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自由律はやってなんぼの世界

『カキフライが無いなら来なかった 』(著)せきしろ, 又吉 直樹(幻冬舎文庫)

五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句を、妄想文学の鬼才せきしろと、お笑いの奇才「ピース」又吉が多数放出。「雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る」(せきしろ)、「転んだ彼女を見て少し嫌いになる」(又吉直樹)など、センチメンタル過剰で自意識異常な世界が広がる。500以上の句と散文、著者二人の撮影写真から構成。文庫用書き下ろしも収載。

図書館本なので読んだのは単行本。その前に読んだ二冊目の『まさかジープで来るとは』と違っているのは、せきしろのエッセイがまだここでは叙情性があるということだった。なるほどエッセイとして読むならばこっちの方が面白いかもしれないが、自由律の俳句性を考えると二冊目の方が進化して(厳しく)いるように感じる。まあ、自由律は鑑賞するよりは、俳句と同じで作ってみるほうが圧倒的に面白い。

Twitterで自由律をやり始めた。けっこう面白いと思ったのはそれを繋げていくと詩になるからだった。自由律と言っても寄りかかるものが必要ななんだと思う。独立していいと思えるのはこの本でも数句だろう。後は日記代わりのような日々の積み重ねが面白いのかもしれない。だからこの本ではエッセイや写真がより効果的だ。まあ、エッセイの面白さだとは思うが。ほんとうに自由律だけで筆が立つのならもうとっくに詩人だった。放哉とか山頭火はそこに彼等の放浪という生き様があるから。コトバより行動的だった。


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