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記録をする手も緩んでしまう|10/18〜10/22

佐藤李青(東京アートポイント計画)
コロナ禍の日々の記録。平日の仕事を中心に。土日祝は休みます(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の宣言解除の日から再開。4回目の宣言解除後も(なんとか)続く。

2021年10月18日(月) 自宅

朝から寒い。午後のミーティングに向けて、資料作成に取り組む。東京アートポイント計画のウェブサイトを改修するとしたら、どんな性質の情報を、どんな順番で提示していくのがいいか? 目的、構成、各コンテンツの案をパワーポイントでスライドをつくりながら、書き出してみる。
東京アートポイント計画は「わたしたち」の関係づくりをしてきたのではないか? それによって「生きやすさ」の回路をひらいてきたのではないか? コロナ禍で人と人との「かかわり」は変化した。やりづらくなることがあれば、やらねばならないことも明確になりつつある。変化はコロナ禍以前からあった。「わたしたち」と言っても出会えていない人たちがいるのではないか? そもそも、出会うための方法をもっていないのではないか? 平時の危機感は、災禍によって「課題」として現れる。日常が「非常事態」になった。平時の捉え方も考え直すときなのだろう……。仲間がほしい。ともに手を携えて動く人たちと出会いたい。「かかわりしろ」キャンペーンが必要か? その手立てを考えねばならない。では、どんなことばで、どう呼びかけるか? 精度を上げていかなければならない。「……ねばならない」の処理が山積の季節、真っ只なか。
東京都の新規感染者数は29人。10日連続で100人を下回る。重症者は31人で今年最少。全国は232人で、300人を下回るのは1年ぶり。熱海の土石流の起点にあった盛り土の調査結果の公表にあたって、熱海市長は「人災の側面も否定できない」と発言。2007年に造成開始、2009年に防災対策について行政指導。対策は行われず、別業者に土地が譲渡。2011年に強制的に対策をさせる措置命令の手続きをはじめるが、業者側の対策着手で見送り。その後、対策は中断され、完了しなかったのだという。「県と市「命の危険」は認識」という見出しの記事もあった。土石流は7月だった。随分と前のことのようにも感じてしまう。

2021年10月19日(火) 自宅

いろいろと「解除」が進むと記録をする手も緩んでしまう。仕事が忙しいからが理由ではないのだと思う。コロナ禍の記録のモチベーションは感染拡大の波に比例してしまう。

2021年10月20日(水) 市ヶ谷

午前は係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)。共催事業の状況を共有しつつ、現場の人員配置や許認可、個人情報の扱いなど懸念事項を検討する。初歩的なミスが重なっている。Tokyo Art Research Lab(TARL)「Open Room 2021」の段取りや作業分担を共有する。3331 ART FAIR 2021の会期中に2日間だけROOM302を開けて、映像上映や冊子の配布を行う……そんな「そもそも」から確認する。リモートが増えると書面化する前のことや細部の共有が不足がちになる(対面だと口頭で話せていたようなことが抜け落ちる)。午後は、またスタッフ全員で各事業の第2四半期を振り返り、第3四半期のアクションを確認するミーティングを行う。それぞれ担当が事業の状況を報告し、意見を交わす。年度も折り返し、事業の終わりかた(たたみかた)をどうするか? 活動のまとめかた(ドキュメントつくるか?)などが話題にあがってくる。
昼前に阿蘇山が噴火した。もくもくと噴煙が立ち上がるニュース映像が流れていた。5年ぶりに噴火警戒がレベル3(入山規制)に引き上げられた。気象庁は「阿蘇山ではよく見られる噴火のしかた」と考えを述べる。外から見える非日常も、その土地では日常のことがある。
TARLディスカッション「災間の社会を生きる術を探る」で、次回ゲストの熊本市現代美術館の坂本顕子さんにお電話をする(阿蘇山噴火にかかわらず、予定していたこと)。ナビゲーターの高森順子さんは参加者のメーリングリストへお父様が逝去された経緯を報告していた。災禍と災禍の渦中に生きる。図らずも、いまが「災間」であることを強く実感する。
大阪府の新規感染者数は73人、東京都は41人、全国では391人。8県では感染者数がゼロだった。

2021年10月21日(木) 自宅→豊田

「しつこさ」について考える。東京都立大学の非常勤は、今日から隔回で瀬尾夏美さんの『あわいゆくころ』を読んでいく。震災から7年分の歩みを収録した本書の「一年目」を読み返すと、思ったよりも早く戻ってくる日常の感覚がわかる。「直後」が終われば「日常になる」わけではない。直後からはじまっていくことに、どこまでしつこくこだわっていくのか。それが文化の仕事なのだろうなと思う。
東京都と大阪府は25日以降に、全飲食店に対する営業時間短縮要請の解除を決定。「1テーブル4人以内」と呼びかける。塩野義製薬は新型コロナウイルスワクチンについて3,000人規模の臨床試験開始を発表

2021年10月22日(金) 自宅

12月並みの寒さ。午前はZoomでミーティング。絶賛継続審議中の東京アートポイント計画全体の情報整理。考えかたを確認し、ことばを詰めていく。雑談のなかで「中間領域がない」という話が出てくる。個々人、個々の組織の自律だけではなく、互いの関係を支え合うような「間」がない。それは個々の活動の基盤(お金含めて)をつくるためにも必要なのではないか、と。前に聞いたKACCOの話を思い出す。集まること、連携することを理念や効用だけでなく、「稼ぎ」と結びつけて議論するのも必要なのかもしれない。
ACF(Artist Collective Fuchu)の新たなプログラム「ラッコルター創造素材ラボ」の広報文面に手をいれる。長らく準備を進めていた活動が、いよいよ動き出す。東京都の新規感染者数は26人、重症者は21人、今年最少となる。

(つづく)

▼ 1年前は、どうだった?(2020年の日記から)

▼ Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」。1年前の10月の書き手は、木村敦子さん(クリエイティブディレクター/アートディレクター/編集者)→矢部佳宏さん(西会津国際芸術村 ディレクター)→木田修作さん(テレビユー福島 報道部 記者)→北澤 潤さん(美術家)でした。


(画像)「草千里から見た阿蘇中岳。2015年9月15日の噴火の5日後」CC0 1.0 全世界 (CC0 1.0)

佐藤李青(東京アートポイント計画)
アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。共著に『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』(生きのびるブックス、2022年)。