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一番は面白かったのは、巻末に出ているハン・ガンの声が聞けるサイト

『そっと 静かに 』ハン ガン , 古川 綾子 (翻訳)(新しい韓国の文学)

「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」――本文より
ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。

ハン・ガンのエッセイ。小説の語りと同じ感じ(違ってたら焦るよね)。そっか。ピアノに憧れていたのか?紙の鍵盤を弾いていたという話が泣ける。母親がその姿を見るのが忍びなくて、中学になって、ピアノ教室に行った話も。俺の彼女かもと思うぐらいぐっと胸をつく話だった。ピアノを訥々と弾くような語り。

その後、前半「耳をすます」は、ハン・ガンが出会った歌のエッセイ。クラシック「菩提樹」からトレイシー・チャップマンまで、幅広く、かと言って本人も語っているようにコレクター的ではなく、その時々に出会った想い出を素直に語っている。ビートルズの想い出とか誰でも知っている歌や韓国の歌が多いので曲はわからないが歌詞が載っているので理解は出来る。

メルセデス・ソーサ「人生よ、ありがとう」とかYou Tubeでも聴くことができるから、聴きながらハン・ガンのエッセイを読むのも良し。

後半「そっと 静かに」はハン・ガンが書いた詩(歌詞)など小説とは趣が違うが、面白い。詩というより歌詞という感じでそれほど複雑なことは語っているわけではなく素直に歌を書いたという感じ。ハン・ガン自身も歌っているのだった。

巻末にハン・ガンの朗読や歌が聞けるサイトのQRコードが出ていた。日本でもこのスタイルやればいいのに。面白い。生声が聞ける。朗読は『少年が来る』。歌も歌っている。韓国語はわからんけど、親近感がわく。予想通りの声かもしれん。

信濃毎日新聞で『そっと 静かに』紹介いただきました https://cuon.jp/info/576


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