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本当はこわくない「目標設定」

こんにちは、 @ar_tama です。ケーキ・スイーツの通販を主とするCake.jpという会社で、CTOをやっています。

私はCake.jpの現場において、大まかにマネジメント・テックリード・PdMの役割を担っています。そのうちの「マネジメント」にフォーカスして、日々の取り組みや考えていることを、しばらくプチ連載的にお届けしてみようと思います。

さて、今回は4月ということで、「目標設定」について。

目標設定=憂鬱なイベント?

先日「聴くエンジニアtype」に寄せられたこちらのお悩み。私もメンバーからよく「目標設定や振り返りが苦手」という声をもらいますし、私自身も昔は期が変わるたびに「またこの苦行をやるのか…」と憂鬱になっていました。

ではなぜ自分が憂鬱に感じていたのだろうかと振り返ると、なぜやるのか・どうやるのかを理解できていなかったからというのが、理由の大半を占めていたように思います。

なぜやるのか→「成長」の目線を揃えたいから

自部署のメンバー向けに展開している、目標設定の手引から引用します。

私たちが少なくない時間を割いてまで目標設定と振り返りを行う理由について、私は 会社は会社と皆さんのために皆さんの成長をサポートする義務を負い、皆さんは自らと会社のために自分を成長させる義務を負っているから だと思います。

会社といっても人がいなければタダの箱です。そこそこ以上の成長には皆さんの成長が不可欠。というわけで、会社は皆さんの成長を全力サポート💪するだけの理由があるのです。これに乗っからない手はありません!全力で成長して、ガツンと市場価値を上げてやりましょう。

また市場価値については、(極端な話)毎年転職活動をしない限りは
・ベースとなるグレードやスキルに対する対価(≒現在のお給料)
・定められた期間での期待と実績のバランス(≒昇給幅)
でもってすり合わせをするしかないわけで、そういう意味でもこの枠組みが役に立つと考えています。

※ スタンスの異なる会社もあるはずですが、Webのソフトウェアエンジニアが属する企業の大半がこういった前提に立っていると思います

基本は上で述べた通りなんですが、補足を一点。
元気だと「よっしゃやったるで〜」となるかもしれませんが、性格や時期的な事由によっては「そんなに成長とか求められてもしんどいよ〜」と感じることも、もちろんあると思います。
そんなときも、目標設定の枠組みを活用すると成長角度=評価期間中での期待と実績のバランスを揃えられるので、過剰なプレッシャーを感じることなく、のびのびと働くことができるはずです。

このように目標設定には、互いの期待の掛け違いを防ぐ、目線揃えの役割があるということを意識しておけると、更に有意義な場にできそうです。

どうやるのか→ありたい姿と会社からの期待の交差点を見つける

毎回、多くの人が「期が変わりました。お疲れさまでした。さあ1年後(半年後)の目標を立ててください!」と突然宣告され路頭に迷っていることと思います。

「目標ってどうやって立てたらいいんですか」という問いにも、「SMARTに立てりゃええんだよ!」などというズレた答えが返ってくることもしばしば。これは立てた目標をレビューする機能こそありますが、無から有を作り出すためのガイドラインにはならないはず。

すでに多くの会社で採用されていると思いますが、Cake.jpでもこの目標設定のタイミングで、会社の向かうべき先からブレイクダウンした、個々人へ期待する役割(=期待役割)を設定するということをやっています。この期待役割をガイドラインに、自分のありたい・あり続けたい姿を重ね、その交差点を目標とできることが望ましいと私は考えています。

ありたい姿の定義:内省を活用する

書籍「モチベーション3.0」では、自分自身の価値観に根ざす「こうありたい」という思いのことを、「内発的動機」と定義しています。
降ってきた「期待役割」は(マネージャーがいかにあなたのことを考えて設定したとしても!)あくまでも外圧としてしか機能しないため、ここに自分のwillを重ね合わせていくことで、自発的に取り組める目標が立てられるようになります。

ではこの「ありたい姿」、ひいては自分自身の価値観をどのように炙り出すかというと、これはもう内省あるのみです。源泉は自らの内にしかないため、マネージャーができるのは手助けのみ。自分が向き合おうと思って初めて、輪郭が掴めるようになるはずです。

価値観は環境や経験によって変遷していくものなので、特に絶対に変わらない軸を探すつもりで臨むのではなく、「今の自分はこういうことをやってみたい気がする」くらいのライトなノリから始めていきましょう。繰り返すうちによりこなれていくはずです。

余談:書籍「リフレクション」では、この源泉を探るための「認知の4点セット」などのワークが紹介されています。ぜひ試して、マネージャーや周囲のメンバーに共有してみてください。きっと発信に見合った楽しい仕事ができるようになるはず!

期待との交差点:埋めるべきギャップ・伸ばすべき要素を洗い出す

内省によってぼんやりと自分のwillが見えてきたら、次は「期待役割」にも目を向けてみます。例えば

  • ありたい姿:1年後にテックリードを名乗れている

  • 期待役割:エンジニアとしてグレードXの職能を発揮している

とあったとき、「じゃあそれって、何ができていたらクリアなんだっけ?」をそれぞれに深堀りします。そして達成するために必要な要素のうち

  • まだ出来るようになっていないこと

  • すでに出来ていて、もっとよくできる余地があること

をリストアップし組み合わせると、目標と達成のためのステップが分解された状態になります。これも慣れが必要なので、うまく分解できない場合は遠慮なくマネージャーに助けを求めてみましょう。

あとはこれらをマネージャーと、定められた期間で達成できそうなギリギリのラインに設定したら、目標設定は完了です!

ポイント:達成基準についての認識を揃えておく

売上や数値目標であれば成果を機械的にマッピングすることで評価が叶いますが、例えば「◯◯のスキルを身に付ける」といった、定量化しにくい目標を立てた場合は特に

  • 何ができたらそれは達成できたと言えるのか

  • 途中点を何で測るか

を定義しておく必要があります(=達成基準)。
これをやっておかないと、期末のタイミングで「もっとやってくれると思っていた」「このくらいでいいと思っていた」と評価の認識がずれてしまう事故が起きかねません。必ず行いたいプロセスです。

Cake.jpでは、メンバーとマネージャーが協力し、目標と達成基準を埋めきるところまでを最初のステップに置いています。

どう活かすのか→定期的に振り返り、Next Actionを立てる

人間は忘れる生き物。じっくりしっかり立てた目標も、定期的に見る・アクションする習慣が付かなければ、なんと1週間で忘れます。ソースは自分!
私は以下の観点に従って、月次で振り返りの機会を設けています。

  • 目標達成に対して、どんなアクションを取ったか・取らなかったか

  • 気づいたこと・分かったことはなにか

  • 現在のペースでアクションを続けて、仕上がりが何点になりそうか

  • それらを踏まえ、次の1ヶ月でどんなアクションを行うか

月というのも振り返るにはちょっと大きめの単位なので、週や日単位で軽く振り返ったものの集積を用いるのがおすすめ(この話もいずれ別の記事で…)。

おわりに

過去、実際にメンバーから「半年前には全く思ってもみなかった景色が見られるようになって、嬉しい」と感想を寄せてもらったことがあります(とても嬉しかったのでそっと心の宝箱にしまいました)。

目標設定は、もちろん「会社が皆さんを評価するための尺度を作る」ためのものではありますが、自分自身が(自分も想像していないような)未来へ進むために活用できる仕組みであると私は考えています。よりよい目標を立て・達成するには、トライアンドエラーを繰り返すのが一番。本記事がみなさんの成長サイクルを少しでも後押しする一助となれば幸いです。

次回は目線をマネージャー側に移し、目標設定から評価までの一連のサイクルについてまとめてみたいと思います。

…ところでこれらを一緒にやっていきしてくれる人を募集しています!
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