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光の中で生活する

六月 梅雨

春と夏の間、一瞬の季節
雨が降ると、
洗濯物は乾かない、
傘を持ち歩かないといけない、
家から出て3分で靴下までぐっしょり濡れる、
どんよりとしていて、
なんだか悲しい気がしてくる。

ある日の私。
特に用事はないけど、
せっかく晴れているしと思って
出かける準備をしていた。
準備が終わって、さあそろそろとなった時、
「どしゃー」っと、雨の音が聞こえ始めた。

今、いま、イマ、いま、さ。
出ようとしているでしょう。
どうしてこのタイミング…
窓を覗くと、遠くの空は晴れている。
もしかしたら通り雨かもしれない。
少し待つことにした。
20分くらいで晴れ間が見えて、
その隙を見て家を出た。
念のため、ビニール傘を手に持って。

早足でバス停まで行き、
ちょうど来たバスに乗った。
これで安心。
5分くらい揺られたあと、
また、きた。
「どしゃー」
バスに乗れててよかった。
降りた頃には小雨になっていた。

ふらふらと買い物を済ませ、
夕方、16時をまわった頃。
帰るためのバスを待っていた。
雨は上がっていて、
だいぶ日も長くなり、
なんならその時はピカピカに晴れていた。
バスに乗り、ぐねぐねとした
細い坂道を登っていく。
周りは緑に囲まれていて
ついた雫がキラキラしていた。

緑を抜けた先。
なんともない住宅街。
ぱっと視界がひらけたそこは
濡れた空気と、夕焼けのおかげで
淡いオレンジに包まれていた。
眩しくて、綺麗で、
体の真ん中がきゅっとなった。

雨と太陽がすれ違う瞬間の光。
これが好きだ。そう思った。

夏が来る。嫌いだったはずの夏。
感情がめまぐるしく動く季節。
今の私に必要なのは、たくさんの光。
日焼けもシミも気にしていられない。
この世界の光を浴びて
生きている証をしっかり残して。
あの人、この時、その物の、
キラキラをしっかり見つめて。
いつか自分が光になれるように。

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