見出し画像

わかってあげない


 ご訪問ありがとうございます。
(お時間あれば、固定された記事「療育、やってます」もお読み下さい)。


 発語を促す訓練をしていて、ときどき保護者の方に
「すぐに分かっちゃダメですよ」
とお伝えします。子どもの伝えたいことをすぐに理解しないで下さい、と言うのです。
 産まれたときからずーっと一緒にいる我が子。多分子どもが
「あー」
と言うだけで何がほしいのかわかってしまうのが親だと思います。本来ならそれで良いのだと思います。が、言葉を引き出そうとしているときにはちょっと注意が必要。

 発語を促すセッションでは、出そうな音、すでに出ているけれど安定しては出てこない音等を聞き分けて、それらの音を組み合わせて単語になりそうなものから訓練していきます。それは「ネコ」かもしれないし「クッキー」かもしれない。だんだんその音が綺麗につながってきて上手に発音できるのに、家で
「あー」
で通じてしまうと、子どもは楽な方を選んでしまいがち。いつも言ってる
「あー」
で済まそうとしてしまったりします。

 だから、子どもが
「あー」
となにかを要求した時、すぐにそれがわかっても
「何?クッキー?それともバス(のミニカー)?」
とわからないふり、してみて下さい。
「(ありゃ!?通じないぞ)」
と思ったら、覚えたことを駆使して言葉で伝えようとしてくれるかも。

 言葉でのコミュニケーションが全てとは思いません。カードや手話を使ったコミュニケーションもその子の世界を存分に広げてくれる事を身を持って学びました。
それでも「話せる」っていいな、と思います。だから時には「わからないふり」。



 独特の世界を持っている子どもたち。 
「ママたちとは話さないと決めていた」
なんておしゃべりを始めて十年以上立ってから告白(?)した自閉症の男の子のお話を知っています。
 そんな話もまた今度。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?