見出し画像

一級建築士学科試験と設計製図試験|バリアフリー法上の要求と多機能トイレのあり方の見直し

<見出し画像>出典:高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(平成29年3月 国土交通省)

1.バリアフリー法

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令における「建築物移動等円滑化基準」のうち、第14条便所についての規定になり、以下の通りとなっています。

(便所)
第14条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する便所を設ける場合には、そのうち一以上(男子用及び女子用の区別があるときは、それぞれ一以上)は、次に掲げるものでなければならない。
一 便所内に、車椅子を使用している者(以下「車椅子使用者」という。)が円滑に利用することができるものとして国土交通大臣が定める構造の便房(以下「車椅子使用者用便房」という。)を一以上設けること。
二 便所内に、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる構造の水洗器具を設けた便房一以上設けること。

令第14条第1項第一号では「車椅子使用者用便房」を、第二号では「水洗器具(オストメイト対応)を設けた便房」を、それぞれ1以上設けることを、建築物移動等円滑化基準として求めています。

令第14条は、バリアフリー法が施行された当初からある規定になりますが、平成30年に改正法が施行され、「車いす」「車椅子」に改められたのが改正点になります。

令和元年設計製図試験の設計与条件では、建築物移動等円滑化基準を満たすことを求め、多機能トイレの特記事項には『各階に設け、車椅子使用者、オストメイ ト等に配慮する。 』とありますが、令第14条第1項第一号・第二号を踏まえた特記になるかと思います。

ちなみに、「便房」というのは、大便器のある間仕切りで仕切られたブースのことになりますので、多機能トイレと多機能便房は、同じものをさしていることになります。

2.多機能トイレのあり方

バリアフリー設計のガイドラインとして、平成19年以降5年ごとに改正されてきている『高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(平成29年3月 国土交通省)』において、以下の通り記述され、多機能便房のあり方に対する設計の考え方が変わってきています。

・「車いす使用者用便房」にオストメイト用設備や大型ベッド、乳幼児用いす、乳幼児用おむつ交換台等を付加した「多機能便房」については、近年、利用者が集中し、便房内に広い空間を必要とする車いす使用者が円滑に利用することが困難になっているとの声が多く寄せられている。
・このような実態を踏まえると、多様な利用者の円滑な利用を促進するためには、従来の「多機能便房」内にあった各種設備・機能を、便所全体に適切に分散して配置することが重要となる。

多機能トイレは、車椅子使用者の回転スペースを確保した上で、大型ベッド、オストメイト用の汚物流し、乳幼児連れの乳幼児用椅子やおむつ交換台等の必要な設備・機能を設けるもので、正に多機能なトイレになります。

多機能トイレへの利用者の集中を避けるため、「車椅子使用者用トイレ」「オストメイト用設備を有するトイレ」「乳幼児連れに配慮した設備を有するトイレ」というように個別機能を分散配置することを促進するようになってきています。
(見出し画像参照)

設計製図試験の設計与条件において、多機能トイレとしてでなく、個別機能を分散配置することを、建築物移動等円滑化基準を踏まえて要求すると、以下のような「便所」の特記になるかと思います。

便所
・各階に男性用、女性用及び車椅子使用者用トイレを設ける。
・オストメイト用設備を有する便房等を男性用、女性用便所にそれぞれ設ける。

上記の1つめの特記は、平成18年の「便所」の特記事項『男性用、女性用及び車いす使用者等に対応した多機能な便所を設ける。』を参考にしています。

平成18年までは、「便所」は所要室(要求室)の1つとして要求されていました。平成19年以降は表の脚注での要求に変わっていましたが、平成30年と令和元年では、再び要求室の1つとして要求されています。


建築士の塾ロゴ 改1


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
心ある一票、ありがとうございます
5
企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。前提となる基礎知識を積み上げながら、⾃分がわかりたいところまで辿り着くことが理解。減点要素となり得る問題点のうち、回避すべきものと許容できるものを取捨選択していくことが判断。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信します。