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サービスコンクールに挑戦して得たもの


フランスレストラン文化振興協会(略称、APGF)note編集部員です。
APGF公式noteの 第四回目の記事は、山本正弘副代表からのメッセージです。
是非、山本副代表の貴重なコンクールを通じて得たエピソードをお楽しみください。


『サービスの仕事って』

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私がサービスの世界に入り40年近くになります。
ホテルのフランス料理店がその始まりです。

最初は、当然メニューを見てもちんぷんかんぷん。
サービスといっても、数ヶ月は先輩の後にくっつき、お手伝いをするような感じです。

自分がする仕事のメインは「仕込み作業」。

そのレストランは席数が120席もあり、昼は2回転、夜も1.5回転ぐらいしていました。

厨房で行なうグラス、銀器、陶器の仕込みの量は膨大。

担当が割り振られるのでとにかく、同年代の仲間より早くグラスやナイフ、フォークを磨かなくてはいけません。

何故なら、ダイニングの仕込をやらせてもらえる時間に間に合わなくなるからです。

そして先輩に叱られます、自分の休憩時間も無くなります。

そんな目の回るような忙しい毎日でしたが、楽しくもありました

レストランの世界について、まったくの無知でしたから、勉強すればするだけ新しい知識が自分の中に生まれてくることを実感していたからなのです


『サービス人に必要なこと』

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サービス人に必要な事って何だろう? 
心地良い接客、身嗜み? 語学? 料理などの知識?

教わったことは「お客様に提案が出来る人」でした。レストランで起こりうる全ての事に精通してお客様に接することが出来ることが〈良いサービスの第一歩〉だと。

料理、ワインをはじめとするお酒類、そして接客。覚える事は山ほどありました。

幸運なことに、ホテルのレストランオフィスには一冊何万円もするような専門書がたくさんあり、勉強できる環境に恵まれていました。あとは寝る時間を惜しまずにやるだけです。

20代の頃の事ですが、知り合いに頼みこんで、街の小さなレストランの厨房に潜り込む事に成功しました。

料理人の仕事と思いをほんの少しでもよいから知りたかったのです。

休日の日に朝の仕込から入りました。もちろん調理技術などは素人ですから鍋洗いです。

でも、間近で見る食材の火の入れ方や、ソースを仕上げる動きに感動したものです。

約1年半くらいでしょうか、本当に一瞬でしたけれど厨房から客席を見る機会があった事は大変良い経験になりました。

当然無償ですけれど、毎回の賄が美味しかった事を思い出します。


『コンクールって、何?』

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私が初めてサービスのコンクールに挑んだのは1995年9月「日本メートル・ド・テル協会」が主催したコンクールでした。

当時の私には「資格」というものには価値を感じておらず、レストランの現場で活きる事を得たいという思いが強かったように思います。

受験をして資格認定を獲得することは良いことかもしれませんが、合格基準に達していれば良い、ということに疑問を持っていたと思います。

合格すると会社で諸手当がいただけると躍起になっていた回りの人に反感していたのもあります(笑)

コンクールという場では、自分が満足できる結果であっても、もっと素晴しいサービスを他の人がしていれば負けてしまいます

自分がここまで出来た、という達成感を味わう事も出来ますし、自分より優れた人のサービスを知ることも出来ます

コンクールに出る事で必ず自分の技量は向上します。
そしてそれを仕事場の仲間や後輩に伝えてゆくのです。そうして自分のお店のサービス力を上げて行くのです。

1999年に挑戦したFFCCの「第6回メートル・ド・セルヴィス杯」では200人以上の観客の前でコンクール決勝を戦うという幸運も有りました。

サービス人の仕事を人々に知ってもらう絶好の場所だったと思います。


『コンクールに挑戦して得たもの』

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これはもう「人」が一番です! 

初めて参加したコンクールから25年以上が経ちますが、その頃に戦った人達と今でも仲良く付き合っています。当時審査員の方々とも業界の様々なところでお力添えを頂いています。

全国のサービス人をはじめとする業界人と知り合える場所でもあります。
料理コンクールのメンバーの方々とも知り合えます
フランスから来日するメートル・ド・テルやシェフとも交流がもてます

そして、コンクールを戦った当日の夜に〈ガラディナー、ガラパーティー〉があるのですがその時の料理・サービスをコンクールを戦った選手と審査員が運営するんですね。

そんなことが出来るコンクールって世界中で“ココ”だけですよ!!

APGF副代表 山本 正弘

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トリュット オ ブルー1 (002)

トリュット オ ブルー2 (002)

Tuite au blue 日本語では「青み仕上げ」とでも言うのでしょうか
 川鱒の表面に酢を塗り、それをクールブイヨンで湯煮すると魚の表面のぬめりが青みを帯びるところからその名の付いた料理です。
 薄い川魚の皮をナイフを使って取り除きます、身に傷をつけないように
 慎重に、慎重に・・・(笑)
 川鱒のトップシーズンに食す贅沢な逸品です。

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