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プログラムの届け方、試行錯誤。オンラインで、グルーヴ感をどう生み出すか?(続・ジムジム会 #01の反省会)

東京アートポイント計画に参加する9団体が互いに学び合う「事務局による事務局のためのジムのような勉強会」こと「ジムジム会」から派生した、「続・ジムジム会」。持ち回り制で進めていくことになったこの企画、初回のホストは「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」(通称:ファンファン)が担いました。

当日は、墨田区の白地図を使ったヒアリング企画のオンライン版「WANDERINGショートショート」や、事務局定例MTGでの情報共有の工夫から生まれた「ラジオの時間」、ファンファンを支える活動「ファンファン倶楽部」のなかの1コーナー「磯野の新卒部」などのファンファンのプログラムを、他事業の事務局の皆さんと一緒に行っていきました。

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届いた?届かなかった?事務局とPOで振り返り。

実施後、ファンファン事務局とPO(プログラムオフィサー:アーツカウンシル東京のスタッフ)とで振り返り会。
予想以上に「ヒットした!」「発見があった」というプログラムもあれば、「参加者とのコミュニケーションがもっとうまくできると良かった」という反省も。
課題の一つは、「オンラインで体験の共有感を生むことの難しさ」でした。

🤔どれくらい参加者に話を振ろうか迷った。
🤔スロットなどでゲーム的に、テンポよく参加者に話を聞いたらよかった?
🤔ラジオの時間が"向こうが話してくれている時間”という感じを生んだ?
🤔回答に番号を振っておいて、チャットで「何番が気になりましたか?」と聞くなどもよかったかも。
🤔全体で共有せずに、グループ内で自分がじっくり考える時間があった方が参加者には参加した実感があるのかも。

という、具体的なハウツーの工夫の話から、

🤔(ある種ハイコンテクストな)"ファンファンのいつもの流れ"になってしまった?
🤔事前に参加者に投げていた質問(自分の隠し技について)と、新卒部でのディスカッションの話題の距離が遠かった。
🤔乗るか乗らないか※というプロジェクトにおいて、企画に乗った人からのフィードバックの受け取り方の設計ができていなかった。プロジェクト全体で考えておきたい。

というプログラムの整理、構造の設計の話まで。届いたものと、届かなかったものがある。違いはなんなのか。そこに次のステップへのヒントがありそうです。

※ファンファンのディレクター青木彬さんへのインタビューで、東京アートポイント計画ディレクターの森司が語った言葉より。
「一般に表現とは、『刺激的なもの』『向こうから楽しませてくれるもの』と考えられていますよね。ファンファンの活動はそれとは異なり、乗るか乗らないかはその人次第。非常に能動性が求められるから、届け先をどう創出するかという問題が出てくるんです。『勝手に楽しむ人』をどう増やしていけるのか。」

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▲続・ジムジム会での「WANDERING」の様子。画面共有で同じ映像を見ながら、時々投げかけられる問いに応えていく。

「個と個の重なり合い」を生む

オンラインでの他者とのコミュニケーションについて、研究者のドミニク・チェン氏はこう述べています。

しかし、Zoomのような遠隔の通信技術を使うと、かなりの情報量が捨象されてしまう。「無意識にいろいろな情報を探りに行くけど取得できない」という、自分のプルーフがすべて撃ち落されるような会話の仕方をしているわけです。なので、ずっとZoomで話していると疲れてしまうし、「Weモード」や「わたしたちのウェルビーイング」という言葉が表しているような「個と個の重なり合い」が生じにくくなるんじゃないかと思います。
(中略)通信技術の上に「Weモードが発生しているか」がわかるような別の情報チャンネルを乗せることで、リモートでもWeモード的な体験ができるのではないかと考えています。
(ドミニク・チェン「来るリモートネイティヴたちと『個』を重ね合うために」、151頁、『WIRED vol.37』、コンデナスト・ジャパン、2020年7月)

※Weモード(筆者[岡野]注):個人での体験を超えた、集団的な認知モードのこと。

ファンファンがはじまった初年度(2018年)から続けているWANDERINGは、どうすると対話が豊かになるか、という事務局の経験値も高く、やり方をツール化するなど、ブラッシュアップを重ねてきたプログラムです。その蓄積をオンライン化したのが今回の「WANDERINGショートショート」でした。一方、新卒部は今年立ちあがったプログラムで、「仕事」や「スキル」の当たり前、という大事な問いに向き合いながら、まだまだ開発中です。

体験の共有感を生み出すためには、プログラムの構造を整理したり、コミュニケーションやリアルタイムでの情報共有、状況共有の工夫が有効。それは、オンライン対応で顕著に表れてきた課題ではありますが、オンラインイベントだけではなく、オフラインでプロジェクトを実施することになっても重要なことだと思います。

対話を軸にプログラムを展開するファンファンでは、今回の課題を生かしながら、今後も様々なプログラムを展開していきます!どうぞお楽しみに。