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中2理科の化学反応式を【理解】する(4) 分子のイメージと分子式

 中2理科の教科書を読み進めています。次は,分子について箇条書きでまとめてみましょう。

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教科書の内容

B 分子

  • 分子とは物質の性質を示す最小単位。

  • 分子からなる物質

    • 水素,酸素,二酸化炭素,窒素,アンモニア,メタン,エタノール

    • 分子モデルが載っている。

  • 分子を作らない物質

    • 金,塩化ナトリウム

C 化学式

  • 分子からなる物質

    • 原子を元素記号で表し,原子の個数を元素記号の右下に小さい数字で書く。

    • 原子の数が1の場合は数字を省略する。

  • 分子を作らない物質

    • 金属は1種類の元素記号で代表させる。

    • 塩化ナトリウム・酸化銀は原子の個数が1:1の割合で書く。


原子・分子のイメージ

 化学ではイメージ力(想像力)が大切です。中1の教科書では,まず原子を球状のボールが運動するイメージで捉えることから始めます。具体的には固体,液体,気体の状態変化の実験を行ってその体積変化に注目させ,これを粒子の運動で解釈させます。

 粒子を思い浮かべることは,ボールで遊んだことのある人であれば大丈夫でしょう。しかし,非常に多くの粒子が,衝突を繰り返しながら3次元的に運動するイメージをリアルに持つことができるでしょうか。これは少々難しそうですね。教科書では教室の中にいる生徒の様子で説明したり,実際に体を使って集団で動くことを行ってみるなど,体験を通じた活動が提案されています。

 中2で出てくる原子のイメージは,ボールを理想化した「球」を頭の中でそのままギュッと縮小したものです。また,ボールに重さがあるのと同じように,原子にも重さがある,と理解します。

 原子は大きさと重さが異なる様々な種類があるので,これを色分けします。なるほど,元素は原子の種類であると定義したのは,原子を色分けするためなのかもしれません。元素はかなり抽象的な概念なのでイメージ化が難しい。であるなら,まず現実世界のボールからイメージを借りてきてそれに原子と名付け,その種類を色分けによって視覚的にイメージ化する。そういう教育戦略を取っているのでしょう。

原子のイメージ化過程

分子を作る物質

 次に分子のイメージとして水,酸素,水素,二酸化炭素,窒素,アンモニアなど身近で単純な分子が紹介されています。水分子が「く」の字の形に曲がっていたり,酸素や水素や窒素が2つの原子からなる理由については,あまり説明がなされません(ただし「発展」の枠の中で,原子の結びつきの数として説明されている)。

 分子の形と原子の結びつきの数については,理由を示さずに丸ごと覚えてしまう方が良い,という判断なのだと思いますし,私もそう思います。そのために発泡スチロール球を使った分子模型を作るという活動があるし,そのような体を動かす活動の方が,イメージを創りやすいと思います。

 現代では映像を作る技術が発達しているので,コンピューターの中で分子を創り,3次元的に動かす映像を見せるといった授業も可能ではあります。ですが私はあまりオススメしたくはないですね。

 映像の視聴は受け身になりやすく,イメージを自分で能動的に作ることが難しい。分子模型の作成の方が,ベターだと思います。ただし,発泡スチロールは軽すぎるので,元素ごとに重さを変えたような模型を作るのも良いかもしれません。

分子を作らない物質:結晶

 金や銀などの金属や塩化ナトリウム・酸化銀などは分子を作りませんので,結晶格子のようなイメージで捉える必要があります。どのような物質が分子を作るか,あるいは作らないのかについては,これまた個別に覚えたほうが早そうです。子供の記憶力は大人の想定を超えていますので,この記憶力に頼っても良いのではないでしょうか。

 ただし,教科書には図を書くことが難しいのですが,結晶の中で並んでいる原子は縦・横・高さの方向に無限に続いている,ということは理解しておく必要があります。そのためにも,バラバラの原子から結晶格子の模型を自分で組み上げるという活動が大切だと思います。ゲーム感覚でやる方法もあるでしょう。このような活動を省略して「Ag=銀」みたいな記号と名前の機械的な対応づけをしてしまうと,何をイメージしたら良いのかがわからなくなってしまいます。

化学式

 分子や結晶のイメージを十分持たせた後に,それを記号で表現することを学びます。これは,初めて漢字を覚える時に似ています。小学校1年生で漢字を学ぶ時は,まず「山」,「木」,「川」などの現実世界をそのまま写し取ったような象形文字から入ります。同様に,化学式の学びも自分の中に形成された分子のイメージを記号に写し取ってゆきます。

分子・結晶のイメージと分子式

 水の場合,まず水分子のイメージからHOHのような記号に置き換えます。その後,複数の元素記号があった場合にその数を小さい数字で表します。$${H_2O}$$とは酸素原子1個,水素原子2個がくっついた分子である,ということを意味する「単語」のようなものとして捉えられます。この分子式は分子の形の情報(水の場合は「く」の字に折れ曲がっていること)を含んでいないことにも注意したいですね。つまりこれから学んでいく化学反応式では分子の形よりも,分子に含まれる原子の数のほうが大切になります。

 分子を作らない,結晶となる物質の場合は数多くの原子から1つを取り出して代表させ,これを元素記号で置き換えます。塩化ナトリウムの場合は2種類の元素からなるので,それを一つずつ取り出してNaClとします。これはNa原子とCl原子が1:1の比率で含まれた結晶(原子が縦横高さ方向に無限に並んでいるもの)を意味するので,イメージと記号をよく結びつけておく必要があります。NaClは「二原子分子」ではなく「結晶」であることは注意しておく必要がありますね。

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