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#ネタバレ 映画「プリティ・ウーマン」〈1990年〉

「プリティ・ウーマン」〈1990年〉
1990年作品
ハリウッド
2003/8/9 10:57 by 未登録ユーザ さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

NHKでオペラ「椿姫」を放送していた。

オペラの雰囲気が好きな私は、とりあえずビデオに録画しておいたが、それっきり忘れていた。でも、何年か経ってふと観てみたらとても素晴らしい。長時間だが、一度観だすと最後まで観ずにはいられない。ここは優れた映画と同じだ。

その後、何気なく映画「プリティー・ウーマン」を観てみたら、途中で出てくるオペラは「椿姫」であることに気づいた。それだけではない。感動のエンディングテーマもそうだった。つまり映画のラストは「椿姫」を暗示している。

ストーリーを思い出してみると、両方とも娼婦とお金持ちのラブストーリーだった。この映画は「椿姫」と関係が有りそうだ。

「プリティー・ウーマン」のオープニングも味わってみる。

派手なハリウッドの看板がアップで映る。映画の都のシンボル。「あなたの夢は何」と独り言を言いながら黒人が歩く。「ハリウッド映画はあなたの夢を叶えてあげる」と監督は語っているのか。

娼婦が殺される。駆けつけた警察官は写真を撮っている観光客を制止して「そんな写真何が面白いのか」とつぶやく。ここでは「椿姫」の悲劇のドラマのどこが面白いのか。と監督はひそかに語っているのか。

もう一人の娼婦は目覚める。ヒロインである。直前、ヒロインの宿のところで直角に回った救急車。二人の娼婦を関連づけるシグナルか。監督は二人の娼婦をつかい、「椿姫」のヒロインの「死と復活」を描いたのかもしれない。

この映画は「椿姫」の悲恋のヒロインを不憫に思った監督が、彼女を現代によみがえらせ、アメリカが誇るハリウッド・マジックで、恋の成就をさせる映画だったのかもしれない。それは「椿姫」の後編とも言える。だからハッピーエンドに向かい、ひたすら突き進んで行くのである。

追記
2003/8/9 11:40 by 未登録ユーザさくらんぼ

シャンパンとイチゴ。

この組み合わせが美味しいらしいことを、この映画で知った。

でもシャンパンは常備していないので、冷の日本酒ではどうかと試してみたら、こちらも最高だった。もしかしたら、冷の日本酒のつまみとしてのイチゴは、三本の指に入る珍味かもしれないとひそかに思っている。

追記Ⅱ
2003/12/11 18:47 by 未登録ユーザさくらんぼ

「椿姫」では男性側の父が恋の邪魔をするのですが、「プリティ・ウーマン」でも男性側は父親と上手くいっていない事が語られます。そんな所も似ていますね。

追記Ⅲ
2004/5/3 10:23 by 未登録ユーザさくらんぼ

プリティ・ウーマンの原作では、アルフレードがヒロインに札束を投げつけるシーンがあったとか…「椿姫」の中にも札束を投げつけるシーンが有ったようです。

でも、少なくとも「椿姫」の場合、それは誤解から出た行為だったのです。

「椿姫」の物語は・・・

『 アルフレードとヒロインの椿姫は恋に落ちます。アルフレードが見初めて口説いたのです。最初は「私なんか・・・」と思っていた椿姫もやがてその愛を受け入れます。

椿姫は上流階級のパーティーでお酒の相手や、時には夜の相手をする高級娼婦でしたが、それをやめてアルフレードと二人で地味な生活を始めます。

ところが、家計は苦しいのでアルフレードに内緒で、自分の財産を切り売りして生活していました。それを知ったアルフレードは自分の不甲斐無さを恥じて、一人パリへ金策に走ります。

ここで問題が起こります。アルフレードの留守中に彼の父が現れ、息子と別れてくれるように嘆願するのです。父の本音としては、浮気は良いが本気は許さないといったところなのでしょう。椿姫は承知します。でも、父も椿姫もアルフレードにはこの事は内緒にしました。

ちょうどその頃、椿姫に昔の仕事の依頼が舞い込みます。生きていく当てもなくなってしまった椿姫は引き受けます。

そしてパーティーの会場、お酒の相手をしている椿姫の所にパリから戻ってきたアルフレードが駆けつけ、戻ってほしいと言います。しかし、椿姫は別れるために嘘の言葉をいいます。「私は貴方ではなくこの人を愛していると」。

これを本心だと思ったアルフレードは激怒して、「この女は私のために財産を失ってしまった。いま返すから皆さん証人になってほしい」と札束を投げつけるのです。ショックで椿姫は失神します。

その後、それが引き金になったのか、椿姫は病気になります。父の告白で最後の時までにはすべて誤解が解けるのですが、病の治らぬまま彼女はこの世を去ります。』

昔観たので今ではディテイルは忘れています。細部は違っているかもしれませんが、この様なお話だったと思います。

「プリティー・ウーマン」の原作は読んでいませんが、「椿姫」が名作の一つである事は間違いないと思います。DVDも3.000円位から売っていますのでオススメです。美しい歌劇を楽しめます。歌だけならさらに安価なダイジェスト版CDも良いですね。

追記Ⅳ ( ファザコンの成長物語 ) 
2020/4/13 11:01 by さくらんぼ

>ここで問題が起こります。アルフレードの留守中に彼の父が現れ、息子と別れてくれるように嘆願するのです。父の本音としては、浮気は良いが本気は許さないといったところなのでしょう。椿姫は承知します。でも父も椿姫もアルフレードにはこの事は内緒にしました。( 追記Ⅲより抜粋 )

オペラ「椿姫」では父と息子の確執が描かれていましたが、映画「プリティー・ウーマン」でも、主人公・エドワードと父は同様の関係にあったようです。いわゆるファザコンでしょうか。その怒りのマグマが“ウォール街の狼”となって噴出していたのかもしれません。

しかし、買収相手のモース氏とやりあった瞬間、偶然モース氏は、エドワードのインナーチャイルドを(精神的に)ぶん殴ってしまったのです。

エドワードは密かにモース氏を父のように思っていました。好きだったのです。でも、モース氏は敵対的買収行為をたくらむ若造として見ていたのです。

急所を殴られ、大変なショックを受けておろおろするエドワード。

しかし、ビビアンの意見に目覚め、敵対的買収ではなく業務提携に舵を切ります。

娼婦やお水関係の女性は男を見る目が肥えているとか聞きます。無教養のビビアンでしたが、助言者の役割も出来ました。

この映画「プリティー・ウーマン」はヒロイン事ばかりが話題になりがちですが、父の呪縛から自由になる男の成長物語でもあったのでしょう。

追記Ⅴ ( ビビアンの正体 ) 
2020/4/13 14:01 by さくらんぼ

映画「プリティー・ウーマン」には記号としての「日本」がよく出てきました。

エドワードが電話をかけ「東京市場は…」と言ったり、眼鏡をかけたステレオタイプの日本人男性が日本語をしゃべって出てきたり…。

それぐらいなら1990年公開という日本バブル期の時代背景説明だけで片付けましたが、どうもそれだけでは無いようなのです。

映画の前半、ビビアンがエドワードからクレジットカードを貸してもらい、一人で「ロデオドライブ」に買い物に出かけるシーン。人込みの道中に和傘(日本人から見ると、絵柄から中国的センスにもみえますが、時代背景を考えると和傘)の人が現れ、ビビアンに絡みつくようにすれ違うのです。この数秒間の、しかしワザとらしいシーンの映像言語は何か。

もしかしたら、ビビアンは(お金にまかせて買いまくる)成り上がった日本の記号でもあったのではないのか。映画「猿の惑星」の「猿」とは日本人のことだとの説もあることですし。

戦後の食うや食わずの貧しい日本は、米国の援助と教育により生まれ変わりました。それがビビアンではなかったのか。ならばエドワードとは米国か。オペラ「蝶々夫人」の例もありますし、そう思うと、また違う印象で、この作品を眺められるような気もします。

追記Ⅵ 2022.11.20 ( お借りした画像は )

キーワード「和傘」でご縁がありました。明暗、色彩、構図、とても素晴らしいです。和傘って良いですね。無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

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