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(詩)ありふれた朝に

ゆうべ
わたしたちが
寄り添いねむった
このラヴホテルの窓辺に
今一羽の鳥が降り立って
ひとり、すがすがしそうに
鳴いています

夜明け前に少し雨が
落ちたのでしょうか
鳥の羽根が少しばかり
濡れているようです

こんなうす汚れた都会の
アスファルトの通りに面した
雑居ビルにも似た
さびれた安ホテルの窓辺にも

鳥は降り立つ
ものなのですね
野良猫が捨てられた
ごみ袋をあさって
ごそごそと立てる音が
まだ静かな路地に
響いています

窓を開けたら
鳥はおどろいて
飛んでいって
しまうでしょうか

それともじっと
不思議そうに
わたしの顔を
見ているでしょうか

笑いかける
わたしの顔を見て
やさしく鳥は
鳴き返して
くれるでしょうか
そっと、やさしく


なみだ、いっぱいの
わたしの顔に向かって

そして
それから
しずかに鳥は
飛び立って
ゆくでしょうか

しずかに朝が
ありふれた
いつもの朝のように

朝がいつも
しずかに
去ってしまうように


ゆうべ
わたしたちが
生まれてはじめて
寄り添いねむった
このラヴホテルの窓辺に
今一羽の鳥が降り立って
ひとり、すがすがしそうに
鳴いています

そしてその鳥はまた
ここに、この部屋の窓辺に
たまには遊びに来て
くれるでしょうか
いつか、また

わたしたちが
この部屋から去り
やがて
としつきが流れ
わたしたちが
そして愛しあった
ことさえ失われた
いつか、また

今日のような
ありふれた朝に

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