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758スクラップブック コラム集

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新聞記者が歩いて、見て、感じたことをコラム調に配信します。「ふと思い出しました」のフレーズで、昔の取材経験を織り込みながら、地域経済や文化の「今」をスケッチする「歩きメディア」で…
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2020年11月の記事一覧

考古学はアナログかデジタルか~ 瀬戸古窯の復元焼成から~大人の学びなおし

考古学はアナログかデジタルか~ 瀬戸古窯の復元焼成から~大人の学びなおし

 冒頭の写真は、1989年に愛知県瀬戸市で撮影した平安時代の穴窯です。正式名称は穴田南第7号窯です。筆者が考古学というものを肌で感じた最初の現場でした。
 その考古学の現状を学ぶ機会がありました。スタートアップ拠点「ナゴヤ イノベーターズ ガレージ」(名古屋市中区栄3)で開講した大人の学び直し「デジタル時代の価値観を考えるリベラル・アーツ講座」の第2クール(全10回)です。
 11月18日の講師は

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晴れの日 素のままの一瞬

晴れの日 素のままの一瞬

 写真展「祝!結婚」の会場が華やいでいました。11月5日まで名古屋・伏見の富士フィルムフォトサロンで開催の名古屋の写真家、花井達さん(42歳)の40枚です。
 結婚式場の芝生にごろっと横たわる参列者たち。天気にも恵まれ、緊張感から解放された一瞬でしょうか(写真左)。別の一枚は、顔を白塗りにした新郎の友人と目頭を押さえながらマイクを握る年配の男性です。写真説明には「予想に反し、感動的なインタビューに

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刹那の美 ジェイムズ・リー・バイヤーズの前半生

刹那の美 ジェイムズ・リー・バイヤーズの前半生

 死後20年以上を経た今もなお、美の異端者として語られるアーティストがいます。ジェイムズ・リー・バイヤーズ(1932ー1997年)です。
 美術史家、坂上しのぶ著「ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美」(青幻舎)で、ミステリアスな芸術家のことを知りました。 
 坂上さんは、ヤマザキマザック美術館(名古屋市東区)の学芸員です。京都市在住の頃から、バイヤーズの日本滞在時の足跡と芸術表現について研究し

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スクラップという言葉の響き アーティストのたくらみを探す

スクラップという言葉の響き アーティストのたくらみを探す

 新聞記者だったので、スクラップという語感にひかれます。ヤマザキマザック美術館(名古屋市東区)で、富田菜摘スクラップ・ワールド展が始まりました。
 スクラップ(scrap)を明鏡国語辞典で調べてみると、二つの意味がありました。ひとつは「新聞・雑誌などから必要な記事を切り抜くこと。また、その切り抜き」です。もう一つが「金属の切りくず。くず鉄。また、金属製品の廃品」です。「廃車をスクラップにする」とい

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