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田崎つくるなど、30になる年読んだ本 #読書感想文

(今回も妻の投稿)
アメリカの好きなところの一つに、山や川へアウトドアに遊びに行くと山の上でペーパーブックを持って木陰で読んでいる人いる風景があります。
私もアメリカ初心者ながら、今年はゆっくりペースで本を読んでいたので初心をきちんと残しておくことで年を締めようと思います。

三体

これはまさにアメリカに移住しながら読んでいた本で、未知の敵に立ち向かう人類の姿に我々も勇気づけられながら読み進めました。

色彩をもたない田崎つくると彼の巡礼の年

Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage

イギリスの時も感じていましたがアメリカでもHaruki Murakami作品は人気のようで、近所の図書館に英語版・日本語版どちらもあったので借りて読みました。

英語版と日本語版

最初にこの作品を読んだのは私が大学時代の頃。
そこから30になった今年読み直すのは改めて発見がある体験でした。
友人との再会や時が経ってしまった思い出が個々人の中で美化されたり色褪せていく描写がリアルに感じてこの年で読む甲斐があったと思います。

5本の指のような完璧なコンビネーション

アオとの会話より

今回読んだ英語版は装丁も美しく、ストーリー合った工夫もされていて、このセリフに合った手の形を表紙に表していました。セリフを読んだだけではそれまでのピアノ描写などで完璧に動く、同等な5名という印象でしたが、実際はそういえば親指が1本離れた形だったことを思い出させられました。
つくるの指に当たる描写は東京の路線図が書いてあるのも細かくストーリーとの調和が取れていて綺麗な工夫でした。

いま思えば初回読んだ際にはミステリー小説として読んでしまい色々深読みをしてしまって、フィンランド人の旦那さんがアポ無しの訪問なのに家に招いてもてなす場面など「これ絶対裏で手を回されてるでしょ..」と他の方の読書感想などもみて怪しんでたのですが、
フィンランドに旅行したり、海外で暮らしたりしてみて、そのシーンを読んでみると「こういう感じありそうだな〜〜」と妙に納得してしまいました。

英語版、わからない単語多くて読み進めるのが大変でした。
英語で調べたらわかったこともあったので驚きをメモまで。

俺はグルって柄じゃない

アカとの会話より

てっきりグループの略かと思っていたら、英訳は"guru"でヒンドゥー教で「指導者」の意味でした。

She longs you

クロとの会話より(原文うろ覚え)

longの動詞の意味に「長い時間切望する」という意味があるそうです。
長らく片想いするとか、遠距離恋愛みたいなニュアンスなのかなと。
副詞ではlongingly(憧れて)という単語になるそうです。
時間や空間がそのまま心の距離感に現れてて素敵な言い回しだなと思いました。似たような日本語の表現で「重い」もありますが、目に見えない気持ちを測ろうとする表現があるのが同じ発想ですね。

ふしぎな図書館

The Strange Library

同じく村上春樹のこの本は日本語版を読んだことがないのですが、英語版だけ図書館で借りれたので読んでみました。
児童書くらいのボリュームで絵本のように各ページに挿絵がある構成なのに知らない単語が60個以上もでてきて(しかも難しい言い回しの。)読み進めるのが大変でした。
羊男を想像してドーナッツ食べながら読みました。

英語版の装丁の方が写実的なホラー味がある気がします。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

Project Hail Mary

YouTubeで話題になっているのを見て、三体でSFを読んだ後のワクワクの気持ちで読み始めたのですが、面白すぎてすぐに読み切ってしまいました。
日本語版を読んだ後、英語版を書店で買って読んでいるのですが、三体を読んだ後だとお国柄がわかりやすくて、アメリカSFのダイナミックさやコミカルさに引き込まれました。
読んでいる当時、原爆開発を主題にした映画の「Oppenheimer」を見に行って、その夜そのままの盛り上がりで日本での原爆開発を描いた「太陽の子」を家で見たのですが、同じ課題にどう立ち向かうかの国ごとの取り組み方や任務を負う人間の描写の描かれ方が異なるところに同じく思うところがありました。
さて、プロジェクト・ヘイル・メアリーに話を戻すと、日本語版ではなんとなく山寺宏一さんが映画の吹き替えをしていたり、おいでやす小田さんがモノマネしてるようなオーバーな言い回しのイメージで読んでいたのですが、英語版を読んでいるとまた違う本気のリアクションみたいな印象になってくるので面白い。
いつか映画化もされそうなので楽しみで仕方ないです。
(個人的には三体は漫画化して長編でじっくり楽しみたいなと思う作品でしたが、プロジェクトヘイルメアリーは一気に体温を上げてくれそうな、構成が上手く組み込まれた映画になりそうだなという印象です。)
誰かへのネタバレになるのがもったいなくてうまく内容に触れないように書いていますが、私の中の「今年のベスト本」はこの作品です。

(おまけ)読書モチベをあげる場所

読書感想は以上まで。おまけで今年私の読書習慣の支えとなったアメリカで訪れた場所を下記で紹介します。

ポートランドの老舗書店 Powell's Books

ポートランドに本店を構えるPowell's Booksは回廊のような建物の中を回りながら本を探す体験ができます。シャーロックホームズのコーナーが充実していて、ついに気になっていた「緋色の研究」を購入してみました。スタッフチョイスの本棚は日々変わるのでチェックが見逃せません。10月は禁書週間だったそうで、以前は差別的的表現や過激な表現で販売が禁止されていた本を紹介していました。

アメリカ禁書週間の棚。
禁断の果実のお味はいかが?

また、お店全体も可愛いのですが、お店が販売しているオリジナルグッズもデザインが可愛いので自宅での読書の彩りでマグカップを買いました。
大きすぎるのでもっぱらヨーグルトを食べる用になってしまいました。笑

アメリカの公共図書館

誰でも使える近所の図書館には今年大変お世話になりました。多言語のコーナーには日本語の本もあったりして、前述の村上春樹さんの他にも東野圭吾さんの本とかも読んだりもしました。
今年の夏には小さいお子さんがいる友人家族が遊びに来たりもして、ポートランドの子供向けのReading timeがある図書館にも行ってみたりしたのですが、親子連れでみんなが楽しめるコンテンツを用意した温かい雰囲気に参加者が包まれているいいコミュニティだなと思いました。

アメリカのカレッジの図書館

夏からカレッジのESLに通っていまして、学生証で本も借りれるので何冊か借りてみました。ESL学生向けの薄めの英語本やハリーポッターのアメリカ英語版を読んだりしました。ハリーポッターはイギリスにいる頃からの挑戦でいまやっと4巻ですが、アメリカ版のほうが英単語わかりやすいような感じがします。

公園・水辺・山など

冒頭にも書きました通り、オレゴンでは自然のアクティビティの中で木陰でゆっくりしながら本を読んでる方がよくいます。
ピクニックマットと本を持って風にゆられながらゆっくり過ごすのもいい読書体験になります。


そんなわけで積読も既にあるのですが、来年もまた面白い作品に出会えますように。ゆるゆる読書も続けていきます(来年の抱負)。

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