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#ネタバレ 映画「鵞鳥湖の夜」

「鵞鳥湖の夜」
2019年作品
不本意な人生に
2020/9/30 22:38 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

ヒロインのグイ・ルンメイさんは、ウィキペディアの画像で見ると美人なのですが、映画「鵞鳥湖の夜」で見ると微妙なのです。

なのに予告編を観ただけで、脳裏に潜入し、昨夜は夢にまで出てきました。誤解の無いように申し添えますが、美女だから出てきたわけではなく、強い印象のために棲みついてしまったのです。

というわけではありませんが、上映開始時刻が都合よかったので、今日はこの映画に飛び込みました。もしかしたら、これは棲みついた彼女に無意識に操られていたのかもしれませんが。

この映画、夜のネオンのような独特な美意識と世界観があるので、好きな人はハマるでしょう。

もしかしたらLGBTQの作品でしょうか。

そうそう映画「言の葉の庭」を連想するほど「ただ降っているだけの雨」も美しかったです。

★★★★☆

追記 ( 不本意な人生に ) 
2020/9/30 22:43 by さくらんぼ

ヒロインのアイアイ(グイ・ルンメイさん)は、

体は女性でも内面は男性の、

男性相手の娼婦役なのかもしれませんね。

追記Ⅱ ( BSで古い日本映画を観ているよう ) 
2020/10/1 6:40 by さくらんぼ

>この映画、夜のネオンのような独特な美意識と世界観があるので、好きな人はハマるでしょう。(本文より)

どなたかも似たような話をされていましたが、石原裕次郎さんたち往年の二枚目が、まだ若い時代に多く作られたような、裏社会が出てくるB級アクションを連想させるところもあります。

それもあってか、どこか懐かしいのです。

ただ、作品の美と格は、丁寧に作られたこちらが、ワンランク上のように思いました。

追記Ⅱ ( 一夜の夢という虚無 ) 
2020/10/1 9:51 by さくらんぼ

映画「鵞鳥湖の夜」のチラシ。

チラシの右半分では、不本意にも警官殺しの逃亡者になったチョウが、一人ライターの炎を見つめます。

彼が炎の先に想っているのは、右手の窓の外にシルエットがありますが、娼婦・アイアイ(グイ・ルンメイさん)でしょう。

ある意味、手切れ金みたいな気持ちもあるのでしょうか。自分の妻子には、健さん的男気で自分を警察に通報させ、報奨金(日本円で約400万円)を贈るつもりですが、その仲介役をするアイアイに自分と同じ虚無を感じ、いつのまにか心惹かれていたのです。

チラシの下半分にも、アイアイが写っています。

アイアイを見つめるようにチョウの陰(遠くからの想い)だけがありますが、アイアイはチョウに背を向けており、視線も交わらず、アイアイの愛情表現は娼婦のお仕事だったことが伺えます。アイアイの本当の狙いは400万円の横取りでしたから。

チョウとて子供ではないのですから、それに気づかぬはずはありませんが、それでも「ぬくもり」を求めてしまうほど、追い詰められていたのでしょう。

ある意味、チョウは400万円で、冥途の土産に一夜の娼婦を買ったようなものなのです。

追記Ⅳ ( 「木枯し紋次郎」 ) 
2020/10/1 9:56 by さくらんぼ

引力の正体が分かりました。

娼婦・アイアイの眼差しは「木枯し紋次郎」のそれを連想させたのです。

映画「鵞鳥湖の夜」の主役はアイアイだと言っても良いぐらいです。

追記Ⅴ ( 夜なのに、映画「太陽がいっぱい」 ) 
2020/10/1 10:13 by さくらんぼ

(  以下、映画「太陽がいっぱい」と映画「プリティウーマン」のネタバレにも触れています。 )

チョウは警察に射殺され、アイアイは計画通り400万円を手に入れました。

そして、チョウに対する愛情が冷めていた妻とも、友だちになれたようです。

もしかしたら、アイアイはチョウの妻に異性としての愛情を感じていたのかもしれませんね。

チョウの妻もLGBTQかどうかは分かりませんが。

ふと、映画「太陽がいっぱい」を連想しました。主人公が抱えていたLGBTQと、虚無と行動に。

追記Ⅵ ( 中国・武漢を彷徨う ) 
2020/10/1 22:15 by さくらんぼ

映画「鵞鳥湖の夜」のロケ地は、

タイムリーにも武漢らしいです。

追記Ⅶ ( 映画「プリティ・ウーマン」 ) 
2020/10/2 9:49 by さくらんぼ

娼婦アイアイがかぶっている白い大きな帽子。

映画「プリティ・ウーマン」の、娼婦ヴィヴィアンの白い帽子を連想しました。記憶ではもっと大きかったように思いますが、この画像しか探せませんでした。

映画「プリティ・ウーマン」と言えば、前半に出てくるロータスエスプリ。

二人は最初の出会いでクルマを話題に盛り上がります。彼が運転下手でクルマの知識も無いのを知ると、彼女は運転を代わったりするぐらいのクルマ好き。

一方、映画「鵞鳥湖の夜」の中盤には、二人が山へ逃げるエピソードがあります。

ほっとしたとき、夜の闇の中で遠くにクルマのヘッドライトが見えると、女は「ここから車の種類が分かる?」と尋ねるのです。分からない男に「彼は分かったわ!」と女。

唐突感のあるこのエピソードは何のためだったのでしょう。

もしかしたら、映画「プリティ・ウーマン」への、オマージュの記号だったのでしょうか。

追記Ⅷ ( 良いとこ取り ) 
2020/10/2 16:50 by さくらんぼ

>ふと、映画「太陽がいっぱい」を連想しました。主人公が抱えていたLGBTQと、虚無と行動に。(追記Ⅴより)

映画「太陽がいっぱい」には、3人でヨットに乗るエピソードがあります。内2人はHをし、じゃまなトム(アランドロンさん)だけは長いロープの付いた小舟に乗せて遠くへ追いやってしまいます。おかげで背中にひどい日焼けを負うトム。

同じく三角関係の映画「鵞鳥湖の夜」にも、チョウとアイアイがボートで沖に出てHをするエピソードがあります。そして、長いロープに繋がれてアイアイがボートに引かれるシーンも。こちらは遊びでしょうが。

このあたりを観ると、映画「鵞鳥湖の夜」は映画「太陽がいっぱい」の影響を受けているような気もします。

もしかしたら、良いとこ取りというか、映画「プリティウーマン」と映画「太陽がいっぱい」の、両方の影響を受けているのかもしれませんね。

追記Ⅸ ( 信じられるものがない世界 ) 
2020/10/3 15:12 by さくらんぼ

「 2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖の周辺地域は、… 」

( 映画「鵞鳥湖の夜」のチラシより抜粋 )

人々はそこから抜け出したいと、皆もがいていますが、何が信じられるのか、どの道が正解なのか、方向が分からないのです。

この深層には中国の国内事情が反映しているのでしょう。

その混とんを表現する場として、鵞鳥湖の周辺地域が舞台になったのではないでしょうか。実際の撮影は前述したように中国・武漢でおこなわれたようです。

主人公チョウは、ギャングと間違えて警官を射殺してしまいました。警官もギャングに変装していますから。

チョウと妻、そして娼婦・アイアイの3人は、お互いに懐疑的でありながら接近をします。

映画の中盤、群衆を見たアイアイがつぶやきます。

「誰が味方か分からない」と。

結局「お金」だけが信じられるものでした。

ラストには報奨金を抱くアイアイと、アイアイの腕に絡みつくチョウの妻の姿。

「札束」が中秋の名月のような核となったのです。

追記Ⅹ ( フラミンゴ ) 
2020/10/4 16:58 by さくらんぼ

映画「鵞鳥湖の夜」のHPでも分かりますが、前半、唐突に、フラミンゴみたいなピンクの鳥が出てくるシーンがあります。アイアイも又、赤い服を着て登場します。

チラシを見ると、クルマの中のチョウの服と、別のシーンのアイアイの服の柄が似ています。

黒地に白い点々なのです。

フラミンゴが出てきたことを考えると、あれは「鳥肌」の記号だったのかもしれませんね。

チョウはフラミンゴの上半身を、アイアイは下半身を演じているのかも。

ベッドサイドからアイアイが挑発する様に足を見せるシーンがありますが、あれはフラミンゴの印象的な足の記号なのでしょうか。

チョウを射殺した警官たちが履いていた光るスニーカーも、足の記号を補強するものだったのかもしれません。

指名手配とケガで動けないチョウと、連絡係になるアイアイ。車の中にいるのは家の中に隠れている記号でしょうか。

二人の因縁でもあります。

そして、不本意な行動の結果、チョウは最後に警官から葬られます。

では、アイアイは何を葬ったのでしょうか。不本意ながら、自分の中のLGBTQを葬って生きていたのかもしれませんね。

追記11 2022.11.18 ( お借りした画像は )

キーワード「ネオン」でご縁がありました。中国ではないですが、雰囲気満点の、雨のネオン街です。透明な傘のフィルターが効果的ですね。無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)

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