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「クリスマスマーケット」を知らなかった僕が、熊本で70万人以上が訪れるクリスマスマーケットを作った話。その5(仲間を100人集める編)

 
 
こんにちは! “あらきん”こと、荒木です。
 
前回の記事では、クリスマスマーケットに欠かせないヒュッテ(飲食物を販売する木造の小屋)がようやく完成し、会場へ運搬・設営するまでの苦労。そして、オリジナルで制作したからこそ得た、会場空間を自分たちでつくる!強みをお伝えしました。
 
前回の記事はコチラ。
 
今回は、僕たちの意思決定の方法や、個性あふれる役員メンバー6人のこと。また、はじめての「クリスマスマーケット熊本(以下、クリクマ)」開催にして100人以上の有志の仲間をどう集めていったか? 「仲間のつくり方」をテーマに、2回に分けてお届けします。
 

意思決定は、本人の「やりたい!」を尊重する

 
以前のnoteで、実行委員の役員となっている主要メンバー6人の話をしました。
 
メンバーが揃うまでのいきさつは、こちらのnoteに書いていますので、よかったらどうぞ。
 
2018年12月のクリクマ初開催に向けて、僕らは同年4月ごろから2週間に1回のペースで役員会議を行うようになりました。

役員会議の様子


各自の仕事が終わったあと、僕の会社に集まって
 
僕らが目指すクリスマスマーケットってどんなものだろう? 
役割分担はどうする?
 
と議論を重ね、骨格を固めていくのですが、決めないといけないことが次々に出てきます。
 
ちなみに、役員は実行委員長や副実行委員長、僕の場合は副実行委員長兼事務局長と、それぞれ役職を持っていますが、誰が偉いということはなく、みんな平等。意思決定を「多数決」で決めたことは、一度もありません。
 
では、どうやって物事を決めているか?といえば、「やりたい!」という人の意見を尊重しています。なぜなら、そういう人は、それなりの熱量を持っているから。その人の話を徹底的に聞いたうえで、その「やりたい!」思いをみんなで叶えていくのです。ですから反対に、誰かが「やりたくない」、「やってほしくない」という意見も尊重する。どちらの意見も尊重して、納得いくまで話し合って決めることが、役員メンバーの意思決定のスタイルとして定着しています。
 
そもそも、僕を含めた役員6人は、自分たちの強み、得意分野を生かすべく集まっています。そこで、僕から見た5人のキャラクターについてご紹介させてください。
  


「のびしろ」があるから面白くなる

 
まずは、実行委員長のチカオから。
「クリスマスマーケットを熊本でやりたい!」と言い出した張本人である彼は、会場全体の空間デザイン・イメージパースづくり、オリジナルグッズの開発など、毎年クリクマのグランドデザインを担当しています。

チカオがデザイン監修するグランドデザインCG(2021年のキービジュアル)

 
のちほど紹介する相方のミシロくんとともに、竹あかり演出集団『CHIKAKEN(ちかけん)』の共同代表として、国内外の大型イベントや有名アーティストの舞台セットなどを手掛ける彼。クリエイターとしてのヴィジョンやセンスは、僕らの創造を超えています。
 
たとえば、彼が担当しているオリジナルマグカップ。これまでの4年間で制作した5つのマグカップのデザインは、いずれもテイストがまったく異なります(第4回の昨年は2会場で別デザイン)。通常であれば、同じデザインのテイストを保つことで、「クリスマスマーケットのマグカップといえば、これだよね」とイメージが定着しますが、あえてそれをしないのです。
 
なぜかといえば、「余白」を残しておきたいから。クリクマのイメージが固定化されてしまうからです。
 
そうなると、自分たちの思考も停止してしまい、物事が淡々と決まっていく。面白みがなくなってしまう。だからこそ、余白を残しておいて、そこに面白いものを加えていく。「それが自分の役割だ」と彼は言います。
 
 


「多様性」を認め合う

 
続いては、シマヅさんについて。小児科医という職業柄、具合が悪くなった人の救護など、いざというとき心強い存在。前に出るタイプではないものの、6人メンバーの中では一番年上ということで、僕らにはない視点から気づきをもらい、大切なことを教えてくれるお兄さん的存在です。
 
そんなシマヅさんの口からたびたび出るのは、「多様性を理解しよう」という言葉。
 
クリクマでは、「優しいクリスマス村」というテーマを掲げています。
 
たとえば、意見がぶつかって内輪揉めしていると、「僕らが、それぞれ相手を理解した上で歩み寄れないのであれば、優しいクリスマス村なんて実現できっこないよね」と言われ、我にかえるとか。
 
また、突飛な見た目や発言で破天荒に誤解されがちなチカオについて、アーティスティックで、天才的発想で、大胆なアイデアや行動をすることから、周りから「彼の言動が理解できない!」との声がよくあがります。その時々で、「僕たち6人が、その違いや多様性を受け入れることが出来ないとすれば、世の中で起こっている、いじめや差別とか、そういったこともなくならないよね」と冷静に言われて、納得するとか。
 
小児科医の仕事やNPO活動において、重度疾患のある子どもや発達障がい、不登校などの子どもたちをケアしているシマヅさんが発するそうした言葉は、説得力が違います。
 
こうして、クリクマのテーマである「優しいクリスマス村」とは何か? 一歩踏みとどまって考えるキッカケをもらっています。
 

最高のパートナーは、最高のライバル


 
次に紹介するメグは、もともと飲み友達。明るい女性で広告代理店を経営していることもあって、広報や協賛企業の担当をお願いしようと誘いましたが、深く関わってみると、最初の印象とはだいぶギャップがありました。
 
僕が思い描いていた広告代理店といえば、予算を広告協賛でどのように募集をするか、広告を打つために戦略的に仕事をするイメージでしたが、彼女の場合は違う。飛び込み営業で協賛企業を探していたのです。
 
手書きでリストアップした企業に電話をかけ、話を聞いてもらえそうな企業があれば、飛び込み営業する。
 
えー!? もっと効率いい方法ないの?? 
経営者なんだから、社長つながりで紹介してもらうとかさ……。
 
「時間ないのに……」と心配しつつ、
それでも彼女は限られた時間の中、営業先で断られても、めげずに前へ進む。
 
メンタル強い、この人。社名通りだ。
 
彼女が経営する広告代理店の社名は『ジェイ・パッション』。まさにその通り、情熱があって、何ごとにも一生懸命。想いと情熱で突っ走るところがあるので、見ていてハラハラ・ドキドキすることも多いのですが、その行動力で、クリーンヒットも打ってくれます。

クリスマスマーケットは、豪華な注文住宅が1棟建設できる規模の資金が必要です。毎年、その予算の半分近くを彼女が一生懸命、情熱をふるって集めてくれます。 
 
続いては、ユーサク。熊本産オリジナルクラフトビールの製造と飲食店を経営していることもあり、飲食関係の監修をお願いしています。
 
彼は経営者となる前に世界中を飛び回り、いろんなものを見てきているだけに、視野が広い。チカオと同様、新しい切り口のアイデアや提案をしてくれます。
 
クリクマ飲食店の出店先選びにしても、彼が声を掛けてくれたお店は、僕たちが求めていた「ホンモノ」のクオリティーばかり。
 
これまで、熊本でなかなか席が取れず「伝説のお菓子屋さん」と呼ばれるスイーツバーや、ミシュランガイドにも掲載されているソーセージの店とか。信念を持って食に取り組む人気店の出店が叶ったのも、同じく信念を持って「本物」のクラフトビールづくりに取り組む、彼でこその人間力によるものです。
 
 
そして、最後はミシロくん
 
前述の通り、チカオとともに『CHIKAKEN』として活動する彼は、根っからのものづくり職人です。
 

ミシロくんが作ったメインオブジェ(フォトジェニック)


竹あかりのクリスマスツリーやオリジナルテーブルを製作したり、インスタ映えする圧巻のフォトジェニックを作ったり。会場空間演出おいてクリエイターとしてのセンスを発揮してくれています。熊本らしい「竹あかり」の空間演出は、日本のトップランナー。多くの人々に優しい灯りを届け、感動空間をつくるために、最重要人物です。
 

ちなみに、僕は、会場設営で、ヒュッテの設営が終わり、終盤に差し掛かってくると、ドキドキ・ソワソワし始めます。
 
今年もヤツらがきっと何か仕掛けてくる。
ビッグバンが起こる!
 
「ヤツら」とは、ミシロくんとチカオのふたりです。
 
彼らは例年、思いも寄らないサプライズを突如、会場に持ち込んでくるのです。それも別々に。



たとえば2019年には、ミシロくんが鉄の造形作家として活躍するZUBEさんの大きな作品を、10tトラックをチャーターし、設営最終日の薄暗い朝5時30分に会場に運んできて、みんなをアッと驚かせました。
 
一方、チカオも、クリエイター仲間や大工さんを日本全国から呼び寄せ、想定外のオブジェを現場で作り始め、会場でそれができあがった瞬間、なんとも心地良い空気感へと変わる。
 
なに、それ持ってきたの!?
それ、なんかめちゃ良くない!?
 
まるで、いたずらを仕掛ける少年のようなふたり。彼らのサプライズに、僕たちはたびたび驚かされるのですが、それは来場者にとっても同じこと。オープニングの際、会場を目にして歓喜するお客さまのサプライズへと繋がっています。
 
彼らはビジネスパートナーであるのと同時に、よきライバル。それが相乗効果となり、僕らも自信をもって本番を迎えることができるのです。
 
 
 

(次の演出現場へと向かった「職人・ミシロくん」が不在な役員5人。)



こうした個性あふれる5人と僕からなる、「クリスマスマーケット熊本」の役員メンバー。
 
今となっては誰が欠けてもダメで、なくてはならない存在ですし、「今年もやってくれる」という期待感があります。それぞれの分野を任せられる信頼関係ができています。
 
ときには意見がすれ違うこともありますが、それぞれが持つ専門性や性格、強みや弱さも理解したうえで、6人の関係性が絶妙なバランスで成り立ち、これまでに数々の困難を乗り越えてきました。
 
過去の記事にも書きましたが、役員メンバーそれぞれが100万円という大金を出資して、心もコミットメントしたことも大きい。
 
そんな中、ともに夢を叶え、本気になれるチーム。切磋琢磨できる仲間は、人生においても宝物です。




6人だけでは何もできない。もっと、多くの仲間が必要だ!

 
集まるべくして集まった、奇跡的なチームに感謝するのと同時に、やはり6人だけでは、「クリスマスマーケット熊本」という壮大な夢を叶えることはできません。

もっと多くの仲間の力が必要だ!!!

そこで、次回の後編では
100人以上の仲間をどうやって集めたか? 

についてご紹介していきます。

次のページはこちらです!!


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