報化社会の大きな恩恵の1つです。重機のモデル、力、砂や石、そしてそれらを動かすゲームエンジン、物理エンジン、その他あらゆる要素が情報環境に整って、今日これが実現しているのでしょう。建築では施工の自動化が一つのホットワードになっています。ハードの自動化は、ソフトによるシミュレーションがあってこそ。この分野は引き続きウォッチしていきたいですね。
事例4:遺伝的アルゴリズムによる人工知能を用いたゲームバランス調整(スクウェア・エニックス)
【概要】
スクエニが展開する『グリムノーツ』というRPGゲームにおける、ゲームバランス調整の研究。ゲームの面白さは、「プレイ時間」と「プレイヤーレベルの上昇」の相関にあるそうです。開発者の想定よりも、短時間でプレイヤーレベルが上昇している場合、ゲームとしての面白さが減少し、結果的にコンテンツの消費速度が増加していると言えます。
グリムノーツは、毎月のように新しいヒーロや装備が追加され、組み合わせ数が膨大になっています。バランスブレイカーがいないか、リリース前にチェックする必要がありますが、調べきれません。この研究では、プレイヤーAIを実装してバトルさせ、勝利に対して、パーティー編成、キャラクター、アクセサリー、武器、衣装、スキルなど、各要素の組み合わせの最適化を探り、バランスブレイカーがいないかを確認しています。
【アーキロイドポイント】
”ゲームの面白さ”が何に起因していて、面白さが損なわれるとどんな問題が起きるか。それを構造的に述べているのが興味深いです。
弊社が提供するサービスは、住宅設計をゲーム的に楽しむという側面があります。ゲームは複雑な事象に向き合うには、手軽でインタラクティブで優れたメディアです。
また、このnote連載「今週、社内で~~」の1週目で、ゲームを介して人々を都市・建築設計に巻き込むプロジェクトを展開している、You+Peaという建築家/クリエイターを紹介しました。ぜひご覧ください。
事例5:コンピュテーショナル技術でオープンエアかつ多様な環境のオフィスを実現する
【概要】
日建設計のチーム、CEEL(Computational Environmental Engineering Lab)が提案する「Open-air & Environmental Characterized Office」のコンセプト紹介。
多様化する働き方に合わせて、画一的なワークプレイスではなく、多様性のあるオフィスを実現するために、「オープンエアと分散コア」を設計のキーワードにしています。Pre Simulation Analysisで敷地のポテンシャルを可視化、Parametric Analysisでコアの配置を評価して案を絞り込み、Environmental Characterized Analysisでエリアごとのアクティビティを提案しています。Environmental Characterized Analysisにもう少し触れると、音、光、視野、などの評価をもとに、コア以外のスペースでどのようなアクティビティ(フォーマルミーティング、クリエイティブミーティング、ソロワーク、リラックスなど)をするかを決定しています。
【アーキロイドポイント】
ハード(建物)を環境評価をするだけでなく、その評価にアクティビティ(ソフト)の適合度を紐付けて提案しているのが面白いです。住宅設計においても、「寝室はこの指標がこの値になると寝室として最適」、といった評価を下せると思います。設計者の経験則や知恵的な部分を、WEB上で可視化して、一般のユーザーにも視覚的に理解しながら、設計を楽しんでもらえると最高です。(archiroid.comにもゆくゆく環境評価の可視化を導入したいの意。)
事例6:立憲民主枝野代表、 「持ち家重視の日本の住宅政策を転換する」 #政権取ってこれをやる Vol.4
【概要】
【アーキロイドポイント】
2020年の新設住宅着工数は約81万戸。対して別荘などの二次的住宅を除いた全国の空き家は808万戸(空き家率は12.9%)です。空き家数の10%に当たる数を新たに作っていることがわかります。日本において政治、政策に対して、企業として発言することはリスクのあるナイーブなことだと思います。現段階では弊社のこうした問題に対する、スタンスを模索中ですので、詳細の言及は避けますが、住宅政策は国民の暮らしにとって最重要政策の1つであることは間違いありません。弊社も住宅産業の中でサービスを提供していく会社として、社会問題について常に考えていかなければなりません。いずれアーキロイドの思想背景などを、noteにまとめていきたいと考えています。
事例7:おにわさん
【概要】
全国の日本庭園を集めている情報メディアです。
【アーキロイドポイント】
筆者も実家の近くにある小さな日本庭園を検索してみましたが、ちゃんと掲載されていました。貴方の身近な小さな庭園も載っているかも。テーマに沿って庭園をチョイスして、noteで発信していて面白いです。
番外編:今週、みんなで行った展示
よかったら週末にでも行ってみてください。
展示1:「Ensamble Studio Architecture of The Earth」 @TOTOギャラリー間(六本木)
展示2:「ルール?展」 @21_21 DESIGHT SIGHT(六本木)
SDレビュー@代官山ヒルサイドテラスが明後日(9/26)まで。行きたい。行けるか。行けるのか。
「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。
社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。
メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。
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