戦略コンサルタントのリアルなキャリア事情
戦略コンサルタントのアップルです。
戦略コンサルタントの採用面接(「入口」の話)についてはこちらの記事などで書きましたが、今回は「出口」の話をします。戦略ファームに入ってきた人がその後卒業も含めどういうキャリアを歩んでいくことになるのかというお話です。
コンサル業界を志望されている方、逆にコンサル業界の人材の獲得を考えている方はご参考ください!
戦略ファームの平均勤続年数
コンサル業界は流動性の高い業界です。平均勤続年数は大体3年くらいという感覚です。はやい人は1~2年で辞めていきます。一般的な事業会社と比べると極めて平均勤続年数は短いです。新しい人が入ってきては、誰かが辞めていくということが常に繰り返されています。
平均勤続年数は3年だとして、その内訳はどのようにパターン分けされるのか?そこを紹介していきましょう。
パターン①:立ち上がる前に退職(勤続1~2年):20~30%
戦略ファームに入ってはみたものの、能力や適性がなく、退職していく人たちです。コンサルティングの仕事に適性があるかどうかは、新卒・中途問わず概ね1年~1年半で見極めがつきます。ほとんどが未経験で入ってくるので、最初の1年はみなもがき苦しみながらOJTでコンサルティングの仕事を覚えていきますが、適性がある人はおおむね1年経てば立ち上がり、戦力になっていきます。適性のない人は「立ち上がる」ことないまま、自ら適性のなさを痛感し、別のフィールドへと巣立っていきます。
ちなみに、戦略ファームというとup or out(昇進、さもなければクビ)というイメージがあるかもしれませんが、最近ではそういう感じではなくなってきています。ファームとしては一度採用した以上その人の可能性を信じて(厳しく評価はしつつも)大事に育てようとしますが、適性があるかどうかは本人自らが一番わかるものなので、自ら退職していくケースが多いように思います。
パターン②:立ち上がって戦力になってきた頃に退職(勤続3~5年):60~70%
ボリュームゾーンがこれです。一定の適性はあり、コンサルタントとしても戦力になってきたが、コンサルという立ち位置に限界を感じたり別にやりたいことが出てきたりして辞めていくケースです。
巣立っていく先としては、大企業、ベンチャー、ファンド、起業、ほかのファームなど様々ですが、最近はベンチャーへの転職が多いです。「リスクもあるし、待遇も決して良くはないが、ベンチャーでチャレンジしたい」。そういうマインドの人が増えてきています。
少し前から、東大の優秀層は、官僚や大企業ではなく、ベンチャーに行くようになったといわれています。30代後半の私の世代の頃と比べるとやや隔世の感がありますが、ポストコンサルでもベンチャーの存在感は確実に増してきています。
パターン③:マネジャー~プリンシパルになって退職(勤続6~10年):5%
プロジェクトリーダーやマネジャー、つまりプロジェクトを指揮する立場になると、退職する人は一気に減ります。理由は2つあります。
①仕事が面白くなる
コンサルタントはいわば「兵隊」ですが、プロジェクトリーダーは「指揮官」です。担当モジュールの調査分析・アウトプットという”部分”の仕事から、プロジェクト全体をリードしクライアントに価値を届ける”全体”の仕事へと変わります。当然、責任やプレッシャーも大きくなりますが、それ以上に仕事の面白さがグっと増します。
パートナーに「いつの時代が一番仕事が楽しかったですか?」と聞くと、「マネジャーのときだ」という答えが多く返ってきます。そのことからも、マネジャーはファームの花形のポジションと言えるでしょう。
②給与水準がぐっと上がる
コンサルタントからマネジャーに上がると、給与がぐっと上がります。具体的には、(ファームにもよりますが)ベースが1000万円程度から1500万円以上へと上がります。加えて業績に応じたボーナスインセンティブも大きくなります。
これらの理由で、マネジャーまで昇進すれば継続して働くインセンティブた高まり、離職のハードルは相当大きくなります。それをおしてでも辞める人は、少数派であるという印象です。
パターン④:パートナーになりファームに骨をうずめる(勤続10年~):5%
文字通りパートナーに昇進し、50代くらいまで働き、実質的にキャリアを終える人です。コンサルティング業界の勝ち組です。ただ、パートナーは営業マンなので、営業ノルマを課されて次から次へと新しいプロジェクトを売り続けないといけません。決して楽な仕事ではありませんが、骨の髄までコンサルが好きな人がこのポジションにつき、仕事を続けていけるのでしょう。
最後に
アップルの実感としても、コンサルティングの仕事の醍醐味はプロジェクトリーダー・マネジャーにならないとわからないと思います。なので、戦略ファームに入った以上、マネジャーは目指してほしいと思います。
ただ、一方で難しいのは、マネジャーに上がると、給与的にキャリアチェンジのスイッチングコストが極めて高くなるという点です。30代で1500~2000万円の給与がもらえる仕事は(同業他社を除けば)ほとんどありません。ある程度の給与ダウンを飲むことが必要になります。無論、仕事の価値は、お金だけで決まるものではありませんが。
今回は以上です。
戦略コンサルタントのキャリアの実態については、また機会があれば書こうと思います!