眼帯にあこがれる

子供の頃になんてことないものに憧れることってよくあるものだ。私も例外ではなく憧れていたものがあった。

眼帯だ。

独眼竜政宗の眼帯に憧れる戦国ファンも多いと思うが、それではない。私の憧れていたものは、あの白いガーゼの医療用眼帯だ。

デザイン性のデの字もないようなものだが、なんだか私にはそれがとても魅力的に見えた。

小学生のころ、ある朝学校に行くとものもらいになり眼帯をつけたクラスメイトが、特別な存在に見えみんなの興味を惹いていたのをとても覚えている。いや、片目だけ隠しているのが中二病感があってかっこいいと思っていたような気もする。中学生のころ、同級生の眼帯をつけた女の子に恋をしかけたこともある。いずれにせよ、私の何らかの癖をくすぐる眼帯は、私にとって最も魅力的なアイテムだった。

そんな話をふと思い出していた先週、私はものもらいに人生で初めてなった。最初は、初めてなったものもらいへの恐怖があったものの、それはいつの間にかあの眼帯を初めて着用できるのでは?という期待感に変わっていた。

淡い期待を抱きながら眼科へと向かった私だったが、眼科を出た私が持っていたのは目薬二つだけだった。眼帯って意外と着けないらしい。

20代男性が大騒ぎする地獄絵図は避けなければと、「え?眼帯は?買った方がいい?」と聞きたいのをぐっと我慢して私は家に帰った。

痛む目を潤めながら課題に取り組む私。きっと目薬のせいじゃない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?