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APO隊長が小学生の時の思い出👩‍🚒

消防士のイメージってやっぱり、筋肉自慢のムキムキマッチョ??だろうか。小さい子は元気いっぱいの少年少女で、正義感は人一倍強く、曲がった事は大嫌い。まるで原田泰造のような人間を想像することだろう。

でもちょっと待ってほしい。

一回、消防署の前に車を止めて、じーっと見つめてほしい。ほんとにそんなマッチョばっかりか???

痩せっぽっちもいる。デブもいる。
のっぽもいるし、チビもいる。

そんな彼ら彼女らだって、もちろん戦力だ。
痩せっぽっちだって、狭いところを入れるし、デブだって命綱をもたせたらなんと心強いことか。要は使いようである。

APO少年は、超がつくほどの病弱少年だった。
おかんが言うには、ほとんど子宮の中で動かなかったらしい。え?そこから?なの?笑

普通は、お腹の中を蹴り上げて、「お?動いたぞ?」ってなるはずなのに、「先生、全然動いてくれないんですけど、、、。」ってなんども病院を受診したらしい。先生も頻繁に来院するおかんに、ほとんど呆れていたそうだ。

出生体重ほど標準だったものの、アレルギーに喘息。アトピーやら肝炎やら。保育園の写真といえば集合写真くらいしかない。なんで写真がないのかと聞くと、「あんたほとんど行っとらん」と至極当然の答えが返ってきた。そうそう、心臓の向きも人と違うんだって。

調子の悪さは小学校に上がってもそのままだ。
保健室は、僕の特等席だった。

それでも調子の良い時は校庭に出て、体育の楽しそうな様子を見ていられるのだけど、風の強い日は砂埃が舞うので、喘息が出てしまう。

サッカーの時、僕は当然、一緒にプレーはできないのだけど、
いつも僕にボールを転がしてくれる男がいた。僕はただ座っているだけなので、そのまま体育すわりでボールをキャッチし、その子に投げ返す。

「APO!サンキューな!!🙋‍♂️✨⚽️」
「うん!頑張って!」

それが僕の体育の思い出というやつだ。
授業中になんども僕の前をドリブルしたりパスしたりしながら往復するのだけど、そいつだけは僕の前を通るときに、必ずこうやってボールを寄こしてくるのだ。

「APO!パスだ!🙋‍♂️蹴り返せ!」
「う。。。うん!!」

僕はその場で立ち上がって必死に蹴り返す。
ボールは変な方向に飛んでいくのだけど、そんな時だって「ナイス!!」って大声で応援してくれる。

こうやって構ってくれる友達がいて、本当に嬉しかったのを覚えている。そいつは、きっと女の子なら惚れてしまうやつだろう。安心してほしい。僕は男に対してそういう感情を持ったことはない。

小学5年生の時に、一度死にかけた。
喘息が悪化して、どうやっても血中酸素飽和度が上がらない。
病院に1ヶ月ほど入院したと聞いた。夜もずっと起きて、ひたすら呼吸に集中していたのを今でもはっきりと覚えている。

おかんは言う。
「可哀想で、病室の外で何度泣いたことか」と。

ベッドをビニールシートでテントのように包んで、その中を酸素で満たす。
その中で僕は一ヶ月を過ごした。

後半になって、テントが外れ、ようやくベッド横に立つだけならいいよと言われたので、嬉しくて病室をうろうろすることにした。嬉しい。窓から見える庭の様子どうなっているのか、ずっと気になっていたのだ。

でもそんな想いも虚しく、ベッドから降りて床に立ち上がっただけで、息切れである。「はあ、はあ」と息が荒くなる。窓から外を覗くという行為もできぬまま、そそくさとベッドの上に戻り、またいつもの天井の景色に戻ってしまった。

・・・僕、これからどうなってしまうのだろう。




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