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一千一瞬物語 (140字小説・コント)

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(雑文)140字マガジンと印度林檎之介の「文字数に制約のある小説」への考え方

この度、今まで、トークに流してきた 「140字以内の文」=コント
や小説=を マガジン にまとめました。今後も作ったら追加する
かもしれません。

ここで、拙者の「文字数に制約のある小説」(まさに140字シリー
ズがそうですが・・)に対する考え方を書いて見ます。

まず、「何文字以内で話を書こう」というチャレンジですが、note内
外でも結構行っている方がいらっしゃいます。

有名なところでは海見

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人魚
トロール船に研修で乗り込んだ時の事。ある日、網に人魚がかかっていた。青い目に金髪の女。聞いた事もない言葉で必死で命ごいしている。船長は見るなり髪を引っつかんで船の外に投げ捨て、吐き捨てるように言った。
「あの魚は刺身にしても焼いてもまずくてな。食えたもんじゃねえ」

飼育員
隣の部屋のネアンデルタール人に餌をやりに行く。私と同様、殺風景な部屋に押し込められている彼らは退屈しており、私が行くととても喜ぶ。ひとしきり彼らと時間を過ごし、私は自室に戻る。しばらくすると反対側の扉が開いて未来人が私の食事を運んでくる。

英雄
金太郎は成人して渡辺綱に仕えて酒呑童子を討伐し、桃太郎と名を変え鬼ヶ島を攻め落とし、浦島太郎と名乗り乙姫とロマンス、また力太郎と名乗り武者修行の後、三年寝太郎とよばれ貴族の養子に……その後も数々の冒険を繰り広げた。日本の昔話の多くは実は一人の英雄の物語の断片にすぎないのだ。

弱点
世界中の動物が一斉に進化した。カメは先祖代々念願の移動速度がUP、100倍の速さに。もう宿敵のウサギに負けないだろう。折りよくそこへウサギから再戦の申し込みが。カメは勝利を確信して承諾した。しかしウサギも自信満々だった。ウサギは進化した結果、決して居眠りしなくなったからだ。

被害
正月のモチを買って山道を歩いていると何者かが行く手をさえぎった。小柄で顔は老人、昔の子供のような腹掛けをしている。
「うわ、こなき爺だ!」
「違う。わしは『きなこ爺』だ」
妖怪は大量のきな粉をまき散らし消えた。きな粉まみれで家にたどり着くと、モチがあべかわ餅になっていた。


夜中に合わせ鏡をする。ナイフを持ち二枚の鏡の中に立つ。突然背後からナイフをさされた。見ると後の鏡の自分がなぜか前のめりに倒れ、そのナイフが自分に刺さったのだ。自分も思わず前に倒れ、その勢いで正面の鏡の中の自分の背中にナイフを刺す。二枚の鏡の中、無限の自分が倒れていく。


雪も進化するらしい。今年の雪はふわふわで弾力があり、しかもほんのり暖かい。全国にえらくつもったが例年より過ごし易かろうと思った矢先、スコップで削れず、炎でも溶けない事が判明。こんなのに囲まれて死ぬのかと覚悟したが、隣のオヤジがあっさり溶かしていて驚いた。「簡単、氷で溶けるよ」

悶々
ある古代の遺跡の奥に未知の金属で作られた巨大な装置が発見された。装置は頑丈で穴も開けられないし、X線も通さない。正面にボタンがひとつ、横に意味ありげに古代語で何か書かれている。学者達が莫大な資金と時間をかけて翻訳に成功したが……その内容とは『押すなよ、絶対に押すなよ』

連鎖
鎌倉時代の塚からミイラ発見、調べた所もっとずっと古い時代の物だった。副葬の古文書には奈良時代の墓から発見されたとあり、さらにその墓に行き調べると元は弥生の古墳から見つかったものらしい。結局来歴不明。
「たたりにあってもイヤだ」
結局新たに墓を作って埋めちゃった。

無声劇
家が厳しいが泊まりたい。明子は今はやりの代理人派遣を利用した。格安で会話はできないが自分そっくりのロボットを貨してくれるのだ。一晩ならごまかせるだろう。ところが実は明子の父と母もそれぞれ、このサービスを利用していた。無人の家で静かに、ロボット達のパントマイムが開演する。

高貴
ロイヤルゼリーが安かったので大量に買った。ところが苦くてとても食べれない。
「当たり前だよ。王様の食べ物だもの」
ところが隣で譲ってくれという。
「ペットのエサにしたい」
見に行ったらコウテイペンギンがガツガツ、ゼリーを食べていた。
「さすが~」

ライオン
TVで最強の動物は?というのを見た。ペットのレオに聞く。「ライオンだよな?」彼はたてがみを震わせ、大きくうなづく。「でもシベリアトラが一番って言ってるな。鈴木さんちで飼ってたな」見ればレオの目が泳いでいる。鈴木さんちに行ってこの話題になった。トラの目もやはり泳いでいた。

宇宙人
冷凍睡眠からさめると人類は全滅していた。さびしくしていると宇宙人が攻めてきた。事情を話すと同情してくれ俺は保護される事になった。
「お世話になります」
「最後の一人じゃアブダクションできないしね」
俺は毎日ブラブラし、飽きたら宇宙人の常駐員とおしゃべりする。とても平和だ。