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イスラムにも酒飲み詩人がいた!

『ルバイヤート』オマル ・ハイヤーム(著),小川亮作(翻訳) Kindle版

セルジューク朝期ペルシアの学者・詩人、ウマル・ハイヤームの詩集。底本は「ルバイヤート」[岩波書店、1949(昭和24)年]。「ルバイヤート」とはペルシア語で「四行詩」を意味する「ルバーイイ」の複数形で、直訳すると「四行詩集」という題名。 それはペルシア語詩の形式の一つである。 エドワード・フィッツジェラルドの例文から一躍名知られるようになった神秘的な詩集。

星の汀さんの記事を読んで面白そうなので読んでみました。

イラン映画とか見るとけっこう詩の引用があったり、イランでは日常でも詩が読まれていたりするようで以前からイランの詩には興味があったのですが、イスラム文化というと「アラビアン・ナイト」ぐらいしか知らない。

そこで『ルバイヤート』を読んで見るとこれが面白かった。四行詩でどれも短いからサクッと読める。酒と人生哲学というと李白みたいなのかな。日本でも『万葉集』では大伴旅人の酒の歌があったりして、万国共通の呑兵衛さんたち。

酒飲みの人生訓なのだが、自由律の放哉とか山頭火好きな人はハマると思う。それではいくつか紹介。

40
日のめぐりは博士の思いどおりにならない、
天宮など七つとも八つとも数えるがいい。
どうせ死ぬ命だし、一切の望みは失せる、
塚蟻にでも野の狼にでも食われるがいい。

105
戸惑うわれをのせてめぐる宇宙は、
たとえてみれば幻の走馬灯だ。
日の燈火を中にしてめぐるは空の輪代、
われはその上を走りすぎる影絵だ。

112
あすの日が誰にいったい保証出来よう?
哀れな胸を今この時こそたのしくしよう。
月の君よ、さあ、月の下で酒をのもう、
われは行くし、月はかぎりなくめぐってこよう!

120
はなびらに新春の風はたのしく、
草原の花の乙女の顔をたのしく、
過ぎ去ったことを思うのはたのしくない、
過去をすて、今日この日だけすごせ、たのしく。

121
草は生え、花は開いた、酒姫(サーキイ)よ
七、八日地にしくまでにたのしめよ。
酒をのみ、花を手折れよ、遠慮せば
花も散り、草も枯れよう、早くせよ。

135
あしたのことは誰にだってわからない、
あしたのことを考えるのは憂鬱なだけ。
気がたしかんらこの一瞬を無駄にするな、
二度とかえらぬ命、だがもうのこりは少ない



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