読書感想文(16)木暮太一『超入門資本論』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだ『超入門資本論』は、経済について全然知らない人に超オススメです。
多くの人がお金を稼ぐために働いているのに、お金のルールを知らないのではないでしょうか。
本書では「スポーツを初めてやる時はルールを確認するのに、どうして経済に巻き込まれる時(働き始める時)にはルールを確認しないの?」と書かれています。
「たしかにー」と思った人は是非読んでみてください。給料がどうやって決まるのかについてなども簡単に書かれています。

感想

まず単純に、面白かったです。セミナー等で聞いた話も結構ありましたが、やはり本で読むと自分のペースで咀嚼しながら理解できるので良かったです。

「はじめに」で書かれる『資本論』の重要な3つのポイントは以下の通りです。

①「価値」と「使用価値」を区別する
②「剰余価値」が生まれるプロセスを知る
③「剰余価値」がやがて減っていく事を理解する

①については、まず商品には二種類の価値がある、という話です。「価値」は「交換価値」とも呼ばれ、簡単に言うと作るために必要な費用です。例えばペンを作るのに必要な費用は、材料費、製造費用(機械など)、人件費などです。「使用価値」は使って得られる便益、ペンの場合は「書ける」という価値です。
そして商品の値段の相場を決めるのは「価値(交換価値)」の方で、そこから「使用価値」によって値段が上下します。ペンの例でいうと、材料費等によって「まあ100円くらいやろ」という相場が決まり、「このペンめっちゃ書きやすいから200円でも買う!」「書きにくいけど80円やからこっちにしよ」みたいな感じで値段が上下するということです。

そして恐ろしいのが、労働者の給料も同じ理屈が当てはまることです。これは本書以外でもよく言われていますが、給料は労働者を再利用するための費用です。久しぶりに太字を使ってしまうくらい強調したいことです。
大卒労働者の初任給は20万円前後なのはなぜか、一人暮らしに必要とされる生活費がそのくらいだからです。30〜40代の中途採用者の給料が新卒より高いのはなぜか?能力が高いから?勿論それもありますが、一番の理由は家庭を維持するのに費用がかかるからです(家族手当もこれにあたります)。その他、地域によって手当がつくのもこれが原因です。都市部で手当がつくのは、家賃が高いため、必要な生活費が上がるからです。

ものすごくざっくりした説明ですが、大体こんな感じです。そしてこれが意味するところは何かというと、昇給を目指すだけでは意味がないということです。なぜか?昇給したということは、自分が働き続けるために必要な費用が上がったということだからです。例えばよりストレスが増えれば、それを発散するために必要な費用がかかるので給料が上がります。つまり逆に言えば給料を上げるというのはストレスを増やす行為なのです。これが幸せに繋がるでしょうか?

「じゃあどうすればいいの?」ということもこの本には書いてあります。いくつか書かれていますが、最も重要なのは一つの企業に縛られないことだと思います。
「このままじゃ幸せになれないな」と思ったら転職する。「転職なんてそんな……」と思う人は自分の「使用価値」を信じられていないのです。逆に言えば、自分の「使用価値」を上げれば良いのです。
「そうやって努力するのが嫌だから会社に入って安定したいんじゃ!」という人は、会社に入れば安定という考えを改める必要があると思います。だってトヨタの社長も経団連の会長も「終身雇用はもう無理」って言っています。日本の一番の大企業がそう言ってるのに、他の多くの企業が安定しているわけがないと思いますが、いかがでしょうか。

ここで一つ疑問に思うのが、公務員はどうなるのかなということです。公務員はリストラが無いので、終身雇用が保証されるのでしょうか。海外の公務員はどうなっているのか、気になります。
そして教員はさらに複雑で、公務員とそうでない人がいます。しかし社会的価値の相場は恐らく区別されないので、私立の教員も公立の教員に準じることになるのでしょうか。

さて、話を戻して……。自分の「使用価値」を上げるのは確かに大変かもしれませんが、良いこともあります。それは会社に対して強気になれることです。例えばブラック企業に入社してしまっても「は?じゃあやめるが?」と言えるわけです。そもそも会社や正規雇用が残るのかという問題もありますが、自分の「使用価値」は残り続けるので自己投資はとても重要だなと思います。
ただし、その「使用価値」は時代が進めばどんどん古くなっていきます。例えば昔はHPを作る技術は価値があったかもしれませんが、今では作るだけなら誰でも簡単にできるようになっています。つまり新しいことをどんどん学ばなければならないということです。
「新しいことを学ぶのはめんどうだな……」という人は多いと思います。簡単に言えば、文系の人に数学をやってください、と言うようなものです。多くの人が面倒だと思うでしょう。
しかしそれこそこれまでの社会を反映しているのではないでしょうか。今までは会社に入れば安定だったので、変化する必要もなかったのです。けれども今後競争は激化していくので、変化は必要になってきます(と、色んな本に書いています笑)。

「なんとなく言いたいことはわかるけど……」と言う人も多いでしょう。逆に言えば、今自分が変われるようになれば、それだけで周りと比べて一歩リードできるということです。私が今年読んだ中で最も読んで良かったと思う本『LIFE SHIFTー100年時代の人生戦略』でも「変身資産」といって、変化できるマインドが資産として扱われています。

とっても長くなってしまいましたが、これが一つ目の重要なポイントに着目した考えです。
②と③も面白いのですが、既に長いのでnoteはこの辺りで止めておきます。
③が面白かったので少しだけ紹介すると、資本主義の構造的に、資本主義が進めば進むほど企業も労働者も苦しくなるという話です。苦しくなるのはわかっていても、企業は生き残るために進まなければならないのです。面白そうだなと思った人はぜひ読んでみてください。

おわりに

思ったより長くなってしまいました。
しかし最近アウトプットが大切だなと思うようになったので、noteは私にとってそういう役割も担ってもらうことにしました。
なので今後ビジネス書系はこんな感じになると思います。

そしてしばらくビジネス書系が多くなる予定です。最近色んな話を聞いて勉強する中で、インプットの不足を痛感しているからです。今のところは『7つの習慣』『幸福の資本論』『はじめの一歩を踏み出そう』『起業のファイナンス』の順に読む予定です。
でもできれば週に1冊くらいは小説も読みたいと思っています。

というわけで、こんな長い記事を最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
少しでも何かの役に立っていれば幸いです。

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