見出し画像

#ネタバレ 映画「スパイの妻〈劇場版〉」

「スパイの妻〈劇場版〉」
2020年作品
恋愛とは諜報活動である
2020/10/22 18:01 by さくらんぼ(修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

上流階級を舞台にした舞台劇の味がありました。

セリフを含め、ヒロインを演じる蒼井優さんがとても魅力的です。

中盤、ヒロイン宅の、若い女性のお手伝いさんの表情に「?」を感じました。

失礼ながら、わき役として、その他大勢の中にいる彼女が、主役並みの意味深な表情を見せたのです。

それを忘れた後半になると、さらに…。

そんな、思いもよらない疑惑が解決しないまま映画は終わろうとしますが、

これは大人向けの恋愛劇でしょうか。

★★★★

追記 ( 恋愛とは諜報活動である ) 
2020/10/22 18:11 by さくらんぼ

> 中盤、ヒロイン宅の、若い女性のお手伝いさんの表情に「?」を感じました。(本文より)

もしかしたら、お手伝いさんは、ご主人の妻・聡子(蒼井優さん)に惚れていたのでしょうか。LGBTかもしれません。

だから、夫婦で密かに亡命しようとしたとき、恋する者の感で察知し、置いてきぼりをくう哀しみと怒りから、聡子だけを憲兵に密告したのだと思います。

追記Ⅱ ( 落とした獲物 ) 
2020/10/22 20:32 by さくらんぼ

妻・聡子は憲兵に逮捕されましたが、証拠も不十分でしたし、精神病を演じたこともあってか、釈放されたようで、精神病院へ入りました。

そこへ現れたのが夫の友人です。

彼も精神科医であり、「私は正気です」という聡子の言葉を信じており、「退院できるように動いてみるから、退院後は私の家にしばらく居なさい」とやさしく言いました。

もしかしたら、これも、あのお手伝いさんが仕組んだことかもしれません。

ご主人夫婦がいなくなり、仕事を無くした彼女は、ご主人の友人の精神科医に近づき、雇ってもらい、それから、そうするよう、それとなく働きかけた可能性もあります。

落とした獲物は回収しなければなりませんから、精神科医を猟犬として。

あの時、空襲警報が鳴ったのも意味深でした。

追記Ⅲ ( 君を救いたいから ) 
2020/10/22 22:16 by さくらんぼ

唐突にお手伝いさんが浮上するだけでは、ご都合主義の感じもして、物語としてバランスが良くない気もします。

でも、これは伏線であり、本丸は憲兵・津森泰治(東出昌大さん)なら落ち着くような気がするのです。

憲兵・津森泰治もLGBTであり、聡子の夫・福原優作(高橋一生さん)に恋していたとしたら。

追記Ⅳ ( 雨だからミステリーでも ) 
2020/10/23 9:11 by さくらんぼ

追記~追記Ⅲは私の妄想ですが(他も似たようなものですが)、もう少し話を進めます。

聡子の密航を密告したのは誰か?という話ですが、①夫・優作が、愛も冷めたのに、相変わらずまとわりついてくる聡子にいや気がさし、足手まといに感じたから、日本に捨てていくために行ったという説と、

②若い女中・駒子(恒松祐里さん)が、前述したとおりの理由で行った、という説が浮かびました。

常識的に無難なのは①でしょうが、自分が本を書くなら奇抜な②を選択します。

②にした場合の伏線と言いますか、ヒントは隠されているのかと考えますと、前述したように駒子が脇役らしくない演技をしていたのと、聡子との別れの日に「いつお帰りになるのですか?」「いつお帰りになっても良いように家を守っています」みたいに、思いつめたように話しかけていたことがあります。

さらに憲兵・津森泰治(東出昌大)が聡子に誘われ、家に来てウイスキーを飲んだ時、駒子は隣室から警戒心をむき出しにした犬のように見ていました。これは津森泰治を恋敵と思っての事でしょう。

そして、夫・優作たちと満州から戻ってきて旅館の仲居をしていた草壁弘子(玄理さん)という存在や、後に草壁弘子を殺した旅館の主があります。

仲居 → お手伝い

意外な犯人・旅館の主 → 意外な犯人・お手伝い

と連想されるのです。

どうやらこの作品のライターさんは、奇抜な犯人像が好きなようです。また、原作とTV版と映画版は、基本的にまったく違ったものだとして評価するものだと私は思います。

それにLGBTは昨今のトレンドであるだけでなく、(失礼ながら)時に自分の存在を隠して接近できるという意味に置いて、「スパイ」を扱った作品にふさわしい存在だと、作者は考えた可能性もあります。

追記Ⅴ ( 雨だからミステリーでも ② ) 
2020/10/23 9:36 by さくらんぼ

憲兵・津森泰治(東出昌大さん)については、聡子の幼馴染で3歳年上、しかし、子どもの頃は逆に聡子が家来のように扱っていたようです。

つまり、厳めしい憲兵という仕事には似合わない部分を秘めているという事です。

また、別の男の爪を拷問で剥がし、血でピンクに染まったその爪を、まるで「付け爪」のように、福原優作の手のひらに落とすしぐさは、女性の記号のようにエロチックでもありました。

追記Ⅵ ( 持ちだした資料は2種類で一組 ) 
2020/10/23 15:20 by さくらんぼ

優作は満州で知ってしまった旧日本軍の人体実験を、米国や世界へ向けて告発しようと資料を持ちだします。

その資料は原本というか原始記録と清書版みたいな2種類がありました。2種類で一組です。

清書版だけを見せても捏造だと思われますから、原始記録は必要です。

体裁を繕った清書版ではなく、原始記録が本質だとされているのです。

このエピソードが物語の終点だとしたら、起点はLGBTのエピソードになるのかもしれません。

追記Ⅶ ( 「コロナ過」の空気感  ) 
2020/10/23 16:54 by さくらんぼ

主人公夫婦はお互い不信感をもっていましたし、お手伝いさんも怪しいし、唐突に旅館の主が殺人犯になってしまったり、憲兵も幼馴染だったり、そして隠れたLGBTの人たちもいる気配があるし、はたまた旧日本軍の極秘の人体実験もありました。

この作品は、そうやって、「周囲の人間が感染者ではないのかと疑心暗鬼になっている時代の空気」を描いていました。

追記Ⅷ ( 「コロナ過」の空気感②  ) 
2020/10/24 9:39 by さくらんぼ

映画「スパイの妻」のストーリーをざっとご紹介します。

「 満州で旧日本軍がペスト菌を使った人体実験をしていました。

仕事で出張中に偶然それを知った優作たちは、アメリカなどに公表しようとしますが、憲兵にスパイ扱いされてしまいます。

そして、憲兵の追及は妻にも… 」。

このストーリーをリアルな新型コロナウイルスに当てはめると、制作者の意図が見えてくるように思います。

満州発は「武漢発」であり、誰を信じてよいのか疑心暗鬼になるのは「誰が感染者か分からぬ不安」であり、憲兵に逮捕される恐怖は「感染隔離」であるかもしれません。

そして憲兵の尋問は「感染経路の質問」であり、短期の隔離だけならともかく、聡子のように「入院」したり、文雄や弘子のように「亡くなることも」あるのです。

一言で言えば、「優作の会社でクラスターが発生し、死者も出たので、役所に目をつけられた」、といったところでしょうか。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


この記事が参加している募集

#映画感想文

67,333件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?