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目標設定・評価を活用した、成長支援の仕組み作り

こんにちは、 @ar_tama です。ケーキ・スイーツの通販を主とするCake.jpという会社で、CTOをやっています。

私はCake.jpの現場において、大まかにマネジメント・テックリード・PdMの役割を担っていますが、そのうちの「マネジメント」にフォーカスして、日々の取り組みや考えていることを、しばらくプチ連載的にお届けしてみようと思います。

さて今回は、前回の「本当はこわくない目標設定」に対応するトピックとして、「マネージャーはメンバーの目標設定にいかに向き合うべきか」について。私が現在取り組んでいるプラクティスについてまとめます。

目標設定・評価って大変ですよね

目標設定も評価も、本当に大変な仕事ですよね。メンバー一人ひとりに向き合って対話して、お互いのよりよい未来を作るために言葉と行動を尽くす。こんなに大変なことったらありません。コードを書いている方が何倍も楽だし楽しいよ!というEMも多くいると思います。

急成長を導くマネージャーの型」では、目標設定・評価について以下のように述べられています。

メンバーの成長の大きなきっかけを与えることを狙い、しっかりと評価をおこない、メンバーの努力に報いるのです。(中略)それが、ベンチャーで働くメンバーの、ひいては会社そのもののエネルギーの源泉となります。
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個人に対し目標設定をし、その結果に対して評価をするというこの一連の「評価活動」は、メンバーにとって最大の成長機会であり、クオーター(四半期)や半期に一度訪れる「成長のボーナスタイム」です。
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評価に向き合うという仕事は、最優先です。「忙しくてここまでできない」というなら、評価ではなく、ほかの仕事を削ってください。チームの目標達成にとって、評価活動は遠回りなようで、一番重要な業務です。

急成長を導くマネージャーの型 ~地位・権力が通用しない時代の“イーブン"なマネジメント

小田中さんのこちらのスライドでも、チームのパフォーマンスを最大化させる取り組みに目標設定・評価のサイクルを用いるプラクティスについて語られています。

また、先日私が主催した勉強会「EMゆるミートアップ」でも、「評価はとても重いし大変。でも、軽くしたいというわけではない。意義を理解し、よりよくしていきたい」という声が寄せられていました。

本質=対話に注力するために仕組み化

タフかつ重要な業務だからこそ、各イベント発生のたびに最初の一歩を踏み出すところに体力を持っていかれるのはもったいない。そのためできるだけ仕組み化して、本質の「メンバーとの対話」に力を注げるようにしたいところです。

  1. メンバーごとの特性・成長プランを整理する

  2. 部目標・目論見から期待役割を当てる

  3. メンバーのwillと期待役割の交差地点から目標を立てる

  4. 定期的に振り返り、達成度を測る

  5. 日々のコミュニケーション・振り返りから成長プランをアップデートする

皆さんと同じように私も種々の試行錯誤を経て、現状はこの5ステップの実践を重ねているところです。
※ 基本は前述の「急成長を導くマネージャーの型」で紹介されている各種プラクティスに則っています

① メンバーごとの特性・成長プランを整理する

コミュニケーションを通じて随時軌道修正をかけるつもりで、まずは思いっきり主観で、メンバーの特性を書き出していきます。

  • どんな人?

  • 強み

  • 弱み(特性として)

  • 課題

  • 1年後の理想

「弱み」と「課題」を分けているのがポイントです。
かつては「弱みを克服したら強くなれるよ!一緒に強くなろうぜ!」などといった反省しかないコミュニケーションを取っていたこともあったのですが…、弱みと強みは表裏一体でもあり、その人を形作る大事な特性の一つです。軽々しく否定してよいものではないことも、往々にしてあります。
そのため、弱みを活かす・強みを伸ばすアサインメントを考える方向に舵を切ってみたところ、より相手の目線に立った目標を共に考えられるようになりました。

「課題」はそれらのアサインメントを十全にこなせるようになる、つまり「より楽しく仕事をしてもらうため or より高次のレベルで特性を発揮してもらうために身につけてもらえるとよさそうなこと」を書き出しています。
それらが達成された未来=「1年後の理想」を頭に描きつつコミュニケーションを取ることで、メンバーが進みたい方向とのすり合わせを行います。

② チーム目標・成長プランから期待役割を当てる

たとえチームの目標を立てても、メンバーに一緒に追ってもらうためには、自分ごと化するための翻訳が必要です。成長プランと照らし合わせて、人数分の「期待役割」を定義し、伝達します。

  • 部目標を達成する(達成確度を上げる)ために、チームの中でどのような役割を担ってほしいか

  • (KPIが複数ある場合)どの数値を特に一緒に追ってほしいか

メンバー自身が自分の「ありたい姿」に根ざした目標を立てるためにも、交差点としての期待役割は必要不可欠だと私は考えています。

③ メンバーのwillと期待役割の交差地点から目標を立てる

上述の通り「自分ごと化して達成のために取り組んでもらう」ことが目的なので、基本的に目標を作って下ろすことはしていません。アシストとして種を渡すことはありますが、解釈違いが起きないように、自分の言葉で書き直してもらうことをお願いしています。

そう言ったってwillなんてないよ!という人もいますよね。その場合は、

  • 一緒にwillを探すワークをしてみる

  • まずは期待役割の達成やグレードの達成に全振りしてもらって、進める中でwillを見つけてもらう

のように進めることが多いです。とはいえ「will・目標が決まらないから走り出せない」とはならないように、ある程度材料が出揃ったと感じられたら暫定でもよいので決めてしまい、走りながら軌道修正をかけるようにしています。

④ 定期的に振り返り、達成度を測る

人間は忘れる生き物。じっくりしっかり立てた目標も、定期的に見る・アクションする習慣が付かなければ、なんと1週間で忘れます。ソースは自分!(2回目😂)

定期的に1on1を実施されていると思いますが、1on1では扱うトピックが多岐にわたるため、月次で必ず(別途)振り返り面談を設けています。
具体的には、以下のように振り返りを事前に実施してもらい、ディスカッションにて振り返りそのものとNext Actionをよりシャープにする、という2段階で行っています。

  • 目標達成に向けどのようなアクションを取れた・取れなかったかと、得た学び

  • 現在のペースで続けて、期末に何点で着地しそうか

  • 上記2点を踏まえて、Next Actionをどうするか

ポイントは、リマインドをきちんとやること事前に読んでおくこと。特に口頭でのリマインドは流れてしまいがちなので、チャットツールで2, 3回リマインドを打っておくとよいです。事前に読み込む時間を確保するためにも、早めの締め切り設定と協力の依頼を行うようにしています。

事前にざっと読んでおけば、深堀りの質問や確認事項を整理してからディスカッションに臨めるので、単位時間あたりの満足度を上げられておすすめです。
さらにメンバー自身による振り返りサイクルをより高解像度で行ってもらうために、週報をベストエフォートで取り入れてもらっています(一ヶ月というのは人間の手には余る長さなので…)

また1on1は「皆さんにいきいきと楽しく、健全に成長しながら働いてもらうために、"目標達成"・"日々の業務の遂行"をサポートする場」と定義して、いくつかのトピックを例示しています。
加えて、一人ひとりに権限を絞ったGoogle Docsを用意し

  • 「あ、あれ話そう」と思いついたときにメモしてもらう場

  • 当日1on1で話したトピックをざっくりまとめ、互いに振り返るための場

などとして運用しています。

⑤ 日々のコミュニケーション・振り返りから成長プランをアップデートする

これらの定点コミュニケーションに加え、日々の業務内外でのコミュニケーションを通じ、はじめに立てた成長プランに乖離が生じていないかを定期的にチェックし、必要に応じて再度すり合わせをします。

評価時の面談で初めて期待値がずれていたことが明らかになった…などの事故を起こさないためにも、ポジティブ・ネガティブなイベントは、エビデンスと共に日次で書き溜めておき、高速でFBサイクルが回る仕組みを整えておく(大変なのでベストエフォートで…)のがおすすめです。

おわりに

なにかと大変な目標設定・評価ですが、メンバーの成長やチーム力が上がり、事業に貢献できた実感により得られるやりがいもまたひとしお。

今回お伝えしたのは、私自身が実践し改善を重ねているマネジメントの型、そしてその現在地です。まだまだゴールにたどり着けている実感はありませんが、手応えは出てきた、という段階のため筆を執った次第です。これらがどなたかの参考になれば幸いです。

またこの記事が、みなさんの知見が更に放流されるきっかけとなったら嬉しいなと思っています😉
「うちの会社ではこうしているよ」など、インターネットかこちらの面談でぜひぜひ教えてください!


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