おいでよ、ライカの沼。(フィルム編)
どうも、Arataです。
突然ですが、なんか最近、Leica(ライカ)買う人増えてません??(私も含め)
私の周りに似たような人が集まっているからかもしれませんが、私の観測できる範囲では、結構増えているなという印象です。それにお年を召した方ではなく、若い人が多い。
昨今、カメラの性能はスマホもデジカメもなんだか大差なくなってきました。どのカメラでどう撮ろうと一定以上のクオリティは担保される時代です。
そこから察するに、性能云々よりもカメラには「体験」が求められ出しているのではないかと。
カメラと共に過ごし、撮影し、共有し、語り合う。単なる撮影のためのモノではなく、所有する喜び、使用する感触、そしてカメラを通じてつながるコミュニティなど、そうした全ての「体験」を生み出してくれる装置としての役割が強くなっている。
その点で、今でもそうした「質」を最重要視したものづくりをしているライカに興味を持つ人が増えてるのではないか…なんて。
さて、前置きが長くなってしまいました。笑
この辺りを語りだすと一生続いてしまいますので、また別記事に預けることとして、、、。
ライカのレビュー記事って山ほどありますが、見てみると結構なにやら小難しいうんちくや、概念的な話が先行して、それぞれのライカのいいところって結局なんなのーー?!みたいなものが多い気がしました。
ライカは各世代、それぞれに違った魅力があり、それが人々を沼らせるポイントでもあります。
今回の記事では、その各世代のライカの特徴をより簡潔にカジュアルに、私の視点でまとめてみようかと思います。
これから、ライカを購入する際の参考になれば幸いです。
今回はまず、フィルムのM型ライカに限ってお送りさせていただきます。
そもそもLeicaってなに?
ライカは、ドイツ中西部の街ウェッツラーに本社を構える老舗の高級カメラメーカーです。1869年にエルンスト・ライツ1世が自身の名前をそのまま社名として「Ernst Leitz」社を設立したのが始まりで、、、、、
ってオイ!!やっぱりうんちくじゃねーか!!!って???
すいませんすいません!!じゃあこれだけでも覚えていってください!!!笑
今では「フルサイズ」なんて言い方をしますが、フィルム時代からカメラをやっている方は、35mm判のことを「ライカ判」と呼ぶ方もいらっしゃったり、それだけ現代まで続くカメラ業界において、とんでもないインパクトを残したメーカーなのです。
そんなライカを象徴する、レンズ交換式レンジファインダーカメラがM型ライカというわけです。
M型ライカの特徴
M型ライカは昨今の一眼レフカメラや一眼ミラーレスカメラなどとは一線を画す形をしています。
M型ライカを語るにあたって外せないのが何と言っても「レンジファインダー」です。
レンジファインダーは素通しのガラスで、光軸上にはなく、レンズで写っている景色と、ファインダーで見える景色は全くの別物。
じゃ、どうやって構図を確認したり、ピントあわせたりすんのさ!と言いたくなると思いますが、ここがレンジファインダーカメラのすごいところ。
レンズを取り付けるとファインダーの中に「ブライトフレーム」と呼ばれる、写真に写る範囲がわかる白い枠が出てきます。
50mm、35mmなどレンズを変えれば、その画角に合わせたブライトフレームが出てきます。
この枠で構図を決めることができます。また、ピント合わせは、ブライトフレームの中心に白い四角(◻︎←こんなやつ)がみえるとおもいますが、この中には二つの像が重なり合うように見えており、ピントリングを回すとそれに連動する形で像が左右にスライドします。
この二つの像をピッタリ重ね合わせると、ピントが合っていることになります。
めんどくさっ!!と、思うかもしれませんがこれがまあ使ってみると楽しいんですよ。
各世代のフィルムライカの特徴
さあ、ここからは各世代のフィルムライカの特徴を端的に(個人的見解で)まとめていきます〜!
ライカは同じ機種でも生産年代によって細かな仕様が違ったり、全てを拾うとなると、とても内容が煩雑になるので、メインとなるモデルのみに今回は絞ってお届けします!
(※全てのライカの写真を持っているわけがないので、アトリエライカさん、サンライズフォトさん解説記事や、ライカ公式さんのページを引用する形でボディのお写真を載せております。)
原点にして頂点。Leica M3
オススメ度:★★★★☆
中古相場:35〜20万円前後
特徴
・0.91倍というほぼ等倍のファインダー
・心地よい巻き上げレバーの感触
・ライカ最高峰の技術を体験できる
注意点
・50mmより広角は対応していない
・フィルムの装填が少し面倒
・オーバーホール済み品を選んだ方が良い
・巻き上げ方式に種類がある
M型ライカの歴史の始まりとなる初代機にして最高の完成度と言われるM3。
ファインダー倍率は0.91倍と、ほぼ見たままの景色を見ることができます。ですが、そのために広角レンズにはファインダーが対応していない点に注意です。ズミクロン50mmF2の専用機といっても過言ではないくらいに相性はバツグンです。
また、生産の年代によってシングルストローク、ダブルストロークとフィルムを巻き上げるための回数が違うのも特徴。
ダブルストロークのM3はM型の中でも最高の巻き心地という声も少なくありません。
M3をよりカジュアルに。Leica M2
オススメ度:★★★★☆
中古相場:26〜19万円前後
特徴
・フレームが35mmレンズに対応
・機能をM3より省略してシンプルに
・M型の中では比較的安価
注意点
・135mmには対応していない
・フィルム装填が少し面倒
・フィルムカウンターは手動復元
M3より機能を省略することで、よりカジュアルにシンプルに使用できるのがこのM2です。ただ、単純な下位互換かというとそうではなく、ファインダー倍率が0.72倍になったことで、35mmレンズに対応し、より広角に強くなりました。
M型ライカの中では比較的安価に購入できる点もポイントです。
ちょっとクセ強。Leica M1
オススメ度:★★☆☆☆
中古相場:20〜15万円前後
特徴
・M2よりさらにシンプルなスナップ特化機
・M型の中では比較的安価
注意点
・35mmと50mmレンズのみフレームが対応
・距離計がないのでピント合わせは目測のみ
M2よりもさらに機能を省略し、距離計までも無くしたのがM1。なのでファインダーでは構図の確認しかできないという玄人仕様。あまり万人にはオススメできないかも…。
スナップを撮る方で、絞り込んでパンフォーカスで撮るような方にはいいかもしれません。
オールドライカの優等生。Leica M4
オススメ度:★★★★☆
中古相場:30〜20万円前後
特徴
・フィルムの装填が簡単に
・フィルムの巻き戻しもクランク式に
・135mmフレームも追加
・現代まで続く美しいボディ
注意点
・ブラックペイントモデルは超高価
・プラパーツの劣化に注意
恐らく、M6に次いで人気であろうモデルのM4。このモデルが現代まで続くライカの美しいデザインの基礎を作りました。
巻き戻しクランク、ラピッドローディングスプールなど、様々な機能が追加されました。非常にクセがなく、ライカの良さを存分に味わえるモデルで、初めてフィルムライカデビューするならまず、お勧めしたいモデルです。
その証に、派生モデルも多くあります。特にブラックペイントモデルは、美品であれば100万円以上の価格でいまでも取り引きされています。
が、このM4が出て以降というもの、すでに世界のカメラ市場は、一眼レフが主流となりつつあり、露出計の内臓やシャッターの電子制御など高度な機能が多くついたカメラが出現していました。
そのため、この機種以降、ライカは暗黒期へと向かっていくのです。
不遇の名機。Leica M5
オススメ度:★★★☆☆
中古相場:25〜18万前後
特徴
・ライカ唯一の追針式露出計内蔵
・ファインダーでSSを確認できる
・使いやすいSSダイアル
注意点
・大柄なボディ
・露出計の関係で使用できるレンズが限られる
・初期型は不具合が多い
・修理ができる場所が限られている
ライカにも露出系をつけようと試行錯誤して生み出されたのがこのM5。
しかし、大型化したボディにこれまでとは全く違ったデザインなどが当時、大反発を招いてしまい、ほとんど売れなかったモデルです。
ですが、大型化されたSSダイアルはファインダーを覗きながらでも指をかけることができ、ファインダー内でもSSを確認できるなど、他のライカにはない使いやすさがあります。露出計もライカ唯一の追針式で一目でわかりやすい表示になっています。
このような他のモデルにはない使いやすさが見直され、近年改めて人気が出てきているモデルでもあります。
ただ、シリアルナンバー135万番台以前の初期型と呼ばれるものは、シャッタードラムの不具合があります。また、ファインダーも三日月型のバルサム切れを起こしている機体が多いので、買われる場合はその部分に注意が必要です。
修理もライカ本国ではできず、国内でもハヤタカメラさんなど限られたカメラ屋さんでしか扱ってもらえないです。ほかにも、露出計の仕組みの関係上、後玉が大きく飛び出したレンズは使用することができないなど、注意点も多いモデルです。
M5については、また別記事でその魅力について語ろうかなと思ってます。
暗黒期の苦肉の策。M4-2・M4-P
オススメ度:★★★★☆
中古相場:30〜20万前後
特徴
・M4-Pは28mmと75mmのフレームを追加
・ワインダーに対応
・その他、M4との大きな違いはない
注意点
・M4-PはLeitzバッヂの好みが分かれる
M5の失敗から時流に乗ることができず、経営の悪化が続いていた時に苦肉の策で出されたこの2モデル。M4の焼き増しなので、基本的に何か大きな性能の違いはありません。
実質的にエルンストライツ社は倒産し、現在のライカカメラへと移りゆくその過渡期にでたこともあり、あまり名前が上がることの少ないモデルです。
今でこそ絶大な人気を博しているLeicaもこんな時期があったんだと、驚きですよね。
超王道ライカ最高傑作。Leica M6
オススメ度:★★★★★
中古相場:60〜30万円前後
新品価格:75万円前後
特徴
・ライカ最高傑作と名高い使いやすさ
・あらゆる機能の完成度が高い
・最近リニューアルされたので新品も購入可
・様々な派生機種がある
リニューアル版の特徴
・亜鉛ダイカストから真鍮削り出しに変更
・新技術のブラックペイント
・ファインダーコーティングを改善
注意点
・旧M6は塗装の浮きに注意
・旧M6はファインダーの反射に注意
・価格が異常に高騰している
・目立つ赤バッヂの好みが分かれる
ライカの歴史の中でも最高傑作と名高いM6。その人気は絶大で、ものすごい数の生産台数と様々な派生機種を生みました。
その人気から、2022年にはリニューアル版として再販までされています。
実用ライカとしてはこれ以上ない完成度です。不満という不満はないでしょう。ライカを体感するならコレ!という一台。中古市場にも状態のいい機種がたくさん溢れています。
ただ、近年中古価格が異常なまでに高騰しているので、価格が高い点に注意が必要です。現状、オリジナルにこだわりのある方、すぐに手元にほしい方以外は、リニューアル版を新品で購入した方が長期的に見てお得だと私は思っています。
オリジナルM6の注意点として、塗装の浮きが発生しやすい点と、ファインダーのコーティングが弱く、ハレーションが起きやすい点が挙げられます。中古で購入する際はこれらに注意したほうがいいでしょう。
またM6TTLというストロボのTTL調光にも対応したモデルもあります。
こちらはボディの高さが3ミリ高くなっている他、SSダイアルが大型化し、回転方向が逆になった点など変更点があります。
ファインダー倍率も0.72倍、0.85倍、0.58倍など様々種類があるので注意です。
唯一無二の電子式。Leica M7
オススメ度:★★★★☆
中古相場:70〜50万円前後
特徴
・電子式制御のシャッター
・絞り優先オートができる
・フィルムのDXコードに対応
・1/60、1/125は機械式シャッターで切れる
注意点
・電子制御式なので修理が難しい
・電池がなくなると、シャッターが切れない
電子制御式シャッターを搭載した唯一無二のフィルムライカです。電子制御を取り入れたことで、絞り優先オートで撮影をすることができるようになりました。オート設定にしておけば、シャッターボタンを押すだけで撮れますので、どのライカよりもものすごい利便性が高くなってます。フィルムのDXコードにも対応しましたので、ISOの数値を自動で認識もしてくれます。
ただ、緊急避難用に1/60と1/125は機械式でシャッターを切ることができますが、これ以外は電池がなくなるとシャッターは切ることができません。(バッテリーがなくなると撮れないデジタル機と一緒ですね。むしろ現代じゃこちらの方が普通か、、、?)
また、電子部品が多いので、故障した場合、国内では修理はほぼ不可能。ライカ本国ではまだやってくれる、、、?のかな?なんにせよ、修理するには相当な出費が必要となる点は最大の注意点です。
現役フィルムライカ。Leica MP
オススメ度:★★★★★
新品価格:75万円前後
特徴
・新品で購入できる数少ないフィルムカメラ
・M3のような見た目で中身はM6
注意点
・貼り革が他のライカと材質が違う
・在庫がない場合、納期が長い
数少ない、新品で購入できるフィルムカメラです。現代でもフィルムカメラを新品で購入できるのは本当にすごいことです。
見た目はM3のようなクラシックな見た目で、中身はM6とほぼ変わりません。露出計付きで大変使いやすいです。
ブラックペイントのエイジングを新品で一から楽しめるのはこの機体だけかもしれません。
在庫がない場合、タイミングによっては納期がとても長く、半年などかかる場合がある点に注意です。
原点回帰。Leica M-A
オススメ度:★★★★☆
新品価格:75万円前後
特徴
・露出計も全て撤廃した完全機械式カメラ
・ライカの原点を現代に伝えるモデル
注意点
・露出計がないので、単体露出計は必須
・在庫がない場合、納期が長い
こちらも新品で購入できる数少ないフィルムカメラです。MPは露出計が内蔵されていましたが、こちらは露出計も撤廃した完全機械式カメラ。ネジとバネだけで動くため、修理も比較的に容易。メンテナンスしていけば、まさに一生人生を共にできるモデルになります。
現代のデジタルカメラは、もって十数年程度です。ボディーに異常がなくても、バッテリーが販売されなくなれば2度と使うことができません。
その点、このM-Aはファーストオーナーとして一生添い遂げられる、そんなロマンがある一台。ライカの価値を現代に体現するモデルだと思います。
デジタルカメラにはない、価値を手に
さて、いかがでしたか?
フィルムライカだけでもこんなに様々な特徴があるライカです。そりゃ沼るわ、、、、。って思いますよね笑
さらにここから、今回紹介しきれなかったデジタルライカの沼、ライカレンズの沼も広がってるわけですから、まー危険!!!危険地帯です!!落ちたが最後、もがけばもがくほどいろんな沼を踏み抜き、ズブズブと飲み込まれるのみです。笑
デジタルカメラは、電子機器。メーカーの新作戦略のサイクルにも飲み込まれるし、長く使おうにも、そもそもの設計思想が「長く大切に使う」こと念頭には置かれていません。使えなくなれば、「新モデルがあるからそっち買ってね」がメーカーの正直なところかと思います。
そんな「消費」の時代とは、少し離れた場所にあるフィルムライカ。ぜひ、その価値を体感してみてください。
ではまた次回!👋
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