能楽物狂

つれづれなるままに ひぐらし すずりにむかふここちす

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最近の記事

寶を寄する波の鼓

 入道雲と青い空に見守られ、長閑な春を楽しむ新緑に包まれし軽井沢の昼。  残雪と見えしはアルプスの遅桜。 見る人もなき山里の桜花に心を泳がせ、線路の滑りに身を委ぬ。 深谷の呼吸に梅酸胃を充して鱈汁を啜る。  北陸新幹線窓側席、あと一時間。 敦賀行きの北陸新幹線に乗って向かうは奴奈川姫の。 里山里海の風に誘われて、諸行無常の微睡みを愉しむ。 火垂る香る海ぞさやけき。 はや糸魚川着きにけり。 宝を寄する波の鼓、拍子を揃えてえいやえいやと親不知。 子不知の潮よ、珠は

    • 鎮魂・里山里海の風

      ※本内容は、5月18日の北國新聞朝刊に掲載したものの原稿になります。 私は能楽を嗜む大学生だ。 地元石川が能登半島地震で被害を受けたことに無常感を覚えた私は、 一人の人間として力になれることがあればと思い、 避難所で暮らす方々の話し相手をするボランティアに参加した。  交流のなかで、珠洲市出身の九十代女性の話に興味をそそられた。 「芸は身を助けるっていうげんけど、私は民謡や詩吟、京都で観世流の能を学んで、楽しく人生を過ごさせてもろたわ。」と感慨深げ。  そんな彼女と

      • Interview早稲田宝生会対談企画〜学生能の今昔〜

        十月ごろ、早稲田宝生さんに対談企画を依頼したいと、さらさ係の倉藤さんからお話を頂きました。そこで、十一月五日に数年振りに開催された早稲田大学能楽連盟秋季公演へ足を運んで頂いた先輩方に、スケジュールの間を縫って対談をお願いし、急遽実現に至りました。対談記事を執筆するに際して、対談に協力して下さった稲門宝生会の諸兄に改めて感謝申し上げます。 ・日時・令和五年十一月十二日十一時 ・場所・宝生能楽堂前ニューヨーカーズ・カフェ (宝生会定例能前後に能楽ファンが集う) ・対談の御相手 •

        • エマ・ワトソンに能面を

          最近、大学三年生“らしく”校外活動に勤しんでいた際、 「能楽サークルの幹事長を務めるにあたって、ジェンダー的観点で何か取り組んでいることはありますか?」 と尋ねられたことがあった。 フェミニストは世界には少なからず存在しているが、自分自身をフェミニストと自認している人はごく少数であろう。 私自身、その質問を投げ掛けられるまで、自分がフェミニズム活動に関心を持っていることに気付かなかった。 能楽サークルを運営する上でジェンダー観点で意識していること、、 私は、 「私が所

        寶を寄する波の鼓

          サークルの在り方~令和版早稲田宝生会での学生稽古の意義~

          「師匠から稽古を受ける」 これほど日本国民の特徴を詰め込んだ一文があるでしょうか。 礼に始まり礼に終わる師匠との稽古の時間。 濃密な緊張感のなか、震える手で扇を取り、呼吸を整えて舞台に声を放つ。 頭の中まで見透かされるような師匠の視線を肌で感じながら手足を懸命に動かし声を出すも、中々思い通りとはなりません。 そんな自分に苛立ちが込み上げてきた時ふと感じる、師匠からの厳しい視線。 「やべ、集中しなきゃ。」と思いつつも、バイトや課題といった雑念が、絶えず頭の中に浮かんでくる.

          サークルの在り方~令和版早稲田宝生会での学生稽古の意義~

          能楽・稽古風景~私たちの学生稽古~

          毎週水曜日は私の所属する能楽サークル、早稲田宝生会の学生稽古が行われます。 まだ見ぬ、新入部員というお客さんを想像すると、自ずと緊張感が高まるものです... 四月から始まる新歓では、何としてでも一年生に来てもらいたい...!! 我らが早稲田宝生会はここ数十年、部員が数年に一人入ったらラッキーという感じの過疎サークルでした。 しかし昨年、努力の甲斐あって、 なんとなんと七人もの新入部員を迎えることができました🥳 新生・早稲田宝生会の幹事長として、 責任感とワクワクを胸に日々

          能楽・稽古風景~私たちの学生稽古~

          私の所属する能楽サークルの紹介記事

          昨年宝生会さんに取材して頂いた記事です⤴︎ 是非皆さんご一読くださいませ♪ #能楽 #サークル #インカレサークル #伝統芸能 #古典

          私の所属する能楽サークルの紹介記事

          檜書店さんのガレージセールへ!

          https://x.com/hinokishoten/status/1768184678547410948?s=46&t=JHC5vpxZGWUrMwKUSmZOxQ 花粉飛び交う三月某日、檜書店さんのガレージセールへ行って参りました。 檜書店さんは令和六年四月より、神田小川町の新開発に伴い、神保町に移転するとのこと。 慣れ親しんだ小川町店舗もこれが最後か... 寂しさか花粉のせいか、目が赤い... 目を擦りながら店内に到着したところ、 貴重な資料が盛り沢山!!😵‍

          檜書店さんのガレージセールへ!