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読書録📚FACT FULNESS

勝間和代さんにニュース視聴をやめさせた本、気になり読んでみました。
これ、めちゃくちゃベストセラーなんですね!

読んでみて確かに、ニュース視聴の危うさを感じました。そして自分も、世界に対する認知が歪んでいることが分かりました。

マスメディアの目的は、人間が本能的に好むドラマチックなニュースを取捨選択し、人の注目を集めること。
そして人間の生存戦略として、情報の捉え方に対しある一定の偏り、思い込みがあること。
この相乗効果により世界の見え方が歪む。ここに、ニュース視聴の危うさがあるということが分かりました。

その、思い込みとは?
それが本書で紹介されています。

以下、10個の思い込み概要↓

分断本能

世界は分断されている、という思い込み。

思い込み:世界は「先進国」と「途上国」の2つに分けられる

事実:それは半世紀前の話。ほとんどの国は先進国の条件を達成済み。残りの国は先進国と途上国の間にある。
→「先進国」「途上国」の2つのカテゴライズ分けは不可能となった今も、わたしたちは「先進国」「途上国」という言葉で世界を分断し、見下ろしたがっている。

対策:大半は、中間層にいると認識する。

ネガティブ本能

世界はどんどん悪くなっている、という思い込み

思い込み:石油流出事故、HIV感染者数、乳幼児の死亡率、核兵器の数、飢餓、犯罪、これらすべての悪いことが世界で増え続けている

事実:すべて激減
→報道により悪いニュースが広まりやすくなった。逆に、良い出来事はニュースになりにくい。

対策:悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない(報道の取捨選択の可能性)

直線本能

世界の人口はひたすら増え続ける、という思い込み

思い込み:15歳の未満の子どもは、現在世界に20億人、2100年はどうなる?→増える!

事実:20億人のまま。
→すでに子どもの数は横ばい。数十億人が極度の貧困を抜け、性教育や避妊具の普及から、女性ひとりあたりの子どもの数は減っている。

対策:多くのデータは、S字カーブ、滑り台の形、コブの形、あるいは倍増する線であり、直線はめずらしいと心得る。

恐怖本能

危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み

思い込み:地震・洪水・サメによる被害・テロなど、めったに起きない悪い報道が流れると、世界でしょっちゅう起きているように錯覚してしまう

事実:そのような事件はめったに起きない
→メディアは報道の際、「恐怖本能を刺激するか否か」を判断基準にする。その錯覚は、メディアに煽られている可能性がある。

対策:リスクは危険度×頻度。「恐ろしさ」とは関係ないことを忘れず、リスクを正しく計算すること。

過大視本能

目の前の数字がいちばん重要だ、という思い込み

思い込み:中国やインドの国全体の二酸化炭素排出量は多く、地球温暖化の犯人!

事実:人口で割るとどうなる…?
→眼の前の大きな数字に囚われ、単位まで精査しようとしない

対策:「ひとりあたり」の割り算をしてみる。

パターン化本能

ひとつの例がすべて当てはまる、という思い込み

思い込み:エレベーターはものが挟まると自動的に開く

事実:開かずに閉まる国もある(この話では足から流血する事態に)
→自国ではあたりまえという思い込みから、外国に出ると身を守れなくなることもある

対策:異文化や馴染みないコミュニティなどで、「当たり前でなさ」に普段から慣れておくのもいいかもしれない。また、自分以外をアホと決めつけない。

宿命本能

すべてはあらかじめ決まっている、という思い込み

思い込み:アフリカは世界に追いつけない

事実:チュニジアなど5カ国の国の平均寿命は、すでに世界寿命の平均72歳を上回り、経済成長率5%を超える高成長の国も。市場拡大を続けている。
→うさぎと亀の話のよう。現在の状況がずっと続くとは限らない。

対策:賞味期限が切れる知識もあると心得る。おじいさんやおばあさんに話を聞くと、数十年でいかに大きく価値観が違っているかがよくわかる。

単純化本能

世界はひとつの切り口で理解できる、という思い込み

思い込み:野生のトラやジャイアントパンダなど絶滅危惧種は、以前より絶滅の危機に瀕している。

事実:ここ数年で増えており、改善されている。
→単純なものの見方、答えに飛びついてしまう。

対策:自分の正しさを示す事例ばかりを集めない。反対の考えに立ち、自分の考えの欠陥を探す。専門分野外でしったかぶりしない。

犯人捜し本能

誰かを責めれば物事は解決する、という思い込み

思い込み:物事がうまくいかないとき、自分の思い込みに合う悪者を探そうとする

事実:大抵の場合、本質はもっと複雑。悪者を見つけても解決しない。

対策:同じ間違いが起こらないようにするには、犯人ではなく原因、仕組みに目を向ける。

焦り本能

いますぐ手を打たないと大変なことになる、という思い込み

思い込み:本の学びをすぐにアウトプット、実践!いつやるの?今でしょ!(古い?)

事実:いったん脇に置いておさらいしたほうが身に付くこともある。
→地球温暖化、貧困問題など様々な場面で焦り本能は駆り立てられるが、解決すべき問題に焦り本能は禁物。発信者はオオカミ少年となって過度な焦りを誘引してはいけない。正しくリスクを見積もる。

対策:いますぐに決めなければいけないと感じたら、焦りに気づく。今決めなければならないことはめったにないと心得る。

まとめ

これらの思い込みにどっぷり浸かり、ニュースに向かって「ひどい世の中になった!」と嘆いていたとしても、日々の生活にはまったく支障はないと思います。

しかしその状況に甘んじて、
「世界には飢餓で死んでしまう子や、途上国では貧しくてなにも買えない人がたくさんいるんだ。」
と何十年もの間使い古されたようなそれらしい言葉を、なんのデータも提示せず、無責任に言い放ってしまう大人にはなってはいかんな。と強く感じる読後でした。
このような安易な思い込みは世代間連鎖を引き起こし、勘違いされたままの国々の勘違いを払拭しないまま、引き継がれていってしまうんだろうな。

思い込みに気付き、「その根拠は?データはどうなっているのか?」自問自答したいです。

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