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価格競争に巻き込まれないブランドを育て続けたい | ブランディングデザイン事例インタビュー|株式会社永井農場様

株式会社永井農場様は、長野県東御(とうみ)市で30年以上も前から循環型農業に取り組み、農産物の生産・加工・販売などをされています。
今回はWebサイトリニューアル当時に抱えていたWEB集客の課題を振り返りながら、農業への想いを株式会社永井農場の代表取締役永井進さんにお話しいただきました。

▼「永井農場」ホームページ


永井農場を応援してくれる気持ちがすごく伝わった

―弊社にご相談いただく前に御社がかかえてらっしゃった課題やお悩みについてお教えください。

アプリコットデザイン(以下、アプリコット)さんにお声がけしたのは昨年の夏。自社で運営していたECサイトのシステム変更にともない、ECサイトの再構築を迫られていたのがきっかけでした。
月山さん(アプリコット)に相談したところ、ユーザーにとってより使いやすく、農場の魅力や世界観をお客さまに伝える方法として、永井農場の本サイトにEC機能を取り入れたリニューアルプランを提案していただきました。

―アプリコットにWeb制作を依頼しようと思った決め手をお教えください。

WEBデザインが得意なことは知っていましたし、過去に永井農場のデザインをいくつか制作していただいていたので相談がしやすかったです。何より、永井農場を応援してくれる気持ちがすごく伝わってくるんですよ。月山さんが農業に詳しいだけあって、生産者の立場に立ってうまくディレクションしていただけたのかなと思います。
デザイン面は『今までのサイトよりシンプルで見やすくなったね』と多方面から良い評価をいただいています。期待にしっかり応えてもらえました。

―Webサイトのリニューアルを行ったことで、効果を実感したことがあればお教えください。

リニューアルをしてからはECの売上が多少良くなったという感じはありますし、何より農場の世界観が伝わるホームページになったことに満足しています。せっかくの本サイトのリニューアルであれば、お客さまや新規雇用者に対して、私たちがどんな想いで、どんな環境で、どういう人たちが農業をしているのかもっと伝えたい気持ちがありました。それをしっかりと汲み取ってヴィジュアルに落とし込んでいただいたなって。これからは出来上がったホームページをベースに、僕たちの手で情報を丁寧に積み重ねていければと思っています。

価格競争に巻き込まれない永井農場というブランドを育て続けたい


―Webサイトのトップページに記載されている「持続可能な農業」「循環型農業」についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

永井農場の強みは30年以上前から取り組んでいる循環型農業です。

今でこそSDGsや脱炭素がもてはやされているけれど、昔から日本はその土地にある資源を上手に循環させて農業をやってきたんです。
育てた稲わらを飼っている牛の餌にして、牛から出たフンで堆肥を作り、それを田畑に戻していく。それをこの東御市で脈々とやってきたのが永井農場。
規模は大きくなっているし、機械化されているところもあるけれど、農業の中で生まれたものを無駄なく循環させたいという根本のところは変わりません。

この辺りは中山間地で、効率の良い農業ができる地帯ではないからこそ複合経営をしながら、その中で循環をさせる工夫をしてきました。今になってみれば中山間地で、その土地にある資源を組み合わせながら農業を営むことがリスクヘッジになっています。
特に昨今は肥料や燃料が高騰しているので、改めて循環型農業の強みを感じています。今が最大限生かせるときですね。

ちなみに、燃料費や資材費の高騰で生産コストは当然上がっていますが、お米の価格帯は30年前からほとんど変わっていません。それは僕たちのやっていることが何も変わらないから。これからも、価格競争に巻き込まれない永井農場というブランドを育て続けようと思っています。

―今まさに必要とされている農業の在り方に思えました。是非多くの方に知って頂きたいですね。

今まで国は「農地の規模を大きくすること」を前面に押し出して支援してきたけど、僕たちが今やっていることが、本来の日本の農業らしさとも言えるんじゃないかなと思います。
僕たちは、いち企業として取り組んできたけれど、地域の農業者同士で取り組む循環型農業の形でも良いと思うんです。

これからはもっと多くの方に、循環型農業のこと、僕たちが実践していることを知ってもらえたら嬉しいです。
共感してくれたり、応援してくれる人と繋がって、一緒に何かやりたいですね。
そのためにまずはWebをしっかりと活用して発信をしていきたいし、その土台となったのが今回のホームページリニューアルでした。

生産だけにとどまらない、販売分野にかける想い

―ECサイトを運営されているなど物販にも力を入れてらっしゃいますが、生産だけでなく加工や販売にも力を入れることになったきっかけをお教えください。

永井農場は東御市で代々農家をしていて、祖父の代から生産だけではなく農産物の加工・販売も行っています。僕自身、農家として自分の足で立ちたいという想いがあったので、加工や販売にも力を注いできました。格好良い言い方をすると、『強い農業者』を目指していたんです。

原料販売は価格のジャッジを自分で出来ません。だから玄米を白米に加工し、白米をお餅にし、お餅をおかきにする。そうやって自分達で利益を上げられるようにしました。
「補助金がないと農家なんて出来ないよね」という風潮も嫌。餅加工を始めたのも、自分で作ったものは自分が決めた値段でお客様に買っていただける世界を作りたかったからです。
近くの人たちに買っていただいて、声が聞こえて、「ああ良かったな、またやろう」みたいな。その繰り返しです。

ありがたいことに、うちの製品はリピート率が高いと思います。大手さんのサイトから声がかかることや、他社コラボの問い合わせもあるけれど、やっぱりリピーターさんを大事にしたいからやっていません。
リピーターさんの中には30年お付き合いのある方もいます。
うちは30年近く前に通販をスタートしましたが、当時のお客様の息子の代になっても永井農場のお米を買ってくださるご家族もいて、親戚付き合いみたいな関係性ができています(笑)。
アナログな方法だけど、定期的に広報紙を送ったりしていたことが、お客様と永井農場を繋ぐツールになっていたんだと思います。
今もこうしてついてきてくれるファンの皆さんには、すごく感謝しています。

昨年は、東京の高級寿司店から声がかかり、農場の低温倉庫で熟成したお米を取り扱ってもらえるようにもなりました。
それぞれの用途に合う精米の仕方やブレンドを、長年の腕で調整してお届けしています。

―実店舗のHARVEST NAGAI FARM 東御店さんで食べたソフトクリームもとても美味しかったです。

乳製品の加工も行っていますが、うちでつくっている飲むヨーグルトやカフェのソフトクリームは、『味が濃い』と好評です。
どちらも生乳でそのまま発酵させているから、バター感というか、クリーム感があるんですよね。だから飲むヨーグルトはよく振らないと油の層とミルクの層が分離しちゃうんだけど、それがある意味うちの特徴とも言えますね。
味へのこだわりが実現できることも、生産と農作物の加工を両立する醍醐味です。

永井農場は農協や市場出荷はしていませんので、規格外商品で頭を抱えることはありません。廃棄もほぼゼロ。農場でとれた米、野菜、果物、乳製品は必要な分を生産・製品化して、あとは自社運営のカフェで食材として活用します。色や形も大事だけれど、もっと大事なのは作物本来の味を届けること。有機堆肥でじっくりと育てた作物は、ありがたいことに多くの方に選んでいただいています。

永井農場さんの循環型農業への取り組みは次のステップとして「エネルギーの循環」にも着目しているそう。そんな循環型農業を進めながらも、地域の担い手不足は深刻化しています。「地域の農家さんに支えられながら今があります。今度は自分たちが、新しく農業を始めたい人たちを応援したり、地域の農業をサポートしたい。」と語る永井さんは、夏空より高く、農業の未来を見据えていました。

(2023年8月に実施したインタビューの内容です。)

▼「永井農場」ホームページ


▼tone village

デザイン会社が長野県長野市つくった複合施設tone village(トーンビレッジ)


▼東京・長野を拠点に、「ブランディング」「デザイン」「WEB」を駆使して、集客および採用支援を提供するデザイン会社


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