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アフターコロナでテレワークはどうなるか? ~テレワーク実態調査の結果から~

戦略コンサルタントのアップルです。

数日ぶりの投稿になってしまいましたが、この間にフォロワーが100人に達しました。フォローしていただいている皆様、ありがとうございます!

さて今回は、アフターコロナの働き方の変化について、とある実態調査の結果をもとにつらつらと書いてみようと思います。

アフターコロナで何が変わるのか、とか、アフターコロナの働き方については、だいぶん前に記事を書きました(4月に書いた記事はこちら)。

コロナ発生から4ヶ月が経つ中で、いろんな実態調査も出てきました。つまり仮説として考えていたことがデータとして検証されはじめています。

これからは、アフターコロナやウィズコロナで何が変わるか/変わらないかという定性的な話から、「変わるものはどれくらいのインパクトで変わるのか」という定量的な話へと論点が移っていくでしょう。

・テレワークが進むことは分かった。じゃあ、どれだけ進むの?
・移動の需要が減ることは分かった。じゃあ、どれくらい減るの?
・都市から地方への分散が進むことは分かった。けど、それって本当にインパクトあるの?

こんな感じです。インパクトの定量的な見極めが経営や事業戦略においてのポイントになってくるはずです。

パーソル総合研究所のテレワーク実態調査

そういう観点で、最近パーソル総合研究所が公表したテレワーク実態調査はいくつかの観点で示唆があるのでご紹介します。

緊急事態宣言解除後の6月11日に発表された調査で、緊急事態宣言解除前と後のデータの変化も捉えています。様々な観点でのアンケート結果がまとめられているのでご覧いただくと面白いと思いますが、アップルが特におっ!と思った結果をご紹介しましょう。

 ①テレワーク実施率は早くも減少

緊急事態宣言解除前は27.9%だったテレワーク実施率が、解除後に25.7%とわずかではありますが下がっています。しばらく推移をみる必要がありますが、コロナが収束するのにつれてテレワーク実施率がどの程度まで下がっていくのかは要注目です。

先述のとおり、「テレワークがビフォーコロナに比べて進むのは間違いないが、そのインパクトはいかほどか?」という定量感の見極めが重要だと思います。労働や移動に関わる事業者(業務システムベンダー、鉄道・バス事業者など)にとってはこの定量感が死活問題になります。

 ②テレワークには”地域差”がかなりある

地域別のテレワーク実施率に大きな差があるというのはアップルにとって新鮮なデータでした。関東が38%なのに対して、近畿は23%、中国・四国・九州に至っては12%です。関東と中国・四国・九州の実施率には実に3倍の差があります。

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これにはいくつかの要因が考えられます。まずはコロナの感染状況です。関東が最も多くの感染者が出ていますし、緊急事態宣言が解除されるのも遅かったので、コロナを契機にテレワークがぐっと普及したと考えられます。その他にも、東京に大企業が集中しているためテレワーク環境が整備されている会社が多い、産業構造的にも関東はテレワークが可能な職種・業種が多い(知的労働者など)といった要因が考えられます。

東京に住んでいると、つい東京を日本の縮図として考えてしまいがちですが、テレワーク普及率ひとつとっても都会と地方とでこれだけの差があるということは頭に入れておく必要があると思いました。つまり、地方に行けば行くほど、コロナを契機とした働き方の変化は極めて緩やかということですね。

 ③テレワーク継続希望は日に日に高まっている

テレワークを実施している正社員の7割がテレワークを続けたいと考えているという結果が出ています。4月調査時点では5割だったのが7割に高まっているので、「テレワークを経験すればするほどその良さが身に染みて、ますます続けたくなる」ということだと思います。これはテレワークをしているアップルの実感とも合います。

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別の記事にも書きましたが、移動というのは時間と労力の「無駄」なので、その無駄がなくなることによるストレスの減少はかなりのインパクトがあるということでしょう。オフィスで上司などと顔を合わせるのもある意味ストレスなので(笑)、若手の人は特にそれから解放されるのもいいなと感じているのかもしれません。

会社の方針によって「コロナも落ち着いたから今後は原則出社!」となるところも出てきているかもしれませんが、この調査結果を踏まえると社員目線ではテレワークのニーズはかなり高まってきています。社員に気持ちよく働いてもらうという観点では、経営者もある程度はそのニーズをくみ取らないといけないでしょう。

アップルが考えるアフターコロナの働き方の3変化

以上でみてきたように、アフターコロナで働き方がどう変わっていくかは、定量データとともに今後はみていく必要があります。アップルも関連するデータをウォッチし、示唆深いデータや調査があれば改めてnoteで紹介しようと思います。

それはそれとして、アップルとしては、アフターコロナの働き方は大きく3つの変化に集約されると考えています。

 ①オンラインとオフラインのベストミックスの時代へ

ご紹介したパーソル研究所の調査におけるテレワーク実態調査では、テレワークを少しでもしている人は「実施者」という扱いになっています。週1日テレワークする人も毎日テレワークする人も同じ扱いです。

テレワークは非常に快適な働き方だとアップルも考えていますが、だからといって全社員が毎日テレワークで働けばよいのかと言われれば疑問があります。アップルが所属するコンサルティングファームのような会社でも、顔を合わせた方がやりやすい仕事もありますし、社員の一体感や会社の求心力を維持する上でもオフラインの要素は必要だと感じます。

なので、「テレワークか出社か」というゼロイチの議論ではなく、「テレワークと出社をどう組み合わせるか?」というミックスの議論が大事だと思います。会社によってミックスの仕方は様々で、唯一の答えがあるわけではありませんが、コロナが収束に向かいつつある中、各社なりのベストミックスを模索する段階にきているのではないでしょうか。

 ②プロセスから成果へ

テレワーク、つまりオンラインの割合が高まるということは、業務プロセスが見えづらくなることを意味します。

これまで、こと多くの日本企業では、成果だけでなくプロセスで評価されてきた側面がありました。たとえ成果が芳しくなくても、しっかりと真面目に仕事をしていれば、努力をしていれば評価される。少なからずそういう側面がありました。

ただ、これは、上司と部下が机を並べて仕事をしていたからこそできる評価です。テレワークになると上司と部下のコミュニケーション頻度も減りますし、部下の業務プロセスも見えない部分が増えます。

つまり、プロセスで評価がしづらくなる分、おのずと成果やアウトプットの評価における重みが高まるはずです。日本においても成果主義が高まっていくきっかけとなるでしょう。裁量労働制のような成果主義にフィットした雇用制度も普及していくのではないかと思います。

これは、ある意味健全な話で、成果に自信がある人にとっては追い風です。逆に、成果がパッとしない人、更には窓際のおじさんにとっては、かなりの逆風です。アフターコロナではリストラも一定程度進むことが想定されます。

 ③ワークライフバランスから、ワークライフミクスチャーへ

これは冒頭の4月に書いた記事にも書いた通りです。家で働くようになるということは、仕事と生活の境界線があいまいになることを意味します。ワークライフバランスから、ワークライフミクスチャーへと様式が変わっていくでしょう。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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