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実際にやろうとすると、いろんなことが見えてくる|9/22〜9/28

緊急事態宣言のなかで始めた日々の記録。火曜日から始まる1週間。仕事と生活のあわい。言えることもあれば言えないこともある。リモートワーク中心。出掛けることが増えてきた。ほぼ1か月前の出来事を振り返ります。

2020年9月22日(火・祝) 自宅

ここ数日、花粉症の症状らしきものがある。涼しくなったら、やってきた。目がかゆい。鼻水が止まらない。くしゃみが出る。熱はない。騙し騙しやり過ごしてきたけれど昨日から悪化する。この時期に、外に出づらい症状。
午後の「オンライン報奏会」STUDIO302での立ち会いを急遽取りやめて、自宅でYouTubeライブを見ることにする。STUDIO302の運営マニュアルを読み返す。【ご来館されるお客様へのお願い】のひとつめは「発熱や咳、くしゃみ。鼻水、咽頭痛など風邪のような症状がある方はご来館をお控えください」。はい、控えます。
報奏会はアサダワタルさんの独演会。画面を映しながらだったけれど、感覚はラジオを聴いているときに近い。福島県いわき市の復興公営住宅・下神白団地の高原タケ子さんとオンラインでつないだパートは、普段のプロジェクトをのぞきみるようだった。プロジェクトのもつ親密さとオンラインの開かれ方。その塩梅を模索するような内容。次回はBSB(伴奏型支援バンド)が登場。
東京都の新規感染者数は88人。政府はGo To イベントとGo To 商店街の10月中旬からの実施可否を月内に判断。「イベント」はコンサートやスポーツ、映画などのチケット代の2割相当を割り引く事業で、「商店街」は商店街の催しや宣伝などを支援する事業。Go Toはトラベルだけではなかったのか。

2020年9月23日(水) 自宅

今日も涼しい。朝からパソコンに向かう。午後はジムジム会。今回は東京アートポイント計画の共催団体が互いに質問をしあう回。500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」から移動する中心|GAYAへの質問。「アイディアのきっかけは何ですか? 新しい企画はどうやって生まれていますか?」 GAYAのメンバーが誰も参加できなかったので、回答を代読する。

記録の誕生にこだわると、様々な問いが生まれます。その記録はなぜ生まれた? 誰が記録した? 誰が写っている? 天気は? 他の場所では何が起きた? その日、私は何をしていた? 
誰かが残した視点を借りることで、自分のものの見方が変わっていく。その経験は、記録を残した人々よりもむしろ、記録を残さなかった人々へと大きく開かれています。
その問いの果てに、驚きと発見がもたらされる。私たちが、記録が生まれたことにこだわる理由は、それなのかもしれません。
(GAYAの回答から一部抜粋)

GAYAを含め記録にまつわるプロジェクトを展開するAHA!は「返し」が上手いのだと思う。すでに日常のなかにあるものを使う。その使い方に創造性がある。何かをつくるという言葉を使うときにある、無から有を生み出すイメージではない意味での「つくる」。自分のなかから生み出すのではなく、他者が介在することや自分の外にあるものに応答するような行為に対して「創造性」や「新しさ」という言葉を使うこと。GAYAに限らず、このつくるという意味の転換をよく考える。
東京都の新規感染者数は59人。3日連続で100人を下回るが、連休中に検査数が減った可能性あり。政府は来月から全世界からの入国制限解除を検討。台風12号は東に外れて直撃は避けられたものの、明日関東に近づくらしい。午後の予定をリスケにする。

2020年9月24日(木) 武蔵小金井→自宅

いまにも雨が降りそうな曇り空だけど晴れている。台風12号は外れたらしい。長袖を着て、家を出る。駅に着いた瞬間に財布を忘れたことに気が付く。Suicaがあるから、きっと大丈夫。そのまま目的地に向かう。電車で森元斎『国道3号線』を読み進める。国道3号線というベクトルから、なぜ九州が「こう」なのかを探ろうというもの。いいアプローチだなぁと思う。西南戦争、西郷さんから、水俣まで読み進んだ。なにかと話題は水俣に行き着く今日この頃。出てくる名前に親しみがある。いつか行かねばならないところ。いつ行けるだろうか。
シャトー2Fで宮下美穂さんと、これからの事業の話をする。関心の共有、言葉や概念のすりあわせ、おおづかみの展開イメージ…。少し大きな絵図を描くための下敷きになるような会話を重ねる。では、何を、誰と、どう進めるのか。それは次の課題。ふと8月の自殺者数が今年最多を記録したというニュースを思い出す。前年同月比で全体15%、女性に絞ると約40%の増加率になるのだという。この話題に触れたわけではないけれど、どこかで根っこは繋がっているような気がする。そして、それが何であるかは、いま、もう少し明確に見定めないといけないものなのだとも思う。

2020年9月25日(金) 市ヶ谷→秋葉原→自宅

霧雨が降っている。涼しいというか冷える。すっかり長袖の季節になってしまった。午前は市ヶ谷のオフィスに出社。バシバシと細々とした事務作業をやっつける。それから急いで3331 Arts Chiyodaへ。NPO法人アート&ソサイエティ研究センターのみなさんにSTUDIO302の機能を説明する。これまでのアーカイブのノウハウを軸にした動画コンテンツづくりの準備を進める。
STUDIO302はライブ配信やオンラインでのレクチャーシリーズに使ってきた。でも、動画コンテンツづくりをした経験は、あまりないことに気がつく。ある写真家の人が出演するトークの配信企画が上手くいかず、本人が別途記録用に撮っていた動画があったことで、後日録画配信に切り替えた例をきいたことを思い出す。配信用としてスタジオ機能に据え付けた機材はあるけれど、その場で起こったことを押さえる記録用の機材が足りない。実際にやろうとすると、いろんなことが見えてくる。そのほか軽く打合せをしてから、在宅勤務に移行する。
おととし東京大学出版会から出た『文化政策の現在1 文化政策の思想』の増刷が決まったとの連絡。1本だけ原稿を書いていた。「現在」という言葉を使いながら「歴史」のアプローチが強い、この本が少しでも多くの人に読まれているのは素直にうれしい。こうなると続刊の2と3も増刷が続いてほしい。個人的には、そっちのほうが思い入れがある原稿が掲載されている。

2020年9月26日(土) 登戸

川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムへ。登戸駅から直通の市営バスに乗る。シアターのオリジナル短編映像が意外に面白かった。ネコと起き上がりこぼしが組み合わさってドラえもんが出来た…という新しいアイディアは複数の要素が突然組み合わさってうまれる話。のび太のモデルは藤子・F・不二雄本人だという話。今年はドラえもん連載開始50周年。東京都の新規感染者数は270人。200人超えは6日ぶり。

2020年9月27日(日) 自宅

御嶽山噴火から6年。戦後最悪の火山災害。58人が亡くなり、いまも5人が行方不明。芸能人の自殺が相次いでいる。東京都の新規感染者数は144人。

2020年9月28日(月) 自宅

オンラインミーティングがない在宅勤務日。淡々とパソコンに向かう。近所の中学校からマイクを使ったアナウンスや歓声が聞こえてくる。ドドドドドっとリズムを刻む太鼓の音が響く。静かになったと思ったら、スターターのピストルの音が鳴る。運動会の練習だろうか。平日のこの時間に本番はないと思うけれど、まさか無観客で運動会をすることもあるのだろうか。音だけ聞いているかぎり、テンションは本番。
ウェブサイト『Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021』用の原稿に集中する。延び延びになってしまっているけれど、今月中に押しこみたい。東京都の新規感染者数は78人。週のはじまりは少ないのが定番。頭がぼんやりしている。

(つづく)

コロナ禍を経験したいま、どのように他者と出会い、関係性をつくっていくのか? Tokyo Art Research Lab ディスカッションは11/10にオンライン開催! プロジェクト「嫁入りの庭」(宮城県仙台市)を軸に、施主の社会福祉法人ライフの学校理事長の田中伸弥さん、庭の設計を担当したtomito architectureの冨永美保さん・林恭正さんをゲストにお招きします。
noteの日記は、Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」のテスト版として始めたのがきっかけでした。9月の書き手は、西村佳哲さん(リビングワールド 代表)→遠藤一郎さん(未来美術家)→榎本千賀子さん(写真家/フォトアーキビスト)→山内宏泰(リアス・アーク美術館 副館長/学芸員)さん。以下のリンク先からお読みいただけます!
東京アートポイント計画の10年を凝縮した『これからの文化を「10年単位」で語るためにー東京アートポイント計画2009-2018ー』がBASEで販売中! PDF版は、こちらでお読みいただけます。