夢のような運
これは二十歳の僕のネパール日記。
8/7
6:03
ネパールで病み続け一週間が経った。
勇気を出さねば。
変わらなければならない。
そう考えながらnoteに出す日記の推敲をしていた。
僕は投稿に「#ネパール」とつけていたが、
ふと、
他にどんな人が「#ネパール」をつけるんだ？と気になった。
すると、
「「ネパールでの家探しに終止符を」」
日本人が、
ネパールに日本語学校を建てるため大きな家を借りた。という記事が出てきた。
それも1日前の投稿だ。
この人はネパールにいる！
名前は「宮田澪」
顔を見る限り絶対良い人だ…
コンタクトを取ろうかな…！？
僕はメッセージ機能を使い、
・僕がネパールにきた趣旨
・怖くて帰りたいと言うこと、
そして
「会えませんか？」
と文を打った。
でも
送信ボタンを押す前
僕の頭の天使でも悪魔でもない奴が
『ネパール来たのに日本人に助け求めるの早くね？』
と呟いた。
確かに…僕は思い留まり
送信ボタンを押さず携帯を置いた。
8:50
宿のオーナーがチャイを入れてくれた。
心温まるひと時だ。
「僕はジャパニーズアーティストだよ！」と教えてあげた。
そして部屋に帰った。
12:45
お腹が空いてきた。
昨日も晩御飯を食べていない。
よし！街に出てみよう。
憂鬱な気分のまま外へ出た。
“””晴れだ！！！！”””
私の心も一気に晴れた。
というのも、ネパールは現在雨季。
毎日強いスコールが降るため、ネパールにきて初めての晴れなのだ！
空が見えるだけで、こんなに心も元気になるのか…
いつもより街も明るく見えた。
パッと近くのお店で焼きそばを食べた後、街を歩いた。
ぼったくられたり、
叫びながら追いかけられたりしながら、ショッピングを楽しんだ。
そのあと、
宿から一番近い店で、部屋で飲むコーラを買った。
そして店を出た
その時…
あ
宮田澪だ！？！！！！！！
あの顔！あの髭！
今日の朝メッセージを送ろうとした！
宮田さんが！？！！！
いる！！！！？！
そう。僕は道端でバッタリ宮田澪に出会ったのだ。
鬼の形相で走り、声をかけた。
向こうは驚いた顔でこちらを見ている。
「宮田…さんですよね…？」
そして、
私がネパールに来た目的、怖くて帰ろうとしていたこと、
宮田さんに連絡を取ろうとしたことなどを話した。
宮田さんは直ぐに理解してくれ、近くの店にお茶に連れて行ってくれた。
宮田さんはチャイを、
僕はマンゴージュース(宮田さんが美味しいと教えてくれた)を頼み
来た理由や、
作品の話など、丁寧に僕の話を聞いてくれた。
最後に宮田さんは
「ネパールにせっかく来たなら、良い思い出で終わってほしい！」
と言ってくれ
・宮田さんの借りた家に居候させてもらえること。
・一緒にネパールの他の街に遊びに行くこと
・宮田さんのアパレルブランドのロゴの制作依頼
など、、、沢山の事が一気に決まった。
なんて優しい人なんだろう…
宮田さんは確実にネパール1優しい男だろう。
僕は一気に肩の荷がおり、
視界は何倍にも広がり
糸が切れたように表情が綻んだ。
安心した様子をして、宮田さんも嬉しそうだった。
本当によかった。
「また明日めしでもいこう！」
そう約束を交わし、LINEを交換して宮田さんとお別れした。
あんなに、
あんなに苦しかったのに
自分でも信じられないくらい、全ての苦しみが消えた。
道のゴミすら私を祝福しているように思えた。
20:18
夜なのに街の見え方がまるで違う。
犬さんこんばんわ！
街の明かりありがとう！
私はお祝いついでにハンバーガーをテイクアウトしに行った。
すると宮田さんから電話がかかってきた。
「明日の朝、知り合いの日本人がネパールで開いてるアート教室いってみん？」
「いくいくいくいくいくいく！！」
0.2秒とかからずに、返事をした。
なんというスピード感で物事が進むのだろう。
日本にいる時から、保育園の依頼で絵を教えに行ったり、
夏休みには自分で絵画教室を開いたりと、
子供と触れ合うのが大好きだった僕に
こんなにワクワクすることはない。
運ありがとう。
コーラありがとう。
宮田さんありがとう。
片手にはハンバーガーを持ち、
心を弾ませながら宿に帰ると、僕の部屋の前に宿の奥さんがいた。
何かを持っている。
「ナマステ〜！ワッツ イズ イット？」
奥さんが持っていたのはネパールの紙。
「私が持ってても使わないから…」
と僕にくれたのだ！
サンキューサンキュー！
僕が前に
ジャパニーズアーティストだと言っていたのを覚えててくれたのだ…！
喜び続きで気分がいい僕は
「明日お礼にイラストをあげるよ！」と言い残し、
次はお休みのナマステを告げた。
次回！「アートスクールへ行く！」
おまけに「ダルパール広場にも行く！」
お楽しみに！
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