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過去に生きるのでもなく、未来に生きるのでもない。「今」を生きる。

新型コロナウィルスで外出もままならない状況。

家で過ごす時間も多くなっているのではないでしょうか。

人と話す時間も減り、体を動かすことも少なくなっているのかもしれません。

少しナーバスになっている人が増えている、という話も聞きます。

そこで、注目されているのが「マインドフルネス」です。



マインドフルネスの火付け役とは?


マインドフルネスって知っていますか?

マスコミなどでも多く取り入れられ、身近になってきました。


もともと、マインドフルネスはアメリカで火が付いた瞑想方法です。

2014年1月、アメリカで有名なタイム誌で『The Mindful Revolution』(マインドフル革命)として取り上げたことから本格的に広がりました。


集中力アップ、ストレス軽減などの効果から、ビジネス的観点からも注目されています。


米大企業では、Google、Facebook、Intel、Apple、ゴールドマン・サックス、P&G、ゼネラル・ミルズ、メドトロニック、エトナ、NIKEなどの民間企業の他、アメリカの国防総省などの政府機関も、取り入れました。


アメリカ企業で火が付いたマインドフルネスは、日本の企業でも広がっています。


マインドフルネスとは


では、そもそもマインドフルネスとはいったいどのようなものなのでしょうか。

少し調べてみました。


まずは、Wikipediaでの定義。

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マインドフルネスとは、仏教におけるサティ(正念)から、宗教的要素を除き、メソッド化した自己啓発や心理療法として用いる瞑想をベースとした、エクササイズであり、テクニックであり、状態である。

マインドフルネスは、今この瞬間の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることである。

また、特別な形で、意図的に、評価や判断とは無縁に、注意を払うことである。

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※出所:Wikipedia マインドフルネスより


次に、日本マインドフルネス学会による定義。

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本学会では、マインドフルネスを、“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” と定義する。

なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。

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※出所:日本マインドフルネス学会 公式サイトより


最後に、マインドフルネスの普及・啓発を推進している、非営利公益法人ヒューマンウェルネスインスティテュートによる定義。

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マインドフルネスとは、「今この瞬間」の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることです。

1つのことに集中して行います。

いつでもどこでも実践できます。

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※出所:ヒューマンウェルネスインスティテュート 公式サイトより


以上のように定義されています。


瞑想のような、エクササイズのような、感じですね。

一般的には、宗教性を排除した瞑想という言い方もされています。


マインドフルネスは、いつでもどこでも実践できることが大きなメリットですよね。


五感の実況中継


私は前職でマインドフルネスを受講したことがあります。

マインドフルネスで有名なのは呼吸法ですね。


呼吸の一つ一つの動作に集中。

吸う、吐くことに意識して精神を集中させます。


「吸って・・・・。空気が肺に入っていきます。灰が膨らんできます。吐いて・・・・。空気が徐々に口から出ていきます。灰が縮んでいきます…。」


呼吸法以外にも他の五感でも実践できます。


視覚であれば…「壁が見えます。天井が見えます。カーテンが見えます。窓が見えます。机が見えます。椅子が見えます。自分の手が見えます。自分のかけているメガネが見えます。よく見れば自分の鼻も見えます…」


触覚であれば…「足の裏に床を感じます。お尻の下に椅子の座面を感じます。下着が直接肌に触れているのを感じます。身体が服に覆われているのを感じます。目がほんの少しかゆいです。手が少し熱いです。額に汗がにじんでいくのを感じます…」


などのように意識を集中させます。


まるで、「実況中継」。

実況中継しながら、その一つ一つの動作や状況にすべての意識を集中させます。


「今」を意識し、その他の雑念やマイナス思考を排除する訓練ですね。

「集中する技術」とも言えるかもしれません。


マインドフルネスは、精神疾患者向け治療法としても実際活用されており、過食症や拒食症患者には食事の動作一つ一つに意識を集中させる、食事療法で対処するケースもあるそうです。


つまり、マインドフルネスとは「過去のトラウマ」や「未来の不安」などに囚われている状況から脱却し、「今、この瞬間」だけに意識を集中させ、“ありのまま”の現実や心の状態を受け入れることではないでしょうか。


マインドフルネスを実践することで、何かすっきりするような感覚を感じます。

私たちは日々、常に「感情」というものにいかに支配されているか、思い知らされます。


感情という波


人は感情が無意識に湧き上がってくることもあります。

例えば、過去の嫌な体験について、繰り返し繰り返し考えてしまう。


過去にとても怖い思いをした時の「感情」までが、繰り返し繰り返し押し寄せて来てくる。

先行きの未来に対する不安もそう。


「感情」は、まるで海の波のように、何度も繰り返して、脳裏に打ち寄せてくる「波」なのかもしれません。


この「感情」に私たちの生活の多くは支配され、ストレスを増大させているのではないでしょうか。

“考える自分”と“観察する自分”

マインドフルネスは意識を集中して感情を消す方法として良い効果があります。

それだけではありません。


客観性の獲得です。

マインドフルネスのメリットの一つとして、「客観的に自分を観る」=「“考える自分”と“観察する自分”の違いを実感する」ことにあるのではないでしょうか。


例えば、


呼吸をしている自分 ← を、意識している自分


呼吸から注意がそれた自分 ← に、気づいた自分


「集中できない」と思った自分 ← に、気づいた自分


といったような感覚です。


“考える自分”と“観察する自分”。


ニュートラルな「観察者の視点」が訓練によって養われていくのではないでしょうか。


そういえば、以前コンサルティング会社に在籍していた際、先輩から「感情に流されず、ロジカルに考えろ!」と言われたことがあります。


人の無意識による「行動」の大半が「感情」から沸き上がった結果ですよね。

それではビジネスにおける冷静で「最適な」判断ができなくなってしまいます。


「感情」に流されず、「根拠」のある行動の重要性を、先輩から学んだことを思い出します。

このような意味では「ロジカルシンキング」と「マインドフルネス」の共通点のようなものを感じます。


生活においても、ビジネスにおいても、人は本当に「感情」に支配されている、と言えるのかもしれません。


「今」を生きる。


マインドフルネスは、波のように押し寄せる感情を排除し、「今」に意識を集中し、「客観」的に自分を見つめるエクササイズだと教わりました。


私たちは「過去」の嫌なことや「未来」への不安などの感情に支配されがちです。


まるで、私たちは「過去」と「未来」に捕らわれた囚人のよう。


「今を生きていない」のですね。


ん?!

今を生きる、そんな映画があったような。

ありますね。


1989年のアメリカ映画。


ピーター・ウィアー監督による、ロビン・ウィリアムズ演じる熱血教師が、破天荒な授業を通じて詩の美しさと人生の素晴らしさを説く学園ドラマですね。


規則に捕らわれている生徒に、「今を生きる」ことの大切さを伝えていました。


そうか、「今を生きる」ことに集中することで、余計な感情を排除することができるのかもしれません。

そういえば、趣味に没頭するときも、「余計な感情」は浮かびませんよね。


釣りが大好きな人は、釣りに集中しますし、サッカーが大好きな人はサッカーに集中します。


「今」を生きる。


過去に生きるのでもなく、未来に生きるのでもない。


マインドフルネスは、そんなことを改めて思い出させてくれる「気づき」のエクササイズなのかもしれません。


最後に


映画「今を生きる」の名セリフを贈ります。


さあ、みんな。机の上に飛び乗ってみろ。どうだ。机の上に乗るだけで世界は違って見えないか?


物事には色んな視点があることを忘れちゃいけない。自分が理解していると思っていることにも、必ず別の視点がある。


自分の心の声を無視しちゃいけない。君が心の声を長い間無視し続けたらその声がやがて聞こえなくなってしまうんだ。


今日を楽しもうじゃないか。君の人生を忘れられないものにしよう。


1989年ピーター・ウィアー監督「Dead Poets Society(今を生きる)」より

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