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詩の研究2

前回の日記が好評だったようで二匹目のドジョウを狙って、昨日と同じような内容。まあ、日記だから。昨日も引きこもりで詩の本を読んでいた。水内喜久雄(編)『おぼえておきたい日本の名詩100』を読んだ。感想は長くなりそうなんで部分的にここにアップする。

与謝野晶子&石川啄木

ビッグネームを並べていいもんかと思うのだが、この二人に共通するのは短歌・明星派だということ。短歌的感性のリズムの中に我を強く押し出した叙情性と言えばいいのか?

与謝野晶子は有名な『君死にたもうことなかれ』。ただこの詩は天皇の戦争に背く反戦歌だと言われて、それを打ち消すかの如く後には戦意高揚歌などを書いている。同じような詩に武者小路実篤『戦争はよくない』という詩を書きながら後には戦争に加担することを言っていたりする。詩人の戦争加担は、以前伊藤比呂美姉さんが言っていた。そういう反省は、やはりちゃんと見ておくべきだと思う。戦時だから仕方がなかったとは言えない。

石川啄木は戦時には死んでましたけど、この詩なんかは戦意高揚歌と捉えかねない内容を含んでいるように感じる。

飛行機  石川啄木

見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを。

給仕づとめの少年が
たまに非番の日曜日、
肺病やみの母親とたつた二人の家にゐて、
ひとりせつせとリイダアの独学をする眼の疲れ.........

見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを。

ただアニメ作家宮崎駿も飛行機に浪漫を感じ(少年は機械に興味を示すものである)、それを作品にしている。石川啄木が直ちに戦争讃歌に繋がるものでもないのは事実である。しかし、気がかりとして、ドイツの未来派がファシズムに飲み込まれていく歴史は無視できないと思う。

萩原朔太郎は、明星派の短歌(特にアイドル的存在が与謝野晶子だった)から叙情詩(北原白秋)を経て、ニヒリズム的詩を開拓していく。『萩原朔太郎』大岡信を読んでいる。

小林真大『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門』。これはハウ・トゥ本かと思ったら立派な批評入門書だった。けっこうよくまとまっていると思う。これを読んで感想文から批評にヴァージョンアップしようと思ったのだが、なかなか読み終わりそうもない。

◉文学批評の六つの型

1.作家論
2.ニュークリティシズム(メッセージ「作品」重視)
3.読者論(読者重視)
4.構造主義(コード重視)
5.イデオロギー批判(コンテクスト重視)
6.メディア・スタディーズ(接触重視)

2.ニュークリティシズムでT.S.エリオットの象徴詩が出てきた。難解詩だけど、背景が個人主義が横行して、キリスト教的な信仰心的なものを詩で復活させようという運動だった。保守的なのはそういうことだった。詩の裏読み的(神話世界)解釈。言葉の一つ一つに象徴性を見出していく。まあ、浪漫主義の詩だ。これは韻文ではいいけど長編小説は、そんな解釈なんてしてられないとことだった。

関連書籍として、『文学とは何か――現代批評理論への招待(上)』テリー・イーグルトン

『戦後短篇小説再発見13 男と女』 (講談社文芸文庫)から坂口安吾『アンゴウ』。気晴らしで読んだが、これはおもしろかった。

音楽はプログレ三昧。

そんな一日の終わりにファラオ・サンダースの訃報。


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