リラの花を摘んで
先週末、夫の叔母の家に遊びに行った。
車で3時間程のところに住む彼女は最近引っ越しをして、新しい家を買ったばかりだ。大きなふわふわのぶち柄の犬と、同じくふわふわの灰色の猫と住んでいる。
住処はその人を表すが、彼女の家はまさに彼女そのものだ。
たくさんの動物のオブジェや、テーマカラーのオレンジや黄色を基調とした彼女の遊び心と色鮮やかな人生の思い出が垣間見えるインテリア。
広い庭とかわいい花壇には彼女の好きなお花たちが一株ずつ図鑑のように並んで咲き誇っていた。
彼女は朗らかで、人の心の機微を察してくれる優しい人だ。60歳を過ぎたところだけど、変わらず未婚でいる。
夫に聞くと、数々のパートナーがいたようだけど、最後に彼氏の話を聞いてから5年ほど経つ。
社会的弱者や移民を救う非営利団体でポストを持って仕事をしていて、友人も多い。長い付き合いの女友達と連れ立ってバカンスに行ったり、仕事の中で出会った貧困家庭の少女の心の母となり、個人的な支援をライフワークとして続けている。
私は、どこか彼女には同類の匂いを感じている。
それはどこから来るものかははっきりとはわからないのだけど、もし私が夫と巡り合わず、結婚も子供もいない人生になっていたらと想像すると、彼女のような生き方は理想的だなぁと思う。とは言っても、彼女のように役職について、定年まで頑張って働いて、なんていう体力が、独り身で続いた気はしない。だから、彼女のことを心から尊敬している。
この週末はあいにくの雨模様で、家で過ごす時間が多かった。
何か映画でも見ようかという話になり、5歳の息子が最近となりのトトロにハマっていたので、それならと、息子も見れそうなジブリ作品をみんなで鑑賞することになった。息子もギリギリ理解できそうな作品を選んで、一日1作品ずつ見た。
1本目は魔女の宅急便、2本目は天空の城ラピュタ。
2本とも、もう何度も何度も見ている作品で、それを叔母の家の黄色いソファーで家族揃って並んで見ている時間はとても尊い時間だった。
夫と叔母が途中で飽きてしまったりしないかなと不安だったけど、2人とも集中して面白そうに観てくれた。もうどちらも30年以上前の作品なのに、全く色褪せない。そればかりか、大人になってこそ、その素晴らしさを改めて噛み締めることができる。
ラピュタを見終わって、叔母は、私もドーラみたいな三つ編みにしようかしらと呟いた。
私はその瞬間、この人が心から好きだと思った。
写真は、叔母の家の近くで摘んだリラの花。家まで大事に持って帰ってきたけど、水に差したら萎れてしまった。野花のままでいた方が、美しく大いに元気だった。