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(詩)雨音に消えた初恋

きみがどんな声をしているのか
きみの声はどんな声なのか
いつも想像していた

きみは無口な女の子
どうしてお喋りしないのか
本当に誰とも話さないのかなあ
なんて思いながら
いつもこっそり
きみを見ていた

いつも教室の隅の席で
じっとひとりぼっちで
俯いていたきみの姿を

どうしてきみはそんなに
無口になってしまったんだろう?
いつからなんだろう?
いつか誰かを好きになっても
「好き」って言えないよ?

もしもぼくが
「好きです」って告白しても
きみはきっと
何にも返事が出来ずに
泣きそうな顔をする気がして

だから言えなかった
とうとう中学の三年間
一度もきみに
話し掛けることすら
出来ないまま終わった
ぼくの初恋

ラヴレターも
メールも
思いつかない程
きみと話したかった
ただきみと話がしたかった
そんなぼくの初恋は

中学の卒業式の日
やさしい雨音の中で消えた
音もなく降り続く雨が
小さくなるきみの後姿を
濡らしながら消えていった

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