かなた

ゆるく楽しくのびのびと!

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  • Loft 黄本

    Loftで偶然見つけた、黄本。始めの一文に繋がる物語を書いてみようと思います。

最近の記事

彼岸

海が見える。山も見える。果てしなく続くこの景色が、あと数日のうちに消え去ってしまうなんて、誰が想像しただろう。 「やっぱりここにいる」 聞き慣れた声に振り向くと、微笑む女の姿があった。 俺がここにいると、いつも決まって現れる。 「ここばっかりだね、最近」 「落ち着くんだ、ここが」 「もう今日が終わっちゃうよ」 「いいよ、また明日も来るから」 「そういう意味じゃなくて…」 「分かってる、ごめん、もっと時間取れってことだよな」 「時間取れっていうのは違うけど、

    • 「なぜ、ご結婚を?」

      好きな人たちが結婚した。 好き、といっても一方的で、いつも画面越しで見ている人たちだ。 会ったことはないけれど、毎日眺めている人たちだったので、結婚を知った時は親戚のように驚いたし、身近な友達のように喜んだ。 そして2021年は、そんな驚きと喜びを2回、経験した。 1回目は星野源と新垣結衣。 2回目は菅田将暉と小松菜奈。 有名人同士の結婚は、もちろん世間を騒がせて、結婚に至る経緯や交際期間についての質問に、少し戸惑いながらも笑顔で答える様子が放送されていた。 す

      • 輪廻役場

        残ってます?生まれたころの記憶。 いや〜、残ってないですね。 ですよね。わたしも生まれたころの記憶なんて 全くないです。でも一応、皆さんには聞かないといけないじゃないですか。いつも言われちゃうんですよね。そんなの覚えてるわけないでしょって。 あー、そうですよね。僕もきつく返されることが多いです。 えっ、ほんとですか?よかった〜わたしだけじゃないんだ。わたしの聞き方が良くないのかなって悩んでたんです。 聞き方は問題ないと思いますよ。いつも丁寧に、ゆっくり理解してもらう

        • 彼女の理由

          母は強し。世間が思う一千万倍。 初めてそう思ったのは、10年付き合った彼女が 妻になり、彼女が家に来て2年後のことだった。 俺の目に映る彼女は、温和でいつもにこにこしていて、滅多なことでは怒らない。身体はいつも細くて背も小さい。 家に来たばかりの頃は、ぎゅっと抱きしめるたびに、このか細い身体を潰してしまわないかと、いつも緊張していた。 俺は小さい頃から周りと比べて力があり、身体測定はいつも平均越え。背の順で並ぶといつも一番後ろで、身体の小さな同級生をおんぶして、校庭を駆

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        記事

          今の彼には内緒だけれど

          昔から、惚れっぽい性格だった。 小学校高学年のとき、クラスに気になる男の子が、覚えている限りで3人はいた。 あの子もあの子もカッコいい、優しい、面白い、だからなんとなく気になる、きっとこれが恋なんだ。わたしは片思いをしているんだ。 その頃は恋愛マンガも大量に読んでいたし、今思えば、典型的な恋に恋をするタイプの女子だった。 そんなわたしも、年齢を重ねるごとに少しずつ大人な思考になっていき、高校生のときには、好きな人はひとりに絞れるようになっていた。 高校1年生のとき、恋

          今の彼には内緒だけれど

          光芒

          「なんなのよ急に」 そう言って僕の顔を睨みつける彼女を前に、何も言葉が出なかった。 日曜日、昼下がりの午後、穏やかなクラシック音楽が流れるカフェ店内で、僕と彼女は向き合っている。窓の外は、少し寒くなってきたこの頃に合わせて、ストールを巻いてみたり分厚めのコートを着てみたり、冬支度を始めた人々がわらわらと行き交っている。 みんな楽しそうだな、と目の前の彼女から目を逸らしながら思う。 「どういうことなの、仕事辞めるって」 彼女は僕が数分前に発した言葉から受けた衝撃が隠せな

          ずっと大好きな、赤の他人へ

          わたしの頭の中には常にたくさんの言葉たちがぐるぐると円を描いて回っている。 それでも文章を書くのは難しく、いつも書きたいことがなかなか浮かばない。 なので好きなものについて書こう。 自分の好きなものについてなら、スラスラと言葉が飛び出してきそうだ。 わたしの好きなもの、一番はじめに飛び出してくるのは恋人のことだ。 (好きなもの、と言うのは違和感があるので、好きという言葉から連想できたものにする。) 7年一緒に過ごしているが、好きの気持ちは年々増しているような気がする。そ

          ずっと大好きな、赤の他人へ

          なぜ浮気は許せないのか?

          恋人にされて1番嫌なことってなんだろう、とふと考えた。 ギャンブル?タバコ?お酒?暴力? 数えればキリがないし、その時々の気分や状況によっても異なるものだと思う。 が、今わたしが思う1番嫌なことは、浮気である。 浮気されたわけではないし、今までもされたことはない(と信じている)が、ネット上や周りの人達の浮気話を聞くだけで、どんよりと重い気持ちになり、もし自分の恋人の話だったらと思うと背筋が凍る。 そして、またふと考えた。 浮気はなぜ、許せないのか? もちろん、人とし

          なぜ浮気は許せないのか?

          体調管理は入念に

          季節の変わり目は風邪を引きやすい、というのは本当だろうか? 今まではあまり信じていなかったが、今回は信じざるを得ない状況になってしまった。 じりじりと暑い毎日の中に、涼しさを感じられるようになってきたこの頃、まさに季節の変わり目の今日この頃、わたしは現在進行形で風邪をひいている。 初めは喉に違和感があった。 次の日違和感が痛みに変わった。 そのまた次の日、喉が痛い上に鼻水が出始め、なんとなく身体がだるくて重い。 発熱していないのが唯一の救いではあるが、これは完全に風邪

          体調管理は入念に

          嫌なことを後回しにしていた今までの自分へ

          憂鬱だったことがひとつ終わって、今日は気持ちが晴れやかだ。 憂鬱だったこととは、以前の記事でも記述した年に一度の発表なのだが、とにかくここ2週間はその発表に向けて必死に準備を重ねてきた。 いつも、嫌なことはできるだけ避けて通りたい人間で、どうにかしてやらなくて済む方法はないかなあと考えてしまうのだが、今回ばかりは早々と覚悟を決めて取り組んだ。 練習する時間をきちんと計画立てて設け、実行した。 1人では解決できない問題は、周りの人に頼りまくった。 すると、不思議なことに

          嫌なことを後回しにしていた今までの自分へ

          7年付き合って得られるもの:恋人の機嫌を画面越しに感じ取る力

          7年も付き合っていると、会っていなくても言葉の雰囲気や言い回しでなんとなく相手の機嫌がわかる。 他人から見ればなんてことのない言い方だろうが、普段の様子をよーく知っているからこそ、あれ?今の言い方なんかおかしい、ちょっと怒ってる?とか、すぐに感じ取れるようになる。 例えば、今まさにわたしが恋人とのラインのやりとりで感じている違和感が 通常時「おつかれさま!」 今「おつかれさん」 明らかである。(これくらい明らかだと他人でも感じ取れるかもしれないが。) そして、なぜ今

          7年付き合って得られるもの:恋人の機嫌を画面越しに感じ取る力

          何でも言い合えるカップルは、本当に長続きするのか?

          電車の時間が長く暇なので、また恋人のことでも書こうと思う。 7年もの間、一度も別れることなく交際が続いている背景に、なんでも言い合える関係というのがある。 このなんでも言い合える関係について、最近ツイッターで話題になっていた。 しかし、それは「ブスとかお互いに言い合える関係の方が長続きする」というもので、私たちカップルの関係性とはかなり異なっている。 というか、なんでも言い合えるという意味の中に、悪口や貶し言葉を入れ込んでしまうのはどうなのだろう、とそのつぶやきを見な

          何でも言い合えるカップルは、本当に長続きするのか?

          モラハラ最低男の涙

          今どハマりしているドラマがある。 それが、毎週金曜22時放送の『凪のお暇』だ。 もともと漫画を読んでいたので、ドラマ化すると聞いて非常に楽しみにしていた。 そしていざ見始めたが、ドラマにもまんまとハマった。 主人公(凪)のモラハラ最低元カレ(慎二)を、高橋一生が演じているのだが、これがまさにどストライク。 高橋一生は、以前『カルテット』というドラマでもわたしが好きな役柄を演じており、俳優としてかなり好きな部類に入っていたので、今回も期待大で見ていたが、本当に期待通り

          モラハラ最低男の涙

          7年目の恋人に向けて

          今日は非常に疲れて、書きたいことが思い浮かばない。よし、そんな時は恋人のことでも思い出して、少しでも幸せな気持ちになろう。 わたしには7年近く付き合っている恋人がいる。 お互いいい歳なので、そろそろ結婚も考えてはいるが、タイミングもあるので今は見送っている。 7年も付き合うと、それはそれは周りから、 「結婚は?まだしないの?」 と耳にタコがいくつもできるほど聞かれる。 「そうですね〜〜そろそろかな〜。」 といつもにこにこ誤魔化して、それ以上説明するのめんどくさいから聞い

          7年目の恋人に向けて

          言語の壁は誰にも見えない

          世界一周旅行で、何不自由なく過ごすためには一体何ヶ国語が話せればいいのだろうか。 これを書いている今現在、世界一周旅行の予定は全くないが、ふと気になってしまった。 ちなみにわたしが自信を持って話せる!と断言できるのは日本語のみである。母国語なので当たり前だが、逆に第二言語とはどれくらい自信を持って話せたら、マスターしたと言えるのか分からない。 仕事の関係上英語を使う機会が多く、むしろ指導することもあるくらいだが、そんな立場に立っていながらいざ外国人と話すと、聞き取れないし

          言語の壁は誰にも見えない

          結局どう答えるのが正解かは分からないが、

          「何フェチ?」 合コン(行ったことはないが)などでよく聞かれるこの質問、みんなは何と答えているのだろう。 足、匂い、指、音、ほくろ、はたまたお尻…この世にはあらゆるフェチが存在している。 この質問をされた時、わたしは今まで匂いフェチと答えていた。(一般的かなと思って) 実際に匂いには敏感だと思うし、恋人の首筋の匂いは好きでいつも嗅いでしまうし、まあ匂いフェチと言っても支障はないと思う。 だが最近、わたしの中で急速に盛り上がっているフェチがある。 それはずばり、言葉フェチ。

          結局どう答えるのが正解かは分からないが、