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ChatGPTによる映画紹介サービスを開発。その時に考えていたことと気付き。

ChatGPTが映画を紹介してくれる「AI CINEMA」というWebサービスを作ってみました。

自分の好みの映画を選んでAIに依頼すると、オススメの映画をリストアップしてくれるサービスです。

この動画のように使う想定です。

※スマホからだと動作しないという報告を受けています。お手数ですがPCからのアクセスをオススメします。

とにかくChatGPTを使ってみることを目標に手を動かし、自分の考えの表現にも繋がるアプリを作ることができました。
開発中に考えていたことと気付きを書き連ねてみます。

こちらの記事の言語化が素敵と思い、本記事ではこの流れに沿って整理させていただきました。


作りたいことが降りてくる

昨年末からChatGPTを触っていました。従来の当たり前がアップデートされてゆく日々に「ChatGPT すげーーー」って言い続けてました。
それと並行して、大友しゅうまさんがマンガで紹介している映画を観ることにハマっていました。

「ターミナル」がマンガ経由で初めて見た作品で、これが超おもしろかった…!

この体験から「自分向けにもっと映画を紹介してほしい」「ChatGPT がそれっぽく紹介してくれたらいいのでは?」という考えに至り、「ChatGPTが自分向けに映画を紹介してくれるサービス」を作ることにしました。

競合がいないか

映画の紹介でまず思いつくのが、Netflix、アマプラ、U-NEXTなどの配信サービス内の機能。とても便利だけれど、そのサービスに入る必要があり、サービス内で配信されている映画しか紹介されません。

あと紹介とは違いますが、映画情報データベースはよく見かけます。これらは映画の詳細を知るためにはいいけど、紹介によって未知の作品に辿り着くことは難しいです。

今回はこれ以上は特に調べませんでした。配信サービスの壁がなく、ChatGPTを組み合わせたら面白いのでは?という興味本位と勢いで着手しました。

証明したいこと

「AI が作品を紹介してくれる体験に価値があるのでは」という仮説を証明したかったです。

自分が大友しゅうまさんの紹介作品にハマったように、誰かが映画作品を紹介してると見たくなります。

それが自分向けにパーソナライズされていると、より見たくなるのではと思います。
たとえば自分が今まで観て気に入っている映画、年齢・職業・趣味・出身地などの個人情報、映画以外にも好きだった本やアート作品。様々な情報をもとに、映画を紹介してくれるとパーソナライズされてる感が出そうです。

またChatGPTは、確率処理によってそれらしい文章を生み出してくれます。情報の正しさが担保されなかったり、複雑になると論理が破綻したりするため全然使えないという声をいくらか見かけました。
つまり裏を返せば、別に正しくなくてもそれっぽければOKなコンテンツで使えば良さそうです。
今回の場合、紹介した映画が相手にとって必ず正解である必要はありません。それっぽい説明で納得してもらい、興味を持ってもらえたらOK。たまたまその映画が好みに刺されば、より良いです。そう考えると、ChatGPTと映画紹介は相性が良いと思ったのです。

追求したいこと

加えて今回は「ユーザーがAIへアクセスしやすくなる方法」を追求したかったです。
現状ではChatGPTへ文章を投げかける必要があります。文章レベルは個人差が激しく、人によってはAIの良さを引き出せません。プロンプトエンジニアリングも研究されていますが、求める回答を得るには色々と"慣れ"が必要そうです。
そこで今回の開発では、アプリのデザインによって、ユーザー全員が求める回答を得られるようにできないか検討してみることにしました。

実現可能性

先述の通り、ChatGPTと映画紹介は相性が良さそうと考えていました。
良い感じのプロンプトを生み出すこともできました。
映画情報を取得するAPIとChatGPTを連携できるか心配でしたが、これも試したところ、正規表現を使うことでChatGPTの回答から映画情報を取得できました。

精度は改善の余地ありだが、映画情報を取得できた!

これだけ分かれば十分です。開発を決断しました。

リリース目標

当初は 1 週間を目標とし、実際に思い描いたものは完成させました。
しかしそれはあまりに使い心地が悪く、世に出せないと判断。。
知人のデザイナーにフィードバックをお願いし、それを受けてデザイン修正や機能追加をなるはやで進めました。実際はオーバーしましたが、3月中にリリースしたいなーというイメージを持ってました。

インフラ

最短でリリースしたかったので、使い慣れてるノーコードツールのBubbleを選定しました。

インフラもツール内で完結しているので、開発はかなりラクです。

アプリケーションのアーキテクチャ

こちらもBubble一本です。
ただ次回の開発は、新しい構成に挑戦したいと思いました。

実装方針

テストをすればするほどChatGPTでお金がかかるため、一旦はChatGPTの返事には完璧を求めない方針としました。
ただ、Bubbleで開発した範囲の挙動はしっかり動くようにしました。

お金周り

Bubble、ChatGPT API、ドメイン費用を合わせて月 1~2 万円の想定です。予算オーバーしないよう、ChatGPTのAPIには上限を設定しています。

マネタイズは広告を貼りたくアドセンスを登録してみましたが、Google から許可をいただけず…。自分の中でもまだまだと思ってるので、今回は諦めます。

撤退ライン

このサービスについては撤退前提というか、まだ途中段階として捉えているので、数ヶ月後に止めているかもしれないです。。

広める方法

今回はTwitter を主とした SNSを想定しています。

考えながら手を動かす → 色々さわってみて考える

初期はホーム画面・ローディング画面・結果画面の 3 画面構成でしたが、使ってみると不便で野暮ったくなりました。
知人デザイナーからチャットボット形式を提案していただき、実装するととてもしっくりきました。更にAIと会話してる感があると良さそうという話になり、映画を選択するたびにリアクションをとるようにしました。

また今回、サイトの至る箇所にAI生成物を使ってみました。
例えばコンシェルジュのイラストは、画像生成AIのMidjourneyで作りました。

このコンシェルジュ風おじいさんイラストは、SPY×FAMILYの学園長を想像しながら作った

Figmaに簡易的にデザインを起こした際には、Magicianというプラグインでアイコンをいくつか生成してみました。

もちろんChatGPTもよく使っており、「AI CINEMA」というタイトルや「AIが、あなたの専属コンシェルジュ」というコピーは候補を大量に挙げてもらった中から選びました。
他にもメタタグの生成、カラーパレットの作成、ドメインの選定。あとこれは裏設定ですが、おじいさんの名前は「フィルム・エドワード」といいます。

性能問題

現状、スマホからだと返事が無いという大きな不具合があります。開発終盤でこの問題が発生し、最小構成で実装しても修正できなかったため、原因不明として今回は諦めました。。
おそらくPCからだと問題ないので試していただけると幸いです。

作ってみて気付いたこと

AIによる紹介は面白い

AIが映画を紹介してくれる体験は、実際やってみてかなり面白いと思いました。特にChatGPTは対話型ということもあり、Playgroundにて話しかけてみると紹介理由や更なる作品も次々といい感じに紹介してくれて楽しかったです。
今回のアプリは設計してなかったのでチャットまで実装できませんでしたが、次期フェーズとしてチャットやユーザー登録も実装したアプリを改めて作ってみたいと思いました。やるならFlutterかなぁ。

AIへのアクセスを考えるとハードウェアに辿り着きそう

今回の追求テーマだった「ユーザーがAIへアクセスしやすくなる方法」を考えた結果、ハードウェアにAIを埋めるのが最も強いよなぁと感じました。

映画紹介の場合は、ソフトウェアのみに閉じているとどうしても次のようなステップを踏みます。
映画を見る→スマホでアプリを開く→情報を登録する→紹介してもらう

これがもし、テレビが直接紹介してくれるとステップを大幅に省略できます。
映画を見る→(視聴情報から)紹介してもらう

レコメンド機能付きテレビは既に出てますが、ここにChatGPTが入ることで、対話や更なるパーソナライズで新たな体験が生まれそうだと思いました。
同時に、このテレビのようなハードウェアへの組み込み開発により興味を持ちました。最近はAndroidでの組み込み開発事例が増えていそうなので、このあたりも勉強したいと思っています。

パーソナライズの必要が無いのでは…?

そもそも今回のきっかけである大友しゅうまさんのマンガは、特にパーソナライズされているわけではないです。彼が面白いと思った作品を、面白いコンテンツとして発信しているのです。

今回、紹介をパーソナライズすることに焦点を当てていましたが、それ以上に紹介コンテンツの質を高くすべきかもしれないと思いました。

例えばそれこそ、AIに紹介漫画を生成してもらうとか。試してみましたが、今の画像生成AIには、前後に繋がりのある生成はまだ難しそうです。ただ、これができるようになるのも時間の問題な気がしています。

おわりに

今回のアプリは何かと完成度が低くなりましたが、今後のChatGPTの可能性をたくさん感じることのできる開発となりました。
今後さらに良いものを生み出せるよう、発想も技術も磨いていきたいです…!

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