見出し画像

レビューする際の心構えとセオリー

戦略コンサルタントのアップルです。

今回は「レビュー」について書いてみます。あらゆる組織において中間管理職以上になると、部下が検討した内容や、作成した資料に対してレビューする機会が出てくるでしょう。レビューというのはなかなか難しいものですが、価値の高いレビューをするためのセオリーがあるとアップルは感じています。今回はそのあたりについて書いてみます。

レビューする立場にある方のヒントにしていただければ幸いです!

そもそもレビューとは何か?

レビューという言葉、ビジネスシーンでよく使いますが、そもそもレビューとは何でしょうか?reviewの和訳をみると「批評、評論」となっています。本来の言葉の意味としてはそういうことなのでしょう。

ただ、ビジネスで使われるレビューの意味は、ちょっと違うんじゃないかと思います。ビジネスは日々新しい価値やアウトプットを作っていかないといけないので、批評や評論だけしてても仕方ありません。ビジネスにおけるレビューは「価値を高める営み」でないといけないはずです。

少なくとも本稿では、
「レビューとは、レビュイーとレビュアーのコミュニケーションを通じて、アウトプットの進化や価値向上を促す営みである」
と定義しておきます。

レビューに関する3つの観察事実

アップルはレビューについて3つの観察事実があると思っています(読者のみなさんにも「確かに」と共感していただけるんじゃないかと思います)。

観察事実①:レビューに気迫がないレビュアーが散見される
まさに批評、評論に終始して、レビューを通じて価値を高めようとする気迫のないレビュアーが散見されます。こういう方たちは、何かコメントすればレビューしたことになると勘違いしているのかもしれません。

レビューを受けるレビュイーとしては、この手のレビューをもらってもほぼ意味がないので、「付き合うだけ時間の無駄。けどカタチ上はやらないといけない。はあ、めんどくせー」となります。

観察事実②:レビュアーによって相当なばらつきがある
アップルも日々様々なレビューに触れています。クライアントとのディスカッションのときに、我々コンサルタントのアウトプットに対するレビューももらいますし、クライアント内の会議に陪席してそこで繰り広げられるレビューを第三者として観察することもあります。もちろん、ファーム内でもレビューしたりされたりは日常的です。

様々なレビューを観察してわかることは、レビューの仕方はレビュアーによって大きくバラツキがあるということです。同じプレゼン・報告に対してかくも様々な角度からのレビューがあるのかというくらいバラツキます。

本質的なところをズバッと付くレビューをする人もいれば、単に自分の知ってることを話す人もいれば、些末な枝葉の部分に固執してコメントする人もいます。三者三様で、ばらつきがあります。

観察事実③:レビューの入り方で方向感が決まる
最初に口火を切るレビュアーがどの観点からレビューに切り込むかによって、そのレビュー会議の7~8割は方向感が決まります。些末な部分に対するレビューから入ると、些末な話で7~8割の時間を消化してしまいます。逆に本質的なところにズバッと切り込んだコメントで口火を切ると、本質的な議論が誘発されて有意義なレビューとなります。

なぜ最初の入り方で方向感が決まるかというと、レビューされる側は基本的にレビュアーに対して「オウム返し」でこたえるからです。レビュアーが些末な論点に対してコメントしてきたらその些末な部分について応答しますし、大きな論点に切り込んできたらそれに対する意見や考えを述べます。

このように、レビュー会議を生かすも殺すも、レビュアーの最初の一言の発し方次第です。

レビューのセオリー

以上の観察事実も踏まえると、レビュアーに求められる基本姿勢は、レビュー会議を生かすも殺すも自分次第と心得た上で、レビューの入り方を工夫するということです。

具体的には、下記のとおり、大きな視点や大きな論点からレビューに入るのがセオリーです。

【レビューのセオリー】
①大きな検討の方向感に対するレビュー
 ↓↓↓
②アウトプットを進化させるためのコメント・インプット
 ↓↓↓
③その他、各論に対するコメント

図解をすると次のようなイメージです。順に説明していきましょう。

レビュー

①大きな検討の方向感に対するレビュー
方向感が合っているのか、それともずれているかに対するレビューです。これが一番大事です。

ずれていない場合は「いい方向性で検討が進められていると思う」「大枠良いと思う」ということをコメントしてあげるのが大事になります。これを言ってあげることで、レビュイーはこの方向で突っ走ればいいんだなと安心できます。

逆にすれている場合は、出てきたアウトプットに対してレビューしても意味がないので、大きな軌道修正をするために、「そもそもこれって・・・」とか「この方向性で検討しても意味がないんじゃないか」とか「こう方向転換すべき」というレビューが必要になります。

②アウトプットを進化させるためのコメントやインプット
大きな方向感が違和感なければ、レビュイーのアウトプットに対してどれだけ付加価値を付けてあげられるかが勝負になります。アウトプットの価値の源泉になるところを見極めつつ、そこに対して自分が持っている情報、知識、ノウハウを分け与える。ここに意識を集中してレビューをします。

③その他、各論に対するコメント
①と②をやった後に時間が余れば、あるいはアウトプットの完成度が高くて①、②の観点でのレビュー余地がない時は(こういうことはあまりありませんが)、個別に気になったところに対してコメントをします。


些末なレビューをしているように見える人をしばしば見かけますが、これは①や②をすっ飛ばして③から入ってしまっているためです。③のレビューだけを繰り返していると、レビュイーも「この人にレビューしてもらってもあまり意味がないな」と感じ、結果舐められることになりかねないので注意が必要です。

質の高いレビューには視座の高さが必須

上記①⇒②⇒③の順に実践するためには、レビュアーの視座の高さがポイントとなります。レビュイーが提示する資料やアウトプットの細部にとらわれず、大きな視点や論点で捉える。そうしてはじめて①や②の観点でのレビューが可能となります。

こちら側が高い視座をもってレビューしないと、価値のあるレビューにならない。ここにレビューの難しさがあります(視座を上げるというのは結構な訓練と経験を要するので)。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?