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食欲の秋には、読書でご馳走を

バターと砂糖で炒めたリンゴを型のなかに敷き詰める。さらにその上からタルト生地をかぶせて焼き上げたのが、フランスのお菓子「タルト・タタン」である。偉そうに語ってはいるが、実は私はそれを食べたことがない。

ここに、一軒のフランス料理店がある。名前は、

「ビストロ・パ・マル」

フランス語を翻訳すると「なかなかいいね・悪くない!」という意味の、なんとも変わったレストランである。

■タルト・タタンの夢

お客様の巻き込まれた不思議な事件や出来事。それを解決するのは、シェフ三舟!フレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」で、絶品料理の数々と極上のミステリをお楽しみあれ!

本の表紙に描かれているのは、ビストロ・パ・マルのシェフ、三舟。長めの髪を後ろで結び、無精ひげを生やしたその見た目から、フランスで修業中の頃はサムライがいると話題になったのだそうだ。

そんなシェフ三舟がお届けするのは、美味しい料理だけではない。読者の私たちは、彼が調理した数々の謎解きを堪能できるのである。(極上の料理は食べられないけれど…!)

この本を読んだとき、私の頭に浮かんだのは、以前記事で紹介した「和菓子のアン」という小説だった。なにしろこの作品は、ミステリーでありながら血が流れない。そして、終始美味しい食べもので溢れている。

他にたとえるとするならば、米沢穂信の古典部シリーズといったところだろうか。日常の謎解きミステリーというのは、読んでいても心がずっと穏やかでいられる。

「タルト・タタンの夢」と題されたこの本には、7つの謎解きが収録されている。私が特に好きだったのは、最後に収録された「割り切れないチョコレート」のお話。内容に触れることは避けるが、心温まるお話にほろりと涙がこぼれ落ちそうになってしまった。

この本はシリーズ化されており、「ヴァン・ショーをあなたに」そして、「マカロンはマカロン」と続いていく。再びシェフの料理を楽しめると思うと、私もとても楽しみだ。

余談ではあるが、私は意外とフレンチを食べたことがないのかもしれない。普段はどちらかというとイタリアンを楽しむことが多いし、本で登場する美味しそうなフランス料理たちの名前は、ほとんど聞いたことがなかった。

単純ではあるが、この本を読んでいるとフランス料理というものを楽しんでみたくなってしまう。ビストロ・パ・マルのような素敵なお店を見つけるのは簡単ではないかもしれないが、私はきっと近いうちに、どこか素敵なフレンチレストランに足を運ぶことになるだろう。

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この本は、喜木凛さんの記事がきっかけで手に取った1冊です。素敵な本の紹介、ありがとうございました!記事では、「秋の夜長に読みたい本たち」が他にもたくさん紹介されています。ぜひご覧ください!

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