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よりよいUXは"チーム"でつくる。探究を経て思う、理想の体験デザインとは|ディレクターインタビュー

ディレクター・UXデザイナーの渡辺雄大さんは、「プロジェクトメンバー同士が関わり合いを増やして、互いに研磨していけるチームが理想です。」
と語ります。

広告制作会社からキャリアをスタートさせ、2017年にアクアリングにジョイン。ディレクション業務からUXデザインまで担当領域を拡げながら、UXデザイナーとしての専門性を追及している渡辺さんに、自身の取り組みに対する考えや、今後のキャリアについて伺いました。

ユーザーを知る「プロセス」を通して体験を設計する

——渡辺さんは様々な案件でユーザーリサーチのプロセスを取り入れていますが、UXデザインの領域にフォーカスする“きっかけ”はあったのでしょうか?

クライアントから、ユーザビリティテストといった「ユーザーを知るためのプロセス」を求められるプロジェクトが増えてきたことが挙げられます。
より解像度高くユーザーニーズやプロダクトの課題を抽出し、そこから体験価値を高めていく。ディレクターに加えて、UXデザイナーとしてのスキルセットが必要になっていった感じです。
当たり前ですが、プロジェクトによってプロセスや手法も変わるわけで、自ずと必要な知識やスキルを求めて取り組む必要性が増していきました。
個人的には、ディレクターとしてのキャリアに将来性を見出せなくなっていたので、「体験をデザインする」その難易度から今後突き詰めていく専門性としてやりがいを感じたことが大きいかもしれません。

——ユーザーリサーチの成果や価値を実感したエピソードはありますか? 

例えば、サイトリニューアルの場合はアクセス数などの定量的なデータをもとに課題を抽出して、そこから仮説を立てて設計を進めます。リサーチの工程を踏むことで、より仮説の精度が高まり、クライアントを含めたプロジェクトメンバー全員が納得してプロジェクトを進めていけることを実感しました。
noteにもまとめていますが、まだ世に無いサービスの場合はそれがより顕著になります。

ユーザビリティテストの様子

評価手法として、これまでユーザビリティテストは何度も実施していますが、ユーザーが躓きそうなポイントはある程度予想がつく部分もあります。ただ、その予想を裏切る課題を見出すことができる点に価値を感じていますね。
プロダクトに対する理解度はユーザーとプロジェクト関係者ではどうしても違ってくるので、自分たちの認知バイアスを露わにする“装置”として必要な工程だと考えています。

——逆に、プロセスを通して難しさや課題に感じることはあるのでしょうか。

徐々に変わりつつはありますが、リサーチ工程に主体的に関わろうとするマインドを持ったデザイナーやエンジニアはまだ一部で、社内的にリサーチの価値を浸透させなければいけないなと感じるシーンがあります。

前段のプロセスから介入することで、UIデザインやマークアップをする上で、それぞれがこだわるポイントが出てきて、よりいいモノが作れるチームに近づけると思うんです。プロジェクトメンバー同士が関わり合いを増やして、互いに研磨していけることが理想なので。
そのために、プロジェクト前段からの参加意識をどれだけ増やせるかが自分の仕事だと思っています。

——アウトプットを磨いていくための共創、ということですね。

そうそう。 自分がリサーチから設計したものを成果物にしていく過程で、「もっとこうした方が良くなるんじゃないか?」とか、「実装上こうせざるを得ないんだけどどうしよう?」というような議論をしながら作っていくプロセスは、チームで作っている実感があります。  

最近では、新規開発するアプリの体験設計をデザインスプリントで行い、デザイナーやエンジニア、クライアントと一緒にリサーチから設計、モックアップの評価を実施するプロセスを持ち込みました。

デザインスプリントで使用したワークシート

どうすれば成果につながるのかという共通した意志を持ちながら、それぞれの主戦場となる工程に反映し、全員でブラッシュアップしていくといった理想を体現できた事例になったんじゃないかと思っています。

ビジネスとデザインをつなぐ

——今後UXデザインの領域で、特に挑戦したいと思っていることはありますか?

ゼロから新しいサービスの体験をデザインしていきたいと思っています。
ビジネスとデザインの両軸から、体験を組み立てていくところに興味があります。難しいからこそやりがいがあるし、もっと場数を踏んでいきたいですね。

——ビジネスとデザインの両軸から、体験を組み立てるというのは具体的にどういうことでしょうか? 

新しいサービスを検討する際に、誰に向けて、どんなサービスを提供して、どうマネタイズしていくのかというビジネス視点と、そのためにどんな体験を提供するのかというデザイン視点が必要になると思います。
要するに、面白くて利用者は多いけど利益が出ない、同じようなサービスが多くて選んでもらえない、といったことにならないように両方の視点でサービスの成功ルートを探り、検証していくことを指しています。

なので、さらに前段から関わってリサーチから設計する、みたいなことを一気通貫でやれたらいいなと。
現在は、具体的なアウトプットに近いところでのリサーチや評価をすることが多いので、サービスデザインのプロジェクトの中で、ビジネスとして勝ち筋を見出すリサーチや評価にも関わっていきたいです。

——今後、取り組んでみたいアプリやサービスはありますか?

社会インフラやデイリーに使うサービス、プロダクトに興味があります。社会的な影響という意味でインパクトの大きいモノにトライしてみたいですね。
とは言いつつも大小問わず、日々の生活やビジネスにおける困ったことを解決したり、より利便性を高める。そういう社会を少しでも良くする「体験」をデザインしていくことにコミットしていきたいと考えています。

インタビューを終えて

プロジェクトメンバー同士の関わりを増やすことで、よりいいモノが作れるチームになれると語ってくれた渡辺さん。リサーチの工程から制作メンバーが関わることの価値や、サービスデザインの面白さを改めて知ることができました。
また、難しいからこそやりがいを感じるという言葉から、渡辺さんの挑戦し続けるストイックな想いが伝わりました。

渡辺さん、ありがとうございました!

インタビュアー / ライター:山下
アクアリング入社3年目のWebデザイナー。インナー広報に所属。

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