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論文まとめ352回目 SCIENCE 炎症制御を目指した生体親和性の高い生体電子デバイスを開発!?など

科学・社会論文を雑多/大量に調査する為、定期的に、さっくり表面がわかる形で網羅的に配信します。今回もマニアックなSCIENCEです。

さらっと眺めると、事業・研究のヒントにつながるかも。
世界の先端はこんな研究してるのかと認識するだけでも、
ついつい狭くなる視野を広げてくれます。


一口コメント

Quantifying the impact of misinformation and vaccine-skeptical content on Facebook
Facebookにおけるミスインフォメーションとワクチン懐疑的コンテンツの影響の定量化
「この研究は、Facebookにおけるワクチン関連投稿の影響を調べました。事実と異なるミスインフォメーションは見られた時の影響は大きいが、多くの人に見られることはなく、反ワクチンの影響は小さかった。一方、事実だが懐疑的な内容の投稿は、より多くの人に見られ、ワクチン忌避に46倍も影響していました。誤情報対策だけでなく、グレーゾーンの懐疑的コンテンツにも注意が必要だと示唆しています。」

Supersharers of fake news on Twitter
Twitterにおけるフェイクニュースの拡散者たち
「Twitterにおいて、全登録有権者のわずか0.3%に過ぎないSupersharersと呼ばれる極少数のユーザーが、8割ものフェイクニュースを拡散していることが明らかになりました。Supersharersは中年の白人女性が多く、保守的な州に集中していました。彼らは自動化ツールは使わず、手動で大量のリツイートを行っていました。この研究は、少数の人がSNSで政治的現実を歪められる脆弱性を示しています。」

Pharmacological modulation of septins restores calcium homeostasis and is neuroprotective in models of Alzheimer’s disease
セプチンの薬理学的修飾はカルシウムホメオスタシスを回復させ、アルツハイマー病モデルにおいて神経保護作用を示す
「アルツハイマー病の特徴の1つに、神経細胞内のカルシウム濃度の異常があります。本研究では、セプチンというタンパク質に作用する新薬ReS19-Tが、病気の神経細胞でカルシウム濃度を正常化し、記憶障害や脳波の異常を改善することを動物モデルで示しました。セプチンを標的とする全く新しいアプローチで、根本的な治療法につながる可能性があります。」

Heinrich event ice discharge and the fate of the Atlantic Meridional Overturning Circulation
ハインリッヒイベントにおける氷の流出と大西洋子午面循環の運命
「氷期の巨大な氷山流出は大西洋の海流を弱めたが、現在のグリーンランドの氷山の量はその時ほど多くない。氷床が後退し氷山の発生源から離れつつあるため、将来的に氷山だけで海流に大きな影響を与えることはないだろう。ただし、グリーンランドからの融解水の増加と地球温暖化の進行は、海流の安定性を脅かす懸念材料だ。」

Solid-state continuous time crystal in a polariton condensate with a built-in mechanical clock
ポラリトン凝縮体中の組み込み機械振動子によって実現された固体中連続時間結晶
「半導体に光を当てると、電子と正孔がペアになった励起子ができます。これが光子と結合すると、ポラリトンと呼ばれる準粒子になります。このポラリトンが大量に集まると、ボース・アインシュタイン凝縮を起こします。今回、このポラリトン凝縮体が、半導体中の音響フォノン(格子振動の量子)と結合することで、時間方向に周期的な秩序を自発的に形成する「時間結晶」になることが分かりました。普通の結晶は空間的な周期構造を持ちますが、時間結晶は時間的な周期構造を持つ、新しいタイプの非平衡物質状態です。」

Active biointegrated living electronics for managing inflammation
炎症制御のためのバイオインテグレーション活性生体エレクトロニクス
「この研究は、体になじみやすい独特な材料を使って、体の炎症を制御するウェアラブルデバイスを開発しました。デバイスの表面には生きた細菌を含むハイドロゲルを使い、皮膚との信号伝達を円滑にしています。マウスの実験で乾癬という皮膚の炎症を改善することに成功し、新しい治療法への応用が期待されます。生体になじむ「生きた」電子デバイスという新発想が面白い研究です。」

Shearing brittle intermetallics enhances cryogenic strength and ductility of steels
鋼の極低温強度と延性を高める脆性金属間化合物のせん断
「この研究は、通常は割れやすい金属間化合物ナノ粒子を、鉄・マンガン・アルミ・ニッケル・炭素からなる特殊な鋼の中で、うまく”切る”ことに成功しました。母相の強度が非常に高いため、硬くて脆いナノ粒子も変形に追従して”切れる”ようになり、強度と延性の両立を可能にしたのです。これにより、液体窒素温度でも高強度と高延性を示す画期的な鋼が開発されました。」


要約

ワクチン懐疑的なコンテンツが、事実確認済みのミスインフォメーションより、ワクチン忌避に46倍影響を及ぼした。

https://www.science.org/doi/10.1126/science.adk3451

この研究は、2021年1月から3月にかけてFacebookで流通したCOVID-19ワクチン関連のURLコンテンツがワクチン忌避に与えた影響を推定しました。事実確認者によってミスインフォメーションとして認定されたコンテンツと、認定されなかったがワクチン懐疑的な内容のコンテンツを比較したところ、ミスインフォメーションの影響よりもワクチン懐疑的コンテンツの影響の方が46倍も大きかったことを発見しました。確かに1つ1つのミスインフォメーションは見られた時のワクチン忌避への影響は大きかったのですが、flagされたミスインフォメーションへの接触は全体の0.3%と非常に少なく、一方でワクチン懐疑的な内容は主要メディアから大量に発信され、多くのユーザーに見られていました。クラウドソーシングと機械学習を使い、13,206のFacebook URLの影響を推定したところ、flagされたミスインフォメーションは1人のFacebookユーザーあたり0.05%程度のワクチン接種意欲低下を引き起こしたのに対し、flagされなかったワクチン懐疑的コンテンツは2.28%と46倍の影響があったのです。

事前情報

  • COVID-19ワクチン忌避の原因としてソーシャルメディアのミスインフォメーションがよく指摘されている

  • しかし、そのミスインフォメーションが実際にどの程度の人に見られ、ワクチン行動に影響を与えたのか不明確

  • ミスインフォメーションだけでなく、事実だがワクチンに懐疑的な内容のコンテンツもワクチン忌避を引き起こす可能性がある

行ったこと

  • 18,725人に130のワクチン関連ヘッドラインを見せる実験を行い、ワクチン接種意欲への影響を測定

  • Facebookの2021年1-3月のデータから13,206のワクチン関連URLの閲覧数を調べた

  • クラウドソーシングと機械学習を使って各URLのワクチン接種意欲への影響を推定した

検証方法

  • 2つの大規模オンライン調査実験を行い、ワクチン関連コンテンツ閲覧後のワクチン接種意欲の変化を測定

  • Facebookの”Social Science One”データセットからワクチン関連URLの閲覧数を集計

  • 実験結果をもとに、クラウドソーシングと自然言語処理を使ってFacebookの13,206 URLのワクチン接種意欲への影響を予測するパイプラインを開発

分かったこと

  • ミスインフォメーションはワクチン忌避を引き起こすが、ワクチンの健康リスクを示唆する程度の方が影響は大きい

  • Facebookでのミスインフォメーションの閲覧数は全体の0.3%と少なく、影響は限定的だった

  • 一方、事実だがワクチンに懐疑的な内容は主要メディアから大量に発信され、閲覧数が圧倒的に多かった

  • ワクチン懐疑的コンテンツのワクチン忌避への影響は、ミスインフォメーションの46倍だった

研究の面白く独創的なところ

  • コンテンツの「影響」を接触数と説得力の積と定義し、ボトムアップで定量化した点

  • 事実性だけでなく、ワクチンへの懐疑を生むコンテンツにも着目した点

  • 単なる相関ではなく、実験とデータを組み合わせて因果的な影響を推定した点

  • クラウドソーシングと機械学習を使い、大規模なURLデータの影響を予測した点

この研究のアプリケーション

  • コンテンツの影響を事前に予測し、有害なものを抑制する

  • 事実だが誤解を招く報道の仕方を見直す

  • プラットフォーム上の有害コンテンツ対策の効果を定量的に評価する

  • 他の文脈(政治的分極化など)でもコンテンツの影響予測に応用できる

著者と所属
Jennifer Allen (MIT経営大学院) Duncan J. Watts (ペンシルベニア大学) David G. Rand (MIT経営大学院)

詳しい解説
この研究は、ソーシャルメディア上の情報がCOVID-19ワクチン忌避に与えた影響を初めて定量的に示したものです。特に、事実と異なるミスインフォメーションだけでなく、事実だがワクチンに懐疑的な内容のコンテンツに着目したのが新しい点です。
まず著者らは大規模な調査実験を行い、さまざまなワクチン関連ヘッドラインを見た人のワクチン接種意欲の変化を測定しました。その結果、ミスインフォメーションはワクチン忌避を引き起こすものの、むしろワクチンの健康リスクを示唆する程度の方が影響が大きいことがわかりました。
次に、FacebookのURLの閲覧データを分析したところ、事実確認者によってミスインフォメーションだとflagされたコンテンツは全体の0.3%と非常に少なく、影響は限定的でした。一方で、事実だがワクチンに懐疑的な内容のコンテンツは、Chicago Tribuneなどの主要メディアから大量に発信され、はるかに多くの人に見られていたのです。
そこで著者らは、クラウドソーシングと機械学習を使って、Facebookの13,206のワクチン関連URLがワクチン接種意欲に与える影響を推定するパイプラインを開発しました。その結果、flagされたミスインフォメーションが1人のFacebookユーザーあたり0.05%程度のワクチン忌避を引き起こしたのに対し、flagされなかったワクチン懐疑的コンテンツは2.28%と46倍の影響があったことが明らかになりました。
この研究は、ソーシャルメディアにおける有害情報対策として、ミスインフォメーションの排除だけでは不十分で、事実だがミスリーディングなコンテンツにも注意を払う必要があることを示唆しています。そのためには、コンテンツの影響を事前に予測し、定量的に評価する手法の確立が重要だと言えるでしょう。


TwitterにおけるフェイクニュースのSupersharersの分析

https://www.science.org/doi/10.1126/science.adl4435

著者らはTwitterにおけるフェイクニュース拡散の集中度について分析した。664,391人の登録有権者パネルデータを用いて、Twitterでフェイクニュースの8割を拡散する2,107人のSupersharersを特定した。Supersharersは登録有権者の5.2%にリーチしており、ネットワーク上で影響力が高かった。Supersharersには女性、高齢者、共和党支持者の割合が有意に高かった。アリゾナ州、フロリダ州、テキサス州に偏在していた。彼らは教育水準が低い地域に多かったが、収入は比較的高かった。自動化ツールは使わず、手動で執拗にリツイートしていた。この知見は、フェイクニュース拡散を抑制する有効な対策を検討する政策立案者に役立つ。

事前情報

  • 少数のSupersharersがSNS上のフェイクニュースの多くを拡散している

  • Supersharersの属性や影響力は不明だった

行ったこと

  • 2020年米大統領選期間中の664,391人の登録有権者Twitterパネルデータを用いた

  • フェイクニュースの8割を拡散する2,107人のSupersharersを特定し分析した

  • Supersharersのリーチ、ネットワーク上の重要性、社会人口統計的特徴、拡散手法を調べた

検証方法

  • SupersharersとSS-NF(非フェイクニュースの拡散者)、平均的パネルをロジスティック回帰で比較

  • 自動化の使用は投稿時間やBotometerなどの指標で評価

  • 検証の頑健性を複数の方法で確認した

分かったこと

  • Supersharersは登録有権者の5.2%にリーチし、フェイクニュース消費者の2割がフォロー

  • 女性、高齢者、共和党支持者の割合が有意に高く、アリゾナ、フロリダ、テキサスに集中

  • 教育水準が低い地域に多いが、収入は比較的高い

  • 自動化ツールは使わず、手動で大量のリツイートにより拡散

研究の面白く独創的なところ

  • 大規模なパネルデータを用いて、Supersharersを包括的に分析した初の研究

  • 従来のステレオタイプと異なるSupersharersの実像を解明

  • SNSにおける少数による政治的現実の歪曲という民主主義の脆弱性を示唆

この研究のアプリケーション

  • Supersharersをターゲットとした介入や規制で効果的にフェイクニュース拡散を抑制可能

  • Supersharersの動機解明はより適切な介入策の検討に役立つ

  • 他のSNSでのSupersharersの分析、フォロワーへの影響の測定などの発展が期待される

著者と所属
Sahar Baribi-Bartov (Ben-Gurion University) Briony Swire-Thompson (Northeastern University) Nir Grinberg (Ben-Gurion University)

詳しい解説
この研究は、Twitterにおけるフェイクニュースの拡散が極少数のユーザーに集中していることを明らかにしました。著者らは2020年米大統領選期間中の66万人以上の登録有権者パネルデータを分析し、フェイクニュース拡散の8割を占める2,107人のSupersharersを特定しました。
Supersharersは全体の0.3%に過ぎませんが、5.2%の登録有権者にリーチしており、とりわけフェイクニュースの大量消費者の2割がSupersharersをフォローしていました。ネットワーク上の影響力も高く、フォロワーに提供するフェイクニュースの4分の1近くを占めていました。
Supersharersには女性、高齢者、共和党支持者が有意に多く、アリゾナ州、フロリダ州、テキサス州といった保守的な州に集中していました。教育水準の低い地域に多いものの、収入は比較的高めでした。若くて技術に詳しい男性というステレオタイプとは異なる実像が明らかになりました。
また、Supersharersは自動化ツールを使わず、手動で大量のリツイートを執拗に行うことでフェイクニュースを拡散していました。巧妙な自動化ではなく、地道な人力による拡散だったのです。
この研究は、ごく少数の人々が民主主義の根幹である平等な発言権を掘り崩し、SNS上で政治的な現実認識を歪曲してしまう脆弱性を浮き彫りにしました。Supersharersをターゲットとした効果的な介入策の検討や、彼らの動機の解明など、フェイクニュース対策のための重要な基礎的知見を提供した画期的な研究だと言えるでしょう。今後、他のSNSでの分析や、フォロワーの政治的態度・行動への影響の測定など、さらなる発展が期待されます。


アルツハイマー病モデルでセプチン修飾薬がカルシウム恒常性を回復し神経保護効果を示した。

https://www.science.org/doi/10.1126/science.add6260

アルツハイマー病の病理学的特徴であるアミロイドβ(Aβ)とタウタンパク質の蓄積は、神経細胞内のカルシウム恒常性の破綻を引き起こす。本研究ではタウ病理に起因するカルシウム流入を厳密に制御するセプチン結合化合物ReS19-Tを同定した。ReS19-Tはセプチン6に最も高い親和性で結合し、セプチンフィラメントの安定性を高め、病理条件下での異常なストア作動性カルシウムチャネル(SOCC)の活性化を抑制した。AβとタウのADマウスモデルにReS19-Tを投与したところ、海馬長期増強、空間記憶、脳波が正常化し、AβとタウのAD病理も軽減された。セプチン細胞骨格を標的とすることは新たなAD治療戦略となり得る。

事前情報

  • アルツハイマー病(AD)は認知症の60-80%を占める神経変性疾患で、有効な予防法や治療法がない。

  • ADの病理学的特徴はアミロイドβ(Aβ)とタウタンパク質の蓄積だが、これらはカルシウム恒常性の破綻を引き起こす。

  • カルシウムシグナル異常は神経細胞死と神経ネットワーク機能不全の中心的役割を担う。

  • 病的状態で過剰に活性化されるカルシウム流入経路を同定し、標的とすることが有望な治療戦略となる。

行ったこと

  • タウ毒性に起因し、カルシウム流入に依存する細胞モデルを用いて化合物スクリーニングを行った。

  • ヒット化合物ReS19-Tを最適化し、標的タンパク質としてセプチンを同定した。

  • ReS19-Tがセプチンフィラメントの安定性を高め、病的なストア作動性カルシウムチャネル(SOCC)の活性化を抑制することを示した。

  • AβとタウのADマウスモデルにReS19-Tを投与し、記憶、脳波、AD病理への効果を評価した。

検証方法

  • タウ毒性誘導性のカルシウム流入を指標とした細胞アッセイを用いた化合物スクリーニング

  • 蛍光相関分光法によるReS19-Tとセプチンの結合親和性測定

  • 細胞内カルシウム濃度の蛍光イメージング

  • 小胞体-細胞膜接触部位の共局在イメージング

  • ADマウスモデルにおける海馬長期増強、物体位置記憶、脳波の解析

  • ADマウス脳でのAβ、タウ病理の評価

分かったこと

  • ReS19-Tはセプチン6に最も高い親和性で結合し、セプチンフィラメントを安定化する。

  • タウ病理はセプチンフィラメントを不安定化し、SOCCの異常活性化とカルシウム過負荷を引き起こす。

  • ReS19-TはSOCCの病的な活性化を抑制し、カルシウム恒常性を回復させる。

  • ReS19-TはADマウスで記憶障害と脳波異常を改善し、AβとタウのAD病理を軽減した。

研究の面白く独創的なところ

  • セプチンを標的とする全く新しいAD治療戦略を提示した点。

  • 病態に伴う特異的なSOCC活性化を阻害することで、副作用リスクを低減している点。

  • タウとAβ両方の病理に効果を示し、AD病態の根本的な制御に寄与し得る点。

  • 比較的症状の進行した動物モデルでも有効性を示唆しており、臨床的にインパクトがある点。

この研究のアプリケーション

  • セプチンを標的としたADの新規根本的治療薬の開発

  • リード化合物ReS19-Tのさらなる最適化と非臨床/臨床試験への展開

  • ADにおけるセプチン-SOCCシグナル経路の詳細な解明

  • セプチン修飾によるカルシウム恒常性制御の他の神経変性疾患への応用

著者と所属
Katrien Princen, Tom Van Dooren, Gerard Griffioen - reMYND NV, Leuven-Heverlee, Belgium Nikolaos Louros, Frederic Rousseau - Switch Laboratory, VIB-KU Leuven Center for Brain & Disease Research, Leuven, Belgium Joris de Wit - VIB-KU Leuven Center for Brain & Disease Research, Leuven, Belgium

詳しい解説
アルツハイマー病の重要な病理学的特徴の1つに神経細胞内のカルシウム恒常性の破綻があり、これはアミロイドβ(Aβ)とタウタンパク質の蓄積と密接に関連している。本研究ではまず、タウ毒性によりカルシウム流入に依存して起こる細胞死モデルを用いて化合物スクリーニングを行い、カルシウム流入を抑制する化合物ReS19-Tを同定した。標的同定の結果、ReS19-Tはセプチンファミリータンパク質、特にセプチン6に高親和性で結合することが分かった。セプチンは細胞骨格の構成要素で、細胞膜直下でフィラメント構造を形成している。
病的なタウの蓄積は、セプチンフィラメントを不安定化することでストア作動性カルシウムチャネル(SOCC)の異常な活性化を引き起こし、細胞内カルシウム過負荷を招く。ReS19-Tはセプチンへの結合によりフィラメントの安定性を高め、病態に伴うSOCCの特異的な活性化を抑制することで、カルシウム恒常性を回復させる作用を示した。一方、正常な生理的条件下でのSOCC制御には影響しなかった。
さらに、Aβ、タウ病理を呈するアルツハイマー病マウスモデルを用いて、ReS19-Tの in vivo での効果を検証した。その結果、ReS19-Tの投与により、記憶の形成に関わるシナプス可塑性(海馬長期増強)の障害が改善し、空間記憶の欠損や脳波の異常が正常化した。また脳内のAβ、タウ病理の蓄積も抑制された。
本研究の意義は、セプチン細胞骨格を新たなアルツハイマー病治療の標的として提示した点にある。ReS19-Tに代表されるセプチン修飾薬は、病態特異的にSOCCを制御することでカルシウム恒常性を回復させる効果を示し、記憶などの認知機能改善や神経細胞死抑制に働く。特にReS19-Tは、比較的病状の進行したモデルにおいても有効性が示唆されており、アルツハイマー病の根本的治療法開発に向けた大きな一歩となる可能性がある。今後はリード化合物のさらなる最適化を経て、臨床試験への展開が期待される。


気候変動に伴うグリーンランド氷床の融解によって、大西洋の海流が停止するリスクは低い。

https://www.sciencemag.org/doi/10.1126/science.adh8369

大西洋の子午面循環 (AMOC) は、熱や塩分、栄養分を再分配することで、地球の気候と海洋生態系に大きな影響を与えている。最終氷期のハインリッヒイベント (HEs) の間、大規模な氷山の流出がAMOCを弱めたことが知られている。HEsの氷の放出量を再構築することで、AMOCの氷山融解に対する感度を制約できる。本研究では、HE4のピーク時の氷の放出量が0.13 Sv (1 Sv = 100万m3/秒) に達し、全HEsを平均すると0.029 Svであったことを明らかにした。現在のグリーンランド氷床の氷山流出量は中程度のHEに匹敵する。将来、グリーンランド氷床が海に面した出口から後退するにつれ、氷山の流出だけでAMOCに壊滅的な影響を与える可能性は低くなるが、加速するグリーンランドの融解水と継続的な地球温暖化はAMOCの安定性への脅威である。

事前情報

  • 大西洋子午面循環 (AMOC) は地球の気候と海洋生態系に大きな影響を持つ

  • 最終氷期のハインリッヒイベント (HEs) では大規模な氷山流出がAMOCを弱めた

  • HEsの氷の放出量からAMOCの氷山融解への感度を制約できる

行ったこと

  • HEsにおける氷の放出量を再構築した

  • HE4のピーク時は0.13 Sv (1 Sv = 100万m3/秒)

  • 全HEsの平均は0.029 Sv

  • 現在のグリーンランド氷床の氷山流出量と比較した

検証方法

  • 海底堆積物コアの230Th濃度から氷山流出量を推定

  • モンテカルロシミュレーションで不確実性を考慮

分かったこと

  • 現在のグリーンランドの氷山流出量は中程度のHEと同等

  • 将来氷床が後退し氷山発生源から遠ざかると、氷山だけではAMOCへの重大な影響は避けられる

  • ただしグリーンランドの融解水増加と地球温暖化はAMOCの脅威

研究の面白く独創的なところ

  • 過去の大規模な氷山流出イベントから現在と将来のリスクを評価

  • 海底堆積物から氷山の量を定量的に推定する手法を確立

この研究のアプリケーション

  • AMOCの安定性を評価し、気候変動の影響を予測

  • 海底堆積物から過去の氷床変動を復元する手法への応用

著者と所属
Yuxin Zhou (コロンビア大学ラモントドーハーティ地球観測所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校) Jerry F. McManus (コロンビア大学ラモントドーハーティ地球観測所)

詳しい解説
大西洋子午面循環 (AMOC) は、大西洋の表層で熱や塩分を北上させ、深層で冷たい水を南下させる巨大な海洋の流れである。AMOCは熱や塩分、栄養分を再分配することで、地球の気候と海洋生態系に大きな影響を与えている。最終氷期に数千年おきに起こったハインリッヒイベント (HEs) と呼ばれる大規模な氷山の流出イベントでは、AMOCが弱まったことが知られている。
本研究では、HEsの間の氷の放出量を海底堆積物コアの230Th濃度から推定し、AMOCの氷山融解に対する感度を評価した。その結果、HE4のピーク時には0.13 Sv (1 Sv = 100万m3/秒) もの氷が放出され、全HEsを平均すると0.029 Svであったことが明らかになった。この値は、現在のグリーンランド氷床から流出する氷山の量と同程度である。
将来、気候変動によってグリーンランド氷床が海に面した出口から後退していくと、氷山の発生源から遠ざかるため、氷山の流出だけでAMOCに致命的な影響を与える可能性は低くなると考えられる。ただし、グリーンランドからの融解水の増加と地球温暖化の進行は、AMOCの安定性を脅かす懸念材料である。
本研究は、過去の大規模な氷山流出イベントから現在と将来のAMOCへのリスクを定量的に評価した点で独創的である。また、海底堆積物から氷山の量を推定する手法を確立したことで、過去の氷床変動を復元する研究にも応用可能である。AMOCの安定性を正確に評価することは、気候変動の影響を予測する上で重要である。


ポラリトン凝縮体が内部の音響フォノンと結合することで、連続的な時間の並進対称性を自発的に破る”連続時間結晶”を形成した。

https://doi.org/10.1126/science.adn7087

ポラリトン凝縮体は、半導体マイクロキャビティ中で非平衡条件下で自発的に形成される巨視的量子状態である。本研究では、連続波レーザーで励起されたポラリトン凝縮体が、キャビティフォノンとの相互作用により、自発的に時間並進対称性を破り、連続時間結晶(TC)になることを実証した。TC相はレーザー励起強度に応じて、(1)ラーモア歳差運動、(2)フォノンにロックされた安定化TC、(3)フォノンによる離散的TCの3種類が観測された。マイクロキャビティポラリトンは非エルミート系でTC形成を探求するプラットフォームとなり得る。

事前情報

  • 時間結晶(TC)は時間並進対称性を自発的に破る多体系

  • 離散的あるいは連続的に駆動された開放量子系でTCが実現されている

  • マイクロキャビティ励起子ポラリトンは光と物質が強結合した準粒子

行ったこと

  • 非共鳴連続波レーザーで励起されたポラリトン凝縮体の時間発展を測定

  • レーザー励起強度とキャビティフォノンとの相互作用に応じたTC相を観測

  • ポラリトン疑似スピンのラーモア歳差運動(連続TC)

  • コヒーレントフォノンにロックされたTCの安定化

  • フォノンによるTCの周期の2倍化(離散TC)

  • TCを支配する理論モデルを構築しシミュレーションと比較

検証方法

  • III-V族半導体マイクロキャビティ中のポラリトン凝縮体を使用

  • 非共鳴連続波レーザー励起により凝縮体形成

  • ストリークカメラによる時間分解分光でポラリトン pseudospin ダイナミクスを測定

  • 励起レーザー強度と温度を変化させTC相を制御

分かったこと

  • 非平衡開放系ポラリトン凝縮体が連続TCを形成できる

  • ポラリトンとフォノンの相互作用がTCの安定化に重要

  • TCの周期はフォノン周波数で決まる

  • 励起強度に応じて連続TCから離散TCへ転移する

  • TCは非エルミート系での時間並進対称性の破れを探る新しいプラットフォーム

研究の面白く独創的なところ

  • 固体中で連続TCを初めて実証

  • 励起強度で連続TCと離散TCを制御できる

  • ポラリトン凝縮体の疑似スピンを使ってTCをセンシング

  • TCの形成にキャビティフォノンが重要な役割

この研究のアプリケーション

  • 非平衡開放系での時間並進対称性の破れの基礎研究

  • ポラリトニクスへのTC概念の導入

  • 疑似スピンを使った新しいタイプの時間デバイス

  • コヒーレントフォノンを利用した量子情報処理

著者と所属
I. Carraro-Haddad, D. L. Chafatinos, A. A. Reynoso, G. Usaj, A. Fainstein Centro Atómico Bariloche and Instituto Balseiro, CONICET, Argentina
A. S. Kuznetsov, K. Biermann, P. V. Santos Paul-Drude-Institut für Festkörperelektronik, Germany

詳しい解説
本研究では、半導体マイクロキャビティ中のポラリトン凝縮体を利用して、固体中で連続的に励起された時間結晶(TC)を初めて実証した。ポラリトンは励起子と光子が強結合した準粒子で、非平衡条件下で連続波レーザー励起により凝縮体を形成する。このポラリトン凝縮体の特異な性質を利用することで、時間並進対称性が自発的に破れた新しい非平衡物質状態であるTCが実現できることを示した。
具体的には、ポラリトン疑似スピンの時間発展を時間分解分光により測定し、励起レーザー強度に応じて3種類のTC相が現れることを見出した。弱励起ではラーモア歳差運動が見られ連続TCの特徴を示した。励起強度を上げると、凝縮体がキャビティフォノンとコヒーレントに結合することでTCが安定化された。さらに強励起では、TCの周期がフォノン周期の2倍になる離散TCへ転移した。これらの結果は理論モデルによるシミュレーションとよく一致した。
TCはこれまで原子気体などの単純な系で実現例があったが、本研究により半導体マイクロキャビティという固体デバイス中で、ポラリトン-フォノン結合を利用して連続TCが実現できることを示した点で重要である。ポラリトン凝縮体はコヒーレンス、非線形性、非平衡性を兼ね備えた新しい量子物質相であり、TCのような非trivialな時間秩序の形成を探求する上で強力なプラットフォームとなる。またポラリトン疑似スピンはコヒーレント制御が可能で、時間デバイスへの応用も期待される。TCの形成にキャビティフォノンの果たす役割の解明は、フォノンを利用した量子情報処理などへの展開も期待される。


炎症制御を目指した生体親和性の高い生体電子デバイスを開発

https://www.science.org/doi/full/10.1126/science.adl1102

炎症制御を目指して、生体親和性の高いウェアラブル生体電子デバイスを開発した。デバイスは電子回路とStaphylococcus epidermidisを含むハイドロゲル複合体からなる生体インターフェースで構成され、細菌-哺乳類間のマルチモーダルな信号伝達を可能にした。マウス皮膚表面からの電気信号の無線記録や、乾癬モデルマウスでの治療効果の改善に成功した。

事前情報

  • 生体組織とデバイスをシームレスにインターフェースすることは疾患の診断・治療に革新をもたらす可能性がある。しかし合成材料と生体組織の生物学的・生体力学的な違いがインターフェースの障壁となっている。

  • 炎症のコントロールは組織再生に重要である。

行ったこと

  • 生体電子レイアウトとStaphylococcus epidermidis含有ハイドロゲル複合体からなる生体インターフェース(living biointerface)を持つ、Active Biointegrated Living Electronics (ABLE) プラットフォームを開発した。

  • ハイドロゲルは天然由来のアミロースポリマー鎖を熱放出して作製し、粘弾性を持ち、細菌の生存率を高く維持できた。

  • 皮膚表面からの電気生理学的記録や皮膚電気インピーダンス・体温・湿度のワイヤレス計測を行った。

  • マウス乾癬モデルで細菌による介入効果をモニタリングした。

検証方法

  • 材料の機械的特性評価

  • In vitroでの細菌生存率評価

  • マウス皮膚表面での電気生理学的記録

  • 皮膚電気インピーダンス・体温・湿度のワイヤレス計測

  • マウス乾癬モデルでの治療効果の評価と16S rRNA及びRNA解析

分かったこと

  • ABLEは生体電子レイアウトとStaphylococcus epidermidis含有ハイドロゲル複合体からなる生体インターフェースを持ち、細菌-哺乳類間のマルチモーダルな信号伝達を可能にした。

  • ハイドロゲルは粘弾性を示し、細菌の高い生存率を維持した。

  • マウス皮膚表面からの電気信号の無線記録に成功した。

  • マウス乾癬モデルにおいて、ABLEによる細菌を介した治療効果が認められた。

研究の面白く独創的なところ

  • 生きた細菌を含むハイドロゲルを用いて、生体との高い親和性と細菌-哺乳類間のインターフェースを実現した点。

  • 生体に優しい材料・構造を用いて生体電子デバイスを構築し、in vivoでの機能を実証した点。

この研究のアプリケーション

  • 炎症性皮膚疾患の新しい治療法への応用。

  • 生体との高い親和性を持つウェアラブルデバイスによる健康管理への応用。

  • 細菌-哺乳類のインターフェースを利用した新たなバイオエレクトロニクスへの応用。

著者と所属
Jiuyun Shi, Saehyun Kim - シカゴ大学 化学科
Pengju Li - シカゴ大学分子工学研究科
Bozhi Tian - シカゴ大学 化学科, ジェームズ・フランク研究所, 生物物理学研究所

詳しい解説
この研究では、生体との高い親和性を持つウェアラブル生体電子デバイス「Active Biointegrated Living Electronics (ABLE)」を開発した。ABLEの特徴は、電子回路と生きた細菌を含むハイドロゲル複合体からなる「生体インターフェース」にある。このインターフェースにより、デバイスと生体の間で、細菌を介したマルチモーダルな信号伝達が可能になった。
ハイドロゲルは、天然由来のアミロースポリマー鎖を熱放出することで作製され、粘弾性を示し、内包された細菌の高い生存率を維持することができた。ABLEを用いることで、マウスの皮膚表面から電気信号を無線で記録したり、皮膚の電気インピーダンス・体温・湿度を計測したりすることに成功した。
さらに、乾癬のマウスモデルにABLEを適用したところ、細菌を介した治療効果が認められた。16S rRNAとRNA解析の結果、ABLEによって皮膚の細菌叢と遺伝子発現が変化し、炎症が改善されたことが示唆された。
この研究は、生体になじむ「生きた」電子デバイスという新しいコンセプトを提示し、炎症制御という医療上の課題に対して独創的なアプローチを示した。今後、炎症性皮膚疾患の新しい治療法や、ウェアラブルデバイスを用いた健康管理など、様々な応用が期待される。生体と電子デバイスの融合という、バイオエレクトロニクスの新しい可能性を切り開く研究といえるだろう。


脆性金属間化合物の剪断により鋼の極低温強度と延性が向上

https://www.science.org/doi/10.1126/science.ado2919

析出物は機械的に強い金属材料を作るために重要です。本研究では、通常は剪断できないと考えられている B2(規則化体心立方)ナノ析出物が、極低温引張負荷中の軽量複合鋼中で転位切断されることを報告します。剪断は、多主成分元素による顕著な固溶強化と、サブナノスケールの局所的な化学的秩序ゾーンからの大幅な強化に起因するオーステナイト母相内の転位すべりに対する高い強度レベルによって可能になります。このメカニズムは、不透過性の脆性ナノ析出物によって提供される強力な強化と加工硬化を利用するだけでなく、進行中の変形に伴うそれらの連続的なせん断によって延性を導入します。したがって、私たちの鋼は、34%の顕著な引張伸びで最大2ギガパスカルの超高極低温引張強度を示しています。この研究は、高性能構造材料を設計するための新しい戦略を明らかにしています。

事前情報

  • 析出物は金属材料の強度向上に重要な役割を果たす。

  • B2金属間化合物は通常脆性で剪断されにくいとされている。

  • 鉄・マンガン・アルミ・ニッケル・炭素からなる軽量複合鋼を用いた。

行ったこと

  • 極低温引張試験により、鋼中のB2ナノ析出物の転位切断を観察した。

  • 母相の高強度化メカニズムを解析した。

  • 多主成分元素による顕著な固溶強化

  • サブナノスケールの局所的な化学的秩序ゾーン

  • B2ナノ析出物剪断のメリットを考察した。

  • 強力な強化と加工硬化

  • 変形に伴う連続的剪断による延性の付与

検証方法

  • 極低温引張試験

  • 透過型電子顕微鏡観察

  • 原子プローブ・トモグラフィー分析

分かったこと

  • 開発鋼は液体窒素温度で最大2GPaの超高強度と34%の高延性を示した。

  • 母相の高強度化により、硬質脆性なB2ナノ析出物も剪断されるようになる。

  • B2ナノ析出物の剪断は強化と延性の両立を可能にする。

研究の面白く独創的なところ

  • 従来剪断不可能と考えられていた脆性金属間化合物を”切る”ことに成功した点。

  • ナノ析出物の剪断が高強度と高延性の両立を可能にするメカニズムを解明した点。

  • 液体窒素温度でも優れた力学特性を示す革新的な鋼を開発した点。

この研究のアプリケーション

  • 液化天然ガスの輸送・貯蔵などの極低温環境で使用される構造材料

  • 高強度と高延性の両立が求められる自動車・航空機部材など

  • 脆性析出物を含む他の材料系への応用展開

著者と所属
Feng Wang, Central South University, 中国 Miao Song, Central South University, 中国 … Zhangwei Wang, Central South University, 中国 Dierk Raabe, Max Planck Institute for Sustainable Materials, ドイツ

詳しい解説
本研究では、鉄・マンガン・アルミ・ニッケル・炭素からなる新しい軽量複合鋼において、極低温下での引張試験中に、通常は脆性で剪断されにくいとされるB2規則化金属間化合物ナノ析出物が転位によって”切断”されることが見出された。
この析出物剪断メカニズムを可能にしているのが、鋼の母相の超高強度化である。母相には多数の合金元素による顕著な固溶強化に加え、サブナノスケールの局所的な化学的秩序領域が存在しており、これらにより転位の運動に対する高い臨界応力が実現されている。その結果、本来なら転位運動の障害物となるはずの硬質脆性なB2ナノ析出物も、母相の変形に追従して剪断されるようになるのだ。
このB2ナノ析出物の剪断は、材料の力学特性に複数の恩恵をもたらす。まず析出物自体の強度が母相強化に直接寄与する。さらに変形の進行に伴って析出物が次々と剪断されることで加工硬化が促進される。そして析出物剪断は延性破壊の起点となる析出物割れを抑制し、材料の延性向上にも貢献するのである。
開発された鋼は液体窒素温度(77K)において、最大で2GPaもの超高強度を示しながら、34%という大きな引張伸びも維持している。析出物の有効利用により、強度と延性のトレードオフを見事に克服したと言えるだろう。本研究は高性能構造材料開発に向けた新しい戦略を提示しており、その工学的価値は非常に高い。
今後は液化天然ガスの輸送・貯蔵システムや、自動車・航空機の極低温部材など、幅広い分野での応用が期待される。また本研究のアプローチは他の材料系にも適用可能と考えられ、材料科学の更なる発展に貢献するものと期待される。


最後に
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