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一級建築士学科試験…知らない問題をどう解くか?の意義

1.合格率と知らない問題の量

「知らない問題をどう解くかは、知っている問題の量を増やすこと以上に重要」。これは平成14年に学科試験に合格した、ある企業研修での受講者(20代女性)が、合格体験談で残してくれた言葉になります。こういった考え方をされる方ですから、この年の設計製図試験に、一度の受験で合格されています。

当時から20年近くが経とうしている中、今さら旧試験の古い話を?と思うかもしれませんが、試験の合否が相対評価から絶対評価とされるようになった平成13年以降で、学科試験の合格率が10.6%と、平成18年に次いで厳しい結果になっているのが、平成14年の学科試験になります。

令和元年の学科試験の合格率は22.8%となり、概ね90点程度とするとされている合格基準点は97点でした。また、『総じて難易度が低かったことから、~』と、基準点が通常より高くなった理由を公表しています。平成21年合格基準点も97点でしたが、過去問の範疇からの出題の比率が高くなれば、得点しやすい問題が多くなりますので、必然的に難易度は低くなります。

これと正反対になるのが、平成14年のように難易度の高い出題になり、過去問の範疇からの出題の比率が低いことによる結果だと言えます。

「知らない問題をどう解くかは、知っている問題の量を増やすこと以上に重要」というのは、過去問の範疇にない新傾向の問題をどう解くかということになります。

2.問題の難易度に応じた学習法

見出し画像の通り、ある問題をはじめて解くとき、見たことあるとか、やったことあるとかいった反応、すなわち「知っている問題」「知らない問題」かの選別を無意識にしていると思います。「知っている問題」「知らない問題」の比率は年によって違ってきますので、どちらに対しても対策を取っておくことは必要です。

イ.知っている問題の量
過去問による学習を通して、出題される記述やその問われ方について、知っている量を増やすことができます。
本試験で問題を読んだとき、知っていることでまず安心感が得られますし、記述の正誤判別ができる知識も持ち合わせて臨めることになります。
この量が多ければ多いほど、得点に結びつきやすくなります。
過去問の範疇からの出題の比率が高くなれば、知っている問題の量を多くしておくことが高得点に繋がりますが、同時に合格基準点も高くなります
こういった場合に、特に注意すべきことは、ケアレスミスを絶対にしないことです。仮に、125問中97問を正解にすることを想定したら正解率77.6%が求められ、ここにケアレスミスが入り込める余地はないということです。

ロ.知らない問題をどう解くか?
見出し画像の通り、問題を解こうとして「知らない」となったときに、何とか自力で解こうと考えてみるか自力で解くことをすぐにあきらめてしまうかのどちらかになってくると思います。
後者の場合、解説を読んで知識を増やすことはできても、考えるトレーニングはできていないと言えます。
1.で紹介しました合格者(一級建築士)の問題用紙を見せてもらって感じたことは、スケッチや記憶にある仕様書の規定値等の書き込みが多いということです。
これは何を意味するかと言えば、思考の過程を自身で可視化していることになります。
スケッチ等を通して問題を要約することで、知らないと思った問題が、実は過去に問われたことのある内容と本質は同じであることに気づくこともあるはずです
「考える」と一言で括ってみても、問題をじっと見つめながらも、頭の中で思考をどう展開させているか?これを自分でどこまで自覚できているのか怪しいところもあると思います。
勿論、これは知っている問題ではなく、知らない問題を解こうとしているときの話です。
「知らない問題をどう解くかは、知っている問題の量を増やすこと以上に重要」とは、問題用紙の中に思考の過程を可視化する書き込みをしながら、知らないながらも、知っていることから推論することによって正解に近づくことだと思います
試験時間に余裕のない法規以外は、問題用紙に書き込みをしながら思考の過程を可視化する習慣をつけて、本試験でもこれを実践することは可能です。

3.設計製図試験対策にも繋がること

学科試験対策において、知らないことに対し、即あきらめる習慣をつけずに、まず考えてみるトレーニングを積んでおくことは、次に待ち受ける設計製図試験においても役立つはずです。

要求室の位置づけであったり、計画の要点等の記述において、よく知らない事柄に対しても、知っていることから論理的に考えを展開し、妥当な答えにたどり着ける可能性を高めることができると思います。



下記の配信サービスでは、問題をダウンロードして繰り返し利用できますので、問題用紙への自身によるスケッチ等の書き込みによるヒントがない状態で、繰り返し問題に取り組むことができます。

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