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晴れの日 素のままの一瞬

 写真展「祝!結婚」の会場が華やいでいました。11月5日まで名古屋・伏見の富士フィルムフォトサロンで開催の名古屋の写真家、花井達さん(42歳)の40枚です。
 結婚式場の芝生にごろっと横たわる参列者たち。天気にも恵まれ、緊張感から解放された一瞬でしょうか(写真左)。別の一枚は、顔を白塗りにした新郎の友人と目頭を押さえながらマイクを握る年配の男性です。写真説明には「予想に反し、感動的なインタビューになってしまい、まじめな表情で聞き入る友人」(写真右)とありました。
 花井さんは12年間に1万組近い結婚写真を撮影してきました。晴れ舞台のわきで、自然に写した一瞬が、写真作品として成立しています。
 このほか、式で読み上げる誓詞を別室で練習する外国人の新郎、ケーキをつまみ食いする男の子など、ほのぼのとする一瞬がありました。「僕の写真で、みんながちょっと笑顔になってくれて、世界がちょっと平和になったら幸せです」というのが花井さんの思いです。
 筆者も10月31日に知人の長男の結婚式に招かれました。親戚や友人たちの前で執り行う人前式です。参列者の名前が書かれた誓詞に押印して、結婚の証人となりました。それぞれが好きな色で押印したので、まるで虹色のようにカラフルな証明書ができあがりました。
 ある写真展を思い出しました。1987年8月に名古屋市昭和区の保健所で開かれた区制50周年記念の「なごやかカップル写真展」です。結婚50年を超えた区内在住のご夫婦79組の笑顔。保健所職員が自宅に伺い、夫婦円満のこつや健康法を聞いて、笑顔をカメラに納めました。金婚式を迎えているだけに、自然な笑顔が印象的でした。
 記事には取材したご夫婦の言葉を載せました。「物事を苦にせず、熟睡を心がけているから長生きができたんでしょう」。口をそろえて息の合ったところをみせていたと記しました。
 ブライダル産業は年々、様変わりしていますが、一生懸命祝おうとする人たちの気持ちは、いつの時代も同じです。写真展や人前式のカップルに幸多かれ。金婚式には、どんな息の合った言葉が聞かれるのでしょうか。
(2020年11月4日)

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