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ipheion・イフェイオン

香水というものは漫画でしか見たことがない、お金持ちの大人の女性がつけている化粧品、みたいな変なイメージだった。高校生になると周りでもつけ始める友人が男女問わずちらほら現れたが、なんとなく縁遠いものと思っていた。

社会人になってからできた友人に、こんな店があるよ!と、NOSE SHOPという香水のお店をおすすめされた。友人のつけている甘い香りはそこで購入したのだという。しゃんまんえ…いや、3万円という金額には中々驚きが隠せずアホみたいな声が出てしまったが、興味はそそられた。

ある日、その友人の首元から背中にかけて真っ赤に腫れていた。
「なんか怪我したの!?」
「いやいや、新しい香水でかぶれちゃったんだよね。痛くはないよ!」
全然平気そうで笑って返された。そういうことも、まぁあるのか。
なんというか、白い肌に普段見ないような赤はやけに綺麗だった。その時まだ香水という文化に触れていなかった僕は、大人の女性という単純なイメージと彼女の赤に、勝手な物語を想像した。

「ipheion」という詩を書いた。
「別れの悲しみ」「耐える愛」の花言葉を持つイフェイオンという花の名前だ。

失恋の心を誰かで埋めようとする女性の話。別れた恋人との傷を背負って生きている彼女は、向かい合う誰かからどれだけ愛されても何を言われても彼女の心は傾かない。ほのめかした好意も、きっと本心ではないというのに。絵の下着にかかった南京錠は、真に心を許していないことを表した。

この詩を書いた僕は別に失恋したわけではないし、その友人がそんな状況に置かれてるわけでもない。彼女は同棲している彼氏からのプロポーズを今日もワクワクしながら待っている。そのワクワクが何年目に突入したのかは、野暮なので数えないでおくが。

僕も香水をつけ始めた。
友人オススメ、例のNOSE SHOPというお店で一番気に入ったものを購入したのだ。
The House of OudのLIVE IN COLOURSという商品。偶然選んだものだが素敵な名前だ。落ち着く香りを身に纏うのは、常に落ち着く空間に身を置くような感覚になる。これも香水の魅力なのかもしれない。
この香りに慣れ始めた今なら、またipheionとは違った詩が書けそうだ。

もし興味が出たら、あなたも好みの香水を探してみてはいかがだろうか。
触れたことがない人なら特に、試してみると楽しい世界だと僕は思うから。

あ、でもかぶれないようにだけご注意を。

ipheion


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