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不思議な出会い

撮影前の化粧直し中である

彼女は電車を乗り過ごし遅刻をしていた

それに対し思うことは何もない

はじめての土地で電車を乗り過ごしたり、逆方向に乗ってしまうというのはよくあることだからだ

時間がなかったとはいえ合流した後に直すのが普通

近くにはお手洗いもあった

そこ直してくるのが普通なのだが目の前ではじめた

ふと、その横顔を撮りたくなった

気付かないようにそっとカメラを向けた

しかし、気付き振り返る

最初に出会った飾らない姿は彼女そのものだった
(容姿という意味ではない)

絶対に載せないでと言われたが交渉を重ね展示をおこなった

同時に売り出されたミニフォトカードは数日で売り切れてDMで「販売数が少ない」とクレームがくるほどであった

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今までの感謝の意を込めて思いを残します

この出会いは不思議なものだった

いや、必然だったのかもしれない

前日の大雨で屋外の撮影が流れた

現地を確認するまではどうなるかわからず電車で移動中だった

先に到着した者から連絡が入り暇を持て余すことになった

なんでもいいからシャッターを人で切りたい気分だった

近くで撮影会がないかと探していると一人の女性が目に入る

それが出会いだった

最初は何に惹かれたのかわからなかった

少しぽっちゃりしていて、そばかすがあって

本人は自分のことをかわいくないと言う

元気で明るい写真とは裏腹に現場を訪れるとお客さんが付いておらず凹んだ様子で座っていた

声をかけると途端に笑顔が溢れ出す

写真を撮りつつなんてことない世間話をしながら彼女のことを少しずつ知っていく

自分が将来進みたいことに真っすぐな目をしていた

私は外見だけでは判断はしない

中身こそ大切だと思っている

それに惹かれる

雑誌の出演権をかけたイベント中で見るからに勝ち目はないのだけど背中を押したい気持ちになった

それからしばらくは忙しく会いに行けなかったのだが、私にしては珍しく通い詰めた

今まで個撮を拒まれ続けたがゆっくりと1対1で撮影をする機会が訪れることになる

それからは関係者がいるかもしれない場所では話すことのない今の想い、悩み、近況、進む道への戸惑いなどを打ち明けてくれた

カメラはメイン業でやっているわけではないので彼女の将来に繋がる人を紹介しをしてあげられるわけでもない

彼女らしい写真を撮り輝いている自分を見せるのに専念するだけだった

仮面を被った状態の中でのやりとりだったら気にはしなかっただろう

しばらく経って何気なく放たれた一言

それは背中を押せなくなるようになった言葉だった

少し様子を見よう

しかし、飾らぬ本心から出た言葉であった

二度とシャッターを押すことのできない別れとなった

からかうと本気で怒り、くやしくて本気で涙を流し、食べてる時の幸せそうな笑顔を見ることができないのは悲しいこと

できることなら、もっと作品を作りたかった

想いを彼女へ書き残し後にした

「また戻ってこれるようになったら戻ってきてほしい」

「もう誰も応援したりしないの?」

そう言われたが何も伝わっていないらしい

そして、この記事を書いている私がいる

きっと、そういうことなんだと思う

いままで一緒に過ごした時間に

ただ、ただ、感謝を

今までありがとうございます

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夜人形の館

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