『バビ・ヤール』(2021/オランダ/ウクライナ)監督セルゲイ・ロズニツァ
このドキュメンタリーだけだとナチスのユダヤ人虐殺だけしか描かれてないがスターリンも粛清という虐殺があったのは、ナチスの関係者の公開処刑のシーンだけだったような気がする。当時のことを考えればスターリンソ連寄りの映像にならざる得なかったと思われるが、このドキュメンタリーだけ見るとウクライナ人はナチスを歓迎していたのか、と思ってしまう。
まあ、スターリンの赤軍がナチスを追い出すと今度はソ連軍を歓迎するのだが、むしろそのような大衆感情の方が気になった。その陰でユダヤ人の大虐殺が行われたのだが、見るも無惨な映像なので注意する必要があるだろう。よくここまで撮影出来たな、と思うとやっぱナチスの犯罪を暴くという面が強かったのだろう。
『バビ・ヤール』については、ショスタコーヴィッチの交響曲がスターリン批判を含んでいたので初演がなかなか出来なかったとか、ナチスの犯罪だけでなく、スターリンの粛清も描かれているというのは、ショスタコ・ファンであれば有名な話だった。