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3年半ぶりのアフリカ



リアルタイムでは、先日日本に帰国しました。帰国後の空港は厳戒態勢で、入国審査にたどり着くまで相当時間がかかりましたが、PCR検査は無事陰性。ただいま自宅にて2週間の自主隔離中です。



ハルツーム空港に降り立つ

 空港に着くやいなやアフリカを感じた。トイレが薄暗く汚い。アジアの国々など、街中は汚くても、玄関口である空港は綺麗というパターンは多いのだが、アフリカのマイナー国では、まだまだそこまで洗練されていないことがある。

 しかし、この雰囲気が「あぁ、アフリカに戻ってきたのだ」と僕の怠けきった頭のスイッチを変える良いきっかけになる。

↑ハルツーム空港のターンテーブルで荷物待ち


 スーダンはATMが使えないことが多いらしいので、あらかじめ日本で用意した米ドルをスーダンポンドへ両替してから、空港の外に出る。乾燥した空気と強すぎる日差しが、更に僕の記憶を呼び覚ます。3年半前も僕はアフリカにいた。スーダンとは反対のサハラ砂漠の西端を自転車で走っていた。この空気はあの時と同じであった。


 そしてタクシーの運ちゃんが良いカモを見つけたと言わんばかりに「taxi?taxi?」と駆け寄ってきて僕の荷物を勝手に取り上げようとする。

 「いや、僕は歩きたいからタクシーはいらないよ。」と50kgほどある荷物を汗だくで引きずりながら拒否すると、「こいつ絶対しんどいのにめっちゃ強がるやん」という目で見られたが、なんとかその群がりを突破して、歩いて空港前の国道に出る。


 飛行機移動の疲れを癒すため、そして気候の変化への順応のために、2泊はこのハルツームで宿をとっていた。なんなら1週間くらいかけないと気候には順応できなそうだが、あまりゆっくりすると色々考えてしまってスタートするのを躊躇ってしまいそうで、日本から出てきたこの勢いのまま冒険を始めたかった。


 空港から宿までは5kmあった。40度の炎天下でデカい荷物を持って移動するのは予想以上に体力を消耗し、冒険出発前に熱中症でダウンしてまうわ!と、1km歩いたところでトゥクトゥクを停めた。空港でタクシーを拾うより、少し離れた場所で拾う方が圧倒的に安い。英語は通じなかったが、地図を見せながらここ、という風に伝えると、ドライバーはグーサインだけだして、後ろに乗れとジェスチャーで伝えてきた。

 ↑言葉が無くても通じ合えるドライバー


 この辺りで気が付いたが、街ゆくスーダン人は誰もマスクをしていない。これもまた3年半前に戻ったようで、少し嬉しいような懐かしいような気持ちになった。


 宿は可もなく不可もなくと言った感じで、エアコンはあったが、停電していて使えなかった。Wi-Fiはなかった。身近な人には連絡を入れておきたかったが、こちらの事情はなんとなく察してくれるだろう。これから1か月、こういうオフラインの状態が続く。初めてのことではないけど、そう思うと、より一層孤立感が強まり身が引き締まる

↑砂漠の国では太陽の輪郭がくっきりとしている



 いつの間にか外は日が傾いてきた。なにか夕飯を食べるために外に出て、砂で歩道と車道の境目がわからなくなっている道を歩いた。遠慮のないクラクションがあちこちから聴こえてきて、通り過ぎるバイクは、初めて外国人を見るかのような目で僕の顔を凝視する。



 半分屋外のような食堂を見つけ、蝿がたかるデカい鍋に入った豆の煮込みを指さして「これをください」とジェスチャーで伝える。
 銀の皿になみなみと盛られたフールという豆料理と、ぶっきらぼうにテーブルの上にダイレクトで置かれたパン。
みんなが共同で使う銀のコップ。

 衛生的にどうなのかは知らないが、飯はうまい。何度も言ってしまうが、この光景を見て僕はアフリカに帰ってきたんだとまた嬉しくなった。





続く

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